5分で分かる!所得と収入の基本~所得倍増の計算方法~
はじめに:所得倍増という言葉の背景
自民党の総裁選候補者(加藤勝信)が「所得倍増」を政策として掲げました。また、実は岸田首相も「所得倍増」を掲げていました。
私たちは、それを聞いて「できるわけないだろう」と思うのが率直な感想だと思います。私もそう思いますし、「所得倍増」っていくらがいくらになれば達成なのかと、そういった知識がない人にとっては判断しづらい目標だなとも思います。「所得倍増」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持ちますか? 単純に給料が2倍になるということでしょうか?
実は、所得と収入には明確な違いがあります。この違いを理解することで、「所得倍増」の本当の意味と、自分の生活にどう影響するかが分かるようになります。
収入とは何か?
収入とは、個人や企業が得た金銭の総額のことです。給与所得者(会社員)の場合、収入は主に以下のものを指します。
給与
ボーナス
副業収入(ある場合)
例えば、年間の給与が400万円で、ボーナスが100万円の場合、あなたの年間収入は500万円となります。
所得とは何か?
所得とは、収入から必要経費や各種控除を差し引いた後の金額です。つまり、課税の対象となる金額のことを指します。
収入と所得の違い
簡単に言えば
収入 = もらったお金の総額
所得 = 収入 - 必要経費や控除
具体例:スーパーマーケットのケース
あるスーパーマーケットの1日の売上を例に考えてみましょう。
総売上(収入):100万円
経費:
商品仕入れ代:70万円
人件費:20万円
光熱費:5万円
所得:5万円(100万円 - 95万円)
この例では、スーパーマーケットの1日の収入は100万円ですが、実際の所得(利益)は5万円です。税金はこの5万円の所得に対して計算されます。
所得の計算方法
給与所得控除の仕組み
給与所得者の場合、収入(給与)から自動的に一定額が控除されます。これを「給与所得控除」と呼びます。
例:年収500万円の場合(2023年度)
給与所得控除額:149万円
所得:351万円(500万円 - 149万円)
所得控除と税額控除の基本
所得控除:所得から差し引かれる控除(例:基礎控除、配偶者控除)
税額控除:計算された税額から直接差し引かれる控除(例:住宅ローン控除)
所得倍増の計算例
では、実際に所得倍増を計算してみましょう。
具体例:年収500万円の会社員の場合
現在の状況
年間給与(収入):500万円
給与所得控除:149万円
所得:351万円(500万円 - 149万円)
所得倍増後
目標所得:702万円(351万円の2倍)
必要な給与:約851万円
計算方法
目標所得702万円に対応する給与所得控除を逆算
702万円 + 給与所得控除 ≒ 851万円
つまり、所得を倍増するには、収入を約1.7倍(851万円 ÷ 500万円)に増やす必要があります。
まとめ
今回、以下のことについて解説しました。
収入:もらったお金の総額
所得:収入から経費や控除を引いた額
所得倍増:単純に収入が2倍になるわけではない
所得倍増を考える際の注意点
収入の増加率 ≠ 所得の増加率
税率や社会保険料の変化も考慮する必要がある
物価上昇の影響も忘れずに
これらの基本を理解することで、「所得倍増」という言葉の本当の意味が分かり、自分の経済状況をより正確に把握できるようになります。
財務計画を立てる際には、単純な数字だけでなく、実質的な生活の質の向上を考えることが大切です。
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