昔話 【金太郎】から

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マガジン「物語りを考えたい」のお品書き(マガジンの目次)

前回までの説明

権利関係や物語りの内容自体がバレても問題ない物語りという観点から、
昔話や童話を調査対象に決めさせていただきました。
そして前回は、昔話、童話の中から、【桃太郎】を題材に挙げさせていただき、
今回は、昔話、童話の中から、【金太郎】進めてみようと思います。

物語りの構造を調べようとしたキッカケについては、下のリンク先に、このシリーズの初回のページがありますので見ていただければと思います。
リンク先に、このアイデアのキッカケとなる岡田斗司夫さん動画のリンクも貼らせていただいています。物語の構造の流用について話されていますので参考にしていただければと思います。
[物語りの構造を調べてみたい]より


昔話【金太郎】の物語りの流れ

昔々の話。
足柄山におばあさん(山姥)と金太郎が暮らしていました。
友達は山の動物達。
日々を山の動物達と相撲をしたりして過ごしていました。
金太郎の相撲の相手は、熊とも行う、生まれた時から時から力持ちだった。
ある日、都に帰るという貴人が足柄山に通りかかり、いつものように山の動物達と相撲をする金太郎たちを見つけて、貴人たちが金太郎たちに声をかけてきた。

貴人の名前は、源頼光(みなもとのよりみつ)といい、護衛を務める三人の部下はそれぞれ、渡辺綱(わたなべのつな)、卜部季武(うらべすえたけ)、碓井貞光(うすいさだみつ)と名のり、動物達から金太郎の力を自慢をされて、余興として、同じく力自慢で護衛を務める三人とそれぞれと相撲をすることになる。
手始めに卜部季武と相撲をして、あっさりと金太郎が勝ってしまい。
お次とばかりに碓井貞光と相撲をすると、またしても勝った金太郎は、最後の渡辺綱と相撲を始める。
がっぷりと組んだ二人は動かない動けない。なかなか勝負がつかないでいると、源頼光から声がかかり、勝負なしとして引き分けにすると、源頼光は一緒に都に行かないかと誘い、母であるおばあさん(山姥)と相談の後、源頼光の家来として、坂田金時(もしくは公時)と名前を改めてついて行くことになり、後に立派な武士になりました。

物語りの流れから感じる物語りの特徴や判ること

・金太郎という主人公の立身出世?仕官物語り。
・童話特有なのか動物が金太郎と会話できる
・童話では、ほぼ出てこないが研究されているお話からは、龍の子供だとか、赤い顔、赤い体という普通とは異なることを強調されていたりするらしい。
・物語りの後話としては、大江山の酒呑童子退治(鬼退治)に参加しているが、金太郎(坂田金時)が主役ではない。
・私の記憶だけで行くと、熊と相撲取っていたくらいしか思い出せなかった

物語りを最大限簡素化すると

山で暮らす金太郎が、貴人に出会い勧誘された話

昔話【金太郎】の登場人物

金太郎 主人公 男
おばあさん 実母、山姥 女
山の動物達 金太郎の友達 不明
源頼光 都に帰る途中の貴人 男
渡辺綱 源頼光の家臣 男
卜部季武 源頼光の家臣 男
碓井貞光 源頼光の家臣 男

昔話【金太郎】の設定

・物語りの舞台の時代背景
平安時代中期(資料によると西暦976年という説あり)。
金太郎(坂田金時)は、実在していたかが不明確のようですが、源頼光達は、実在の人物のようで、藤原道長のいた時代のようです。

・登場人物の設定と主人公との関係性
【金太郎】の登場人物は、歌舞伎の題材になったり、浄瑠璃の題材になったりと個々の設定がそれなりに整っているようです。

 ・金太郎の設定
桃太郎のように現実離れした出生をもっている。
桃太郎の記事でも書かせていただきましたが、出典が思い出せないものの、昔話やおとぎ話などで、現実離れした話が出てくるときは、超人的な人という印象をつけるためという解説を読んだ記憶があります。
童話では、栗拾いに行ったときに谷を渡るのに木を倒して橋代わりにした話や、今回の記事でも書かせていただいた動物達と相撲をするシーン。童謡でも出てきますが、熊と相撲をとるなどが出ており、力持ちの印象を強めようとしているように感じます。
ただ、力持ち以外の特筆はありません。
源頼光達と出会ったときの年齢は21歳と思われるそうです。

 ・おばあさん(実母、山姥)の設定
童話とかでは、お母さんとして登場して特筆するところは特に無いことが多いです。
資料の鬼の系譜では、山姥という山の民とか当時の製鉄関係(砂鉄から鉄を作る)の人々ではなど書かれていましたが、詳しくは割愛します。
 ・金太郎との関係性
実母。父親については諸説あるようです。

 ・山の動物達の設定
特別な設定はありません。童話特有なのか、金太郎と話すことができています。
 ・金太郎との関係性
金太郎の友達。遊び相手

 ・源頼光の設定
西暦948年から1011年に実在した人物。
物語りでは、鬼退治や武勇伝が出ているものの作り話とされているそうです。
童話の中では、都に帰る途中の貴人として書かれていて、それ以外に特筆する設定はない。
 ・金太郎との関係性
都に帰る途中で金太郎に出会い、後に金太郎の雇い主になる。

 ・渡辺綱の設定
西暦953年から1025年に実在した人物。
【金太郎】では、金太郎と相撲を取って引き分けるほどの力自慢という形にとどまっています。
後の話となる、大江山の鬼退治(酒呑童子)や、茨木童子とのお話などでは主役として活躍する。
設定としては、源頼光の武装集団の筆頭、取りまとめ役で、物語りでは冷静沈着で、武勇に優れる人物とされている。
 ・金太郎との関係
都に帰る途中で金太郎に出会い、余興で相撲をとる。
後に金太郎の同僚で上司のような関係。

 ・卜部季武の設定
西暦950年から1022年に実在した人物。
【金太郎】では、金太郎と相撲を取って負けてしまっている。
後の話となる、大江山の鬼退治(酒呑童子)や、茨木童子とのお話などでは金太郎とともに参戦している。
設定としては、源頼光の武装集団の幹部で、物語りでは、武勇に優れる人物とされている。
 ・金太郎との関係
都に帰る途中で金太郎に出会い、余興で相撲をとる。
後に金太郎の同僚となる。

 ・碓井貞光の設定
西暦954年から1021年に実在した人物。
【金太郎】では、金太郎と相撲を取って負けてしまっている。
後の話となる、大江山の鬼退治(酒呑童子)や、茨木童子とのお話などでは金太郎とともに参戦している。
設定としては、源頼光の武装集団の幹部で、物語りでは、武勇に優れる人物とされている。
 ・金太郎との関係
都に帰る途中で金太郎に出会い、余興で相撲をとる。
後に金太郎の同僚となる。

略式的な物語りの流れ(物語りの型)

主人公の人物紹介→イベント的出会い→技量比べ→仲間になる→旅に出る

テンプレート(型)として思うこと

特徴と言えるのは、渡辺綱たちとの相撲くらいだろうかと思う。
前回の記事の【桃太郎】でも書いたが、簡素な物語であるのは、童話であり、それほど盛り込めないからであろうと、私自身の感想ですが、現在反省しています。
童話や昔話の【金太郎】は、後の話となる大江山の酒呑童子のお話の金太郎を紹介するようためのものにも見える。
また、物語の構造、テンプレート(型)として見ると、
力比べをして、仲間になっていく話に、ドラゴンボールや魁男塾のようなものの原型のように見えてしまった。仲間となる理由付けとしても、【金太郎】の話の中では、力を認めたみたいに感じにまとまっているところなどを見ていて、そのように感じる。

参考資料

ウィキペディアの金太郎のページ
マンガ 日本昔ばなし データベース
書籍 文芸社 鬼の系譜 佐藤秀治 

今回の記事について

記事のテンプレートとして、まだまだですが、参考資料のリンクや書籍名を記載させていただくこととしました。
もう少し工夫が必要かもしれないとは思いますが、精進したいと思います。
前回の【桃太郎】は、大きな流れを簡素にまとめた物語であるとしたら、今回の【金太郎】は、源頼光達との出会いによせた物語り。ワンシーンによせた感じに見えていました。
有名な童話という意味で、物語りの内容を知っているつもりでいたのですが、以前に興味で金太郎のことを調べていた関係で、童話や昔話での内容が、どの辺りまでだったか、記憶違いしていました。調べ直すことの大切さを痛感しています。
また、物語りの構造、テンプレートとしてどう表現しようか、少し考えがまとまっていないのが、もどかしくも感じています。
構想の中で、データとしてもまとめたい旨を書かせていただいていますが、たった2つ調べただけですが、物語りの作られ方の物語りの捉え方の違いを感じています。
そんな意味を込めて、前回の記事にも修正ではなく、追記しようと思っているのは、今回から足した参考資料の項目と、略式的な物語りの流れ(物語りの型)という項目を足すつもりでいます。
これが功を奏すればいいのですが、なんとも言えません。試して見る価値はあると信じたいと思っています。
また、データ化についての一考として、一つ記事として用いて、【仕事は楽しいかね】というビジネス小説の紹介と、アイデア探しについて書き、また、それの応用として、簡易データを作ろうと目論んでいます。
できれば、記事を増やすたびにデータを増やせる一覧になればと妄想しています。
機会があれば、ご覧いただければと感じます。

ではでは、話が長くなってしまいましたが、
ここまで読んでくださり、ご苦労様でした。ありがとうございます。
本日はこのあたりにさせていただこうと思います。
2024年01月15日(月)
指の歩み 池田修一

更新履歴として
2024年01月21日(日)
マガジンの目次 物語りを考えたいのお品書き 追加

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後出しの注意事項ではありますが、知っていただけると助かります。

記事の終わりに、後出しで失礼します。
次回からも、記事の内容の前置きにしては、クドクドとした注意事項ですので、記事の終わりにて定型的に、私の心構えや目的の内容を残すつもりでおりますので、ご了承いただければ幸いです。

物語の構造について、アイデアの種とすることを考慮する場合について、
記事の序盤、前回までの説明の中にリンクを添えさせていただきましたが、物語りの構造をテンプレートとして捉え、設定を変更していくことにより、新たな作品を模索するというアイデアは、岡田斗司夫さんの動画から来ていますが、私自身にも言えることですが、構造の捉え方や設定の仕方次第で、作品の盗用を疑われることを理解していただければと思います。
リスペクト、参考、参照したという便利な文言がありますが、物語りの流れも設定も構造も同じという作品は、盗用を疑われても仕方のないことです。
設定や構造を利用しつつ、物語りに新たな性格を吹き込む、芽生えさせることにより、似て非なる新たな作品になると感じていますし、ご理解いただければと思うばかりです。

話が少し変わりますが、
昔話、おとぎ話、童話などと、古くから語り継がれてきた物語りだけでなく、創作された物語りはどれもこれも、大小の差はあれど異なる解釈があります。それを否定するつもりは全くありません。
真偽のほどには、私自身が無知であり、作者本人に伺う機会があったとしても、解釈を誤解することは、よくあることだと意識的に警戒しています。
昔話のような古くからある物語ですと、それぞれの地域で語られている内容が異なることをもあり、それを研究されているという話は、ちょっとネット検索するだけでも出てきます。

どのような物語りにも言えることですが、私は、物語りの構造を知りたいと思っています。
また、先程書いたかもしれませんが、こういう活動で得たものを、アイデアの種にできたら良いなと考え、研究と呼ぶには恥ずかしいような内容ではありますが、調べ、新たな創作の種にすることを基本的な目的としており、できれば個人的にデータ化したいという下心もあります。
それ故に、個々の物語りの真偽や解釈の違いに対して、こだわりというものを、このシリーズ(noteでいうマガジン)にわざわざ付加するつもりはありませんが、(こういう解釈があるみたいぐらいは書くと思います)
下手をすると、物語りの多角化とか、バリエーションとして、どうやってデータ化するかという、アイデアの種という観点で資料になるかもしれないと考えています。
目に触れる方々それぞれに、考えや思惑、思いを持たれていることと想像しますが、どうか心地よく過ごされることを祈らせていただければと思います。
保身であり、出過ぎた真似とは思いつつ。
池田修一

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