見出し画像

子どもの頃に世界を広げてくれた3つの場所ー沖縄、福井、ヤップ島

20年来の幼馴染の結婚式に出席するために、沖縄へ向かった。旅の友に、本屋で目があった幡野広志さんの『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』を持ってきた。

沖縄でドライブ中にのんびり読む予定だったのに、行き道で全部読んでしまった。読んでいて、幡野さんご自身の子育ての考え方に、私もこんな風に子育てしたいと思った。

本の中にこんな一文が出てくる。

私の26年の人生を思い出して、自分らしい経験を与えてくれた場所が3つある。沖縄、福井、ヤップ島だ。

どんな場所かは後述するが、このnoteは特に子育てをしている人に読んでほしい。子どもには世界を広げる選択肢が少ない。スマホは持っていても、自分の世界を広げる検索キーワードを知らないし、自分で使えるお金も限りがある。
この3つの場所のうち、2つは親が教えてくれた場所だ。そしてその選択肢を選んで本当に良かったと思っている26歳の自分がいる。

子どもの選択肢を広げたい方は、ぜひ読んでみてください。

沖縄ー子どもたちのサバイバルキャンプ

沖縄では「子どもじんぶん学校」という北部にある山の麓で、4泊5日の子どもたちとスタッフ数名で行うサバイバルキャンプだ。私は小3から中3まで毎年参加した。電気もガスもない生活は、驚きと工夫に満ちていた。

ジャングル以外の何者でもない山の麓での生活。海や滝での遊びは、時間を忘れて泳ぎ続ける。薪をくべて火をおこし、ご飯を炊く。海で釣ってきた魚をさばいて食べる。夜になるとランタンの明かり以外がなくなり、ビーチに出ると毎日天の川が見える。月明かりのもと、一年に4日しか会えない友達たちと夜な夜な話す。

電気もガスもなくても、全然生きていける。自然の中で生き抜く力が備わっている感覚が、子どもの私にとって自信につながった。
これから先、しんどいことがあったときにはこの場所に戻りたいと思っている。
ただ海で泳いで、おいしいものを作って食べて、ビーチで星を眺める。ここに帰ってきたいと思う場所に出会えて、本当にラッキーだ。

それから一緒にサバイバル生活をした友達は、久しぶりに会ってもすぐ当時に戻れるような存在。お世話になったスタッフも今となっては一緒にお酒が飲める。日本全国の中でもなかなか味わえない体験ができる場所だと思う。

対象は小3から中3まで、今年の応募受付は5/12㈰スタート。気になる方はぜひこちらをチェックくださいね!じんぶん学校自体は、大人でも参加できるプログラムがありますよ。

福井ー体験学習と寮生活の中学校


福井は、私の母校である「かつやま子どもの村中学校」がある。福井県のど田舎にある、体験学習を軸とした教育を行う寮制の学校。自分で考えて、自分で行動して学ぶことを身体に染み込ませたかけがえのない時間を過ごした。

体験学習の基本となっているのは「プロジェクト」という授業で、エコロジー、食、水など毎年課題となるテーマが変わり自分が興味のあるプロジェクトに参加する。そのテーマの中から、掘り下げてみたい問題を子どもたちだけでミーティングして決め、リサーチをしてプロジェクトを立て、実際に行動に移してアウトプットとして冊子まで作る。今思えば仕事の基礎はここで培ったと思う。それ以外にもユニークな授業がたくさんある。先生は「〇〇ちゃん」などあだ名で呼ばれ、先輩後輩関係なく全員タメ口でOK。公立小学校に通っていた私としては驚きの連続だったけれど、子どもたちが独立した考えを持って、変に群れないのが気持ちよかった。

そして、一人っ子の私にとって青天の霹靂だったのは、初めて同世代と寝食ともにする寮生活。食べたいものは食べられないし、お風呂は誰かと入らなければいけない。チャンネル争いは実在することを涙ながらに学んだ。
寮生活では子どもたちが料理を作る場面も多かった。今の私が出張料理で30人分作れるのはここで作っていたからだと思う。

沖縄も福井も、親が教えてくれた。福井の中学校は、受験勉強もしたくないし地元の学校にも通いたくない!と言い張る困った娘に合う学校を必死で探してくれた。
小卒すれすれの私を救ってくれて、12歳の娘を福井の山奥に送り出してくれて、本当に感謝しかない。親と離れて生活して、いかに親が大切な存在か、甘えているのか深く知った。それに気づいたのが早い頃で良かったと思っている。

かつやま子どもの村小中学校の詳細はこちら

ヤップ島ー自然な暮らしの光と闇

最後はヤップ島だ。ミクロネシア連邦に属するヤップ島は、日本から6時間ほどで到着する。日本から高校生と大学生の合計10名が、自然と深くつながる暮らしを現地の人に学ぶ2週間のプログラムに20歳で参加した。大まかには沖縄のプログラムと似ている。

現地の家にホームステイさせてもらったときのトイレは衝撃だった。陸から海にかけて3mほど橋がかかった先に電話ボックスのような建物があって、中には板2枚が張ってあり、真ん中が抜けていて下には魚が泳いでいる自然のトイレ。自然の中に暮らすとはそういうことなのかーと納得した覚えがある。

このプログラムで体験するのは、ヤップ島の美しい部分だけではない。例えば外国からヤップ島に電化製品が持ち込まれた後、故障して物たちを処理する施設がなく、山に大量を捨てられている場所を見学した。大きな池のように広がる、おびただしい量の電化製品や使用済みのガラクタ。


人間はもともと自然の中にお邪魔しながら暮らしていたのに、いつしか自分たちのわがままで地球を汚してしまっているんだなーと感じた記憶がある。美しいところばかりに目を向けるのではなく、広い目で物事を見ていかないと全体性が失われるのだなと思った。

ヤップ島のプログラムの対象は15-22歳。国籍不問。今年の募集はすでに始まっているので、興味がある方はこちらから。

3つの場所に共通点は「自分の頭で考えて行動するのが、面白くて楽しい」と身を持って教えてくれるところ。学校でも勉強ももちろん大事だけれど、これらの場所に方程式はない。自分で考えて行動し得た学びは、確実にいま大人になった私の活きた力になっている。

もし興味があれば、ぜひ詳しく調べてみてくださいね。

みなさんのサポートが励みになります。 「おいしい」の入り口を開拓すべく、精進します!