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ポケモンのシゲルって結構いいやつだったな

子どもの頃はアニメに出てくるヒール役に『むむむっ!』と本気で腹を立てていた。

だが大人になってから見返すと『案外コイツの言うことも一理あるな』と思い直すことがある。

例えば初代ポケモンに出てくるライバルキャラ、シゲル。
こいつはオーキド博士の孫で、サトシ一行に旅の途中で出会っては事ある毎に嫌味を言ってくる。

しかもサトシと同じ10歳なのに何故かオープンカーを乗りこなし、ギャルの応援団を引き連れて旅をしている。

金、権力、女。
ヒールキャラの三大悪を詰め込んだ典型例みたいな奴だ。

アニメ ポケットモンスター1話 https://www.youtube.com/watch?v=soM4HD71b6k&t=311s

『サ~トシくぅ~ん、最初から遅刻かい?』

初っ端の登場から嫌みを言うシゲル。ポケモンを貰うのに遅刻したサトシをからかうのが初登場だった。

当初は『そんな言い方しなくてもいいじゃん!いじわる!』と思っていたが、改めて見返してみるとそこまでトゲのある言い方じゃなく、『初めからそんなんじゃ僕のライバルとしてコケってる!』と、サトシを奮起させてくれている。
つまりシゲルはサトシを自分のライバルだと認めてくれているのだ。

もしシゲルが本当にサトシの事を嫌いだったら『あ、ごめん、もう行くから。じゃ。』と素っ気ない態度で去っていただろう。

しかもよくよく見返すとシゲルは結構礼儀正しい一面もある。
シゲルは旅立ちの時に見送りに来ていた観衆に対し、

『見送りの皆様ご苦労様です!オーキドシゲル、只今よりポケモントレーナーの修行の旅に行って参ります!』

と元気よく挨拶をしている。
挨拶ができる子はえらい。

こうして素直に感謝の言葉を伝えられるから、女の子の取り巻きも寄ってくるのだ。

きっと子どもの頃は周りの状況や出来事まで俯瞰出来なかったのだと思う。

サトシとシゲルの表面上の言葉のやりとりしか見えていなかった。だから実際の描写以上にシゲルがヒールキャラに感じたのだろう。

そんな感じで子どもの頃見た作品を見直すと、意外と『このキャラ、こんな良い奴だったのか。』と思い直す点が多い。 

ちびまる子ちゃんのお父さんは酒癖は悪いが案外子ども思いだし、ドラえもんに出てくるジャイアンは他の子どもたちが遊び回ってる中、母親に店番を押しつけられるというなかなかに可哀想な奴だったりする。

サザエさんに出てくる花沢さんは不動産屋の跡取り娘で、小学5年生ながら両親が不在の時は家事の大半をこなすという生活スキルの高さを持っている。カツオは花沢さんのことを怪訝に扱っているが、めちゃくちゃスペックの高い女子に好かれているという事を自覚したほうがいい。

…やや話がズレた。
まぁ現実の人間関係もそうで、1対1の人間関係ばかり注目すると良くない方向に考えてしまう。だが、相手の生い立ちや周りの環境を俯瞰して見ると『あ、この人が言ってる言葉の意味はこういう事か』と、スッと胸に入ってくる事がある。

そもそも、『これはこうだ』と思いこんでいたのが、一歩引いて見てみると自分の勘違いだった…という事も珍しくない。

改めてポケモンの1話を見返してみた。
オープンカーを運転してたのはシゲルじゃなく、取り巻きのお姉さんだった。

子どもの頃の記憶ってテキトーだな。