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これは一種のホラー映画なのかもしれないと思った話。

Netflixで「カラオケ行こ!」の映画が配信されたので、早速観ました。(映画館に行こう行こうと思ったまま終映を迎えてしまったのが悔やまれる)
とはいえ、我が家はつい最近ちいさき命が加わったばかりなので、じっくりは観れなかったんですけど、でもこれじっくり観たら頭おかしくなりそうだな…とも思いました。

歌が上手くなりたいヤクザと、合唱部所属の絶賛モラトリアム中な15歳の少年が出会う物語なんですけど、このヤクザがすごくヤバい。何がヤバいかっていうと、未成年に絶対近付けて良い大人じゃない感が凄まじい。勿論ヤクザな時点で未成年には近づけるなとも思うんですけど、そういう次元じゃない。とにかくひたすら綾野剛が怖くてですね、ここ最近で見た一番のホラー映画なんじゃないか…?とじわじわ思い始めました。

単純に腐ったオタクなので「こういう設定の同人誌1億回は見たな…何ならちょっと書いたことあるな…」というのがファーストインプレッションではありましたが、噛めば噛む程「いや、なんか萌えるとかそういうの飛び越えて何か得体の知れない怖さがずっとあるな…?」と。その正体が何なんだろうとずっと考えてたんですが。

ふと、私が好きな海外ドラマ「クリミナル・マインド」で出てくるDr.リードの母の台詞を思い出しました。

「母親はね、動物なの。子供に危険が近づいたら本能でわかるのよ」

これだ。私が母親だから、保護者だから、狂児(綾野剛)がめちゃくちゃ怖いんだ、と得心がいきました。
中学3年生、大人ではないが、子供扱いはされたくない。親には特に干渉されたくないので、親の方も一定の距離感を求められる。その時期の子供って、「この世界に俺の理解者なんか存在しない…」という気持ちにを持ちがちであり、「別世界の人間」への憧れが多かれ少なかれある時期じゃないですか。さとみくん、映画🎞️観てたし。非日常への憧れがあるんですよ。それってもうまさに中学校三年生で、どこに出しても恥ずかしくもない。
ただその時期の子供に絶対に近付けてはならない男、それが成田狂児なんだよ。(迫真)
これ、正直さとみくんが女の子だったらちょっと映画化するの無理だったのでは?と思う。多分、狂児の方に悪意とかそういうのは一切なくて、ただ純粋に思ったことをさとみくんに伝えてるだけだし行動してるだけだと思うんだけど、超悪い男だよ。
一番ウッッッワって思ったのはさとみくんが狂児にブチ切れて、「もう知らん」みたいなことを言った時、狂児すぐスッって引いたシーン。ウッッワ、怖すぎる。そこで引くのが怖すぎる。さとみくんとしては狂児がごめんねってさとみくんの機嫌を取ってくれると思ってたのに、そこはスッて引いてしまって、言ったのはこっちだからさとみくんも引っ込みがつかないし…そして例のカラオケ大会の一件へと繋がる上にカラオケ大会の後一切連絡がつかなくなるってほんとまじでどんだけ悪い男にひっかかったの…?って私がさとみくんの友達なら聞いちゃう。ひと夏の淡い初恋とかそういう次元の可愛い話ではない。最早一生もんの傷を負わされたかんじ。さとみくんは狂児に純潔を奪われたのだ…。
そしてこれが、保護者の全く知らないところで始まって終わってるのが本当に恐ろしい。自分がさとみくんの親で、事の顛末を聞いたら気絶するかもしれない。

物語としてすごく面白かったし、一般人にここまで感じさせる程繊細な脚本や演出が出来るのかという素晴らしさもあり、映画としてはすごい完成度だなと思います。間違いなく当たり映画です。野木さん脚本は本当にハズレがない。あと反社仕草をさせたら綾野剛の右に出るやつはいねぇな、って思いました。あんなに優しげなのにめっちゃ反社。役者さんの演技力もほんと良い。
私は良い創作というのは人の心に傷跡を残してナンボだと思ってるので、カラオケ行こ!はすごい映画です。

ただ私にとってはホラー映画と比肩する恐怖がそこにあったという。誰かわかってくれという気持ちでnote書いてみました。もう1回見ます。

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