夢日記:黒い森
こんな夢を見た。
海外で兄が行方不明になる。
探しにいくと、郊外の森が広大な黒いもやでおおわれているという話を聞いた。
その中に入ったきり行方不明になった人が多数いるらしく、兄が最後に目撃されたのもその近辺だった。
何故か現地に住んでいる後輩が一緒に探してくれるという。
黒いもやの中は、懐中電灯の光を当てても1メートルほど前方までしか見えない。
森に入るとすぐに四方がもやに覆われ方角などわからなくなった。
兄の名を呼びながら歩いていくと、何者かが前を横切った。
兄かもしれないと思い、必死で追いかけどんどん森の深みへと入っていく。
そうするうちに、いつの間にか後輩とははぐれていた。
ふいに追いかけていた何者かが止まり、私はその背にぶつかった。それは人間とは思えぬ、異様に細く、長く、毛むくじゃらの胴体だった。
その異様に呆気にとられ、動けぬ私の手を誰かがつかみ、引っ張った。引かれるままに私は逃げた。その誰かは兄だった。
逃げながらはぐれた後輩の名を呼んだ。遠くから声が聞こえ気がしたが、姿は見えなかった。
森にいたはずが、私たちはいつのまにか狭く錆びた階段をのぼり、工場か廃墟にあるような重く寂れた扉をいくつも駆け抜けた。
ようやく光が見え、私たちは脱出できたのだとわかった。
森で見たあれは何か兄に聞くと、あれはずっと我々の家系の者を狙い、つきまとってきたものらしい。
あの森に置き去りにするつもりだったが、成功したかは解らない、と兄は言った。
後輩は二度と見つからなかった。
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