済【退職給付】

・L1退職給付費用の計算
・退職給付債務:退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたもの
・退職給付:退職時or退職後に従業員に支給する①退職一時金(退職時一時的に支給される)or②年金(退職後一定期間ごとに一定額が支給される)
・年金資産:企業が退職給付に充てるために外部の年金基金などに積み立てている資産
・退職給付見込額のうち、認識時点(期末)までに発生してると認められる金額の求め方:①期間定額基準②給付算定式基準

・当期末退職給付債務(退職給付引当金)の計算
eg①入社~当期末6年②全勤務期間10年、退職予定時の退職給付見込額10000③割引率5%、年金資産無し
・退職給付見込額10000=10年間金額、入社~当期末6年分発生、支払義務あり
step1.当期末まで(6年分)の退職給付見込額=6000(10000✕6/10)
→将来の退職時の価値(期間定額基準)=後4年未認識
step2.当期末の退職給付債務(未認識分の割引)=4936
※年金資産無:退職給付債務=退職給付引当金
・当期(1年間)増えた退職給付債務:
①勤務費用:1年間勤務した
②利息費用:当期首退職給付債務の1年間利息
・当期末の退職給付債務(退職給付引当金)の計算(図)

eg①入社~当期末7年、全勤務期間10年、退職給付見込額10000、割引率5%②年金資産無し、当期首退職給付債務(割引後)4936。
step1.当期末まで(7年分)の退職給付見込額:7000
step2.当期末の退職給付債務=退職給付見込額のDCF=6047
step3.退職給付引当金の当期繰入額=当期末の退職給付債務6047-当期首退職給付債務4936=1111
【退職給付費用/退職給付引当金1111】(1年間増えた退職給付債務)
step4.利息費用=期首退職給付債務4936✕割引率5%=247
step5.勤務費用=
①当期増えた退職給付債務(退職給付引当金の当期繰入額)1111-利息費用247=864
②1年勤務の見込額1000のDCF=864

・年金制度:退職給付の支給に備えて、外部の年金基金に積立、年金基金に掛金を拠出
・年金資産:年金基金に積み立てた資産
・勤務費用+利息費用=退職給付引当金(負債)の増加、年金資産の積立=退職給付引当金(負債)の減少
・退職給付会計:退職給付債務から年金資産を差し引いた正味の債務額=退職給付引当金
eg年金基金に掛金800をCで拠出した
【退職給付引当金(年金資産の増加)/現金800】

・年金基金に拠出した金額は年金基金が運用する、時の経過によって年金資産増加。
・期待運用収益=期首年金資産✕長期期待運用収益率(期首の年金資産に予想される収益率)
・当期末の年金資産の金額を計算
eg①期首年金資産の公正な評価額:800②当期の長期期待運用収益率3%
・期待運用収益:800✕3%=24
・当期末の年金資産:800+24=824【退職給付引当金(年金資産増加)/退職給付費用(期待運用収益=受取利息=当社費用減少)24】
※期待運用収益増加=年金資産増加=退職給付引当金減少
・退職給付会計:【退職給付費用】【退職給付引当金】
①退職給付費用の増加=勤務費用+利息費用の増加②退職給付費用の減少=期待運用収益の増加③退職給付引当金の増加=退職給付債務(負債)の増加④退職給付引当金の減少=年金基金の増加

eg退職一時金8000をCで支給済
・退職一時金の減少=(企業が負っていた)退職給付債務の減少=退職給付引当金の減少
【退職給付引当金(退職給付債務)/現金8000】

eg年金基金から退職年金500が現金で支給された
【仕訳無し】
理由①年金基金の原資が減少、企業のCが減少無し
理由②年金資産の減少=退職給付債務の減少
【退職給付債務(退職給付引当金)/年金資産(退職給付引当金)】
理由③年金資産増加時【退職給付引当金/現金】
=退職給付引当金と現金の減少を処理済=企業が退職給付を支給した

・期末の退職給付引当金=当期増えた退職給付債務の金額計算(box)
・「年金資産」「退職給付債務」「退職給付費用」「退職給付引当金」
「年金資産」「退職給付債務」=「退職給付引当金」
「退職給付引当金」=「退職給付債務」-「年金資産」
eg①期首退職給付債務20000②期首年金資産の時価6000③割引率4%④長期期待運用収益3%⑤当期勤務費用4000
step1.期首退職給付引当金=期首退職給付債務20000-期首年金資産時価6000=14000
step2.退職給付費用計算
・勤務費用4000↑=退債↑=退引↑
【退職給付費用(勤務費用)/退職給付引当金4000】
・利息費用↑=期首退債20000✕割引率4%=800=退債↑=退引↑
【退職給付費用( 利息費用 )/退職給付引当金 800】
・年金運用収益↑=期首年金資産6000✕長期期待運用収益3%=180=退債↓=退引↓
【退職給付引当金/退職給付費用(年金運用収益)180】
step3.期末退職給付引当金=
①期首14000+勤務費用4000+利息費用800-年金運用収益180=18620
②期末退職給付債務24800-期末年金資産6180=18620

・期中年金基金へ拠出=年金資産↑
・期中年金基金から支払=年金資産↓+退職給付債務↓
・期首退引の計算(box)
eg①期首退職給付債務20000②期首年金資産時価6000③割引率4%④長期期待運用収益率3%⑤当期勤務費用4000⑥期中年金基金へ拠出額200⑦期中年金基金から退職者へ支払額190
step1.年金基金へ拠出:【退職給付引当金(年金資産)/現金200】
step2.年金基金から支払:仕訳無し【退引(退債)/退引(年金資産)】
step3.期末退職給与引当金=当期増えた退職給付債務=
①期首退引14000+勤務費用4000+利息費用800-年金運用収益180-拠出200=18420
②期末退職給付債務24610-期末年金資産6190=18420

・数理計算上差異:期首見込額と実際の数値の差異
①期待運用収益と実際運用収益の差異
②退職給付債務の当初割引率と実際割引率の差異

・数理計算上差異(決算仕訳)
eg①期首年金資産の公正な評価額800②当期長期期待運用収益率3%③当期年金資産の実際運用収益率2%、数理差異は発生年度から4年で定額償却
step1.期首期待運用収益=期首年金資産800✕期待運用収益率3%=24
【退職給付引当金(年金資産)/退職給付費用(期待見積運用収益)24】
step2.実際運用収益=期首年金資産800✕ 実際運用収益率 2%=16
step3.数理差異=期待運用収益24-実際運用収益16=8(不利)
頭の中:【未認識数理計算上の差異/年金資産8】→4年定額償却=2/年
step4.決算
(不利)【退職給付費用(収益↓不利差異)/退職給付引当金(年金資産↓=未認識差異の費用化)2】
※数理差異:(原則)発生年度から、平均残存勤務期間内、定額法or定率法で償却

・過去勤務費用(退職給付会計のルール変更による差異):退職給付に関する規定が改定され、退職給付の金額が変更され、退職給付債務の増加額or減少額。発生年度から定額法で償却(発生時一括費用処理もあり)

・期末退職給付引当金の金額計算box
eg①期首退職給付債務20000②期首年金資産時価6000③割引率4%④長期期待運用収益率3%⑤当期勤務費用4000⑥当期運用収益率2%、差異は発生年度から5年間で定額償却⑦期首差異無
step1.期首退職給付引当金=期首退職給付債務20000-期首年金資産時価6000=14000
step2.退職給付費用計算
・勤務費用=4000
・利息費用=期首退職給付債務20000✕割引率4%=800
【退職給付費用(勤務+利息)/退職給付引当金(退債)4800】
・期待運用収益=期首年金資産時価6000✕期待運用収益率3%=180
【退職給付引当金(年金資産)/退職給付費用(運用収益=退債=受取利息)180】
step3.決算:数理差異計算
・実際運用収益=期首年金資産時価6000✕実際運用収益率2%=120
・差異=60(未認識差異)、差異償却=12/年(当期認識差異)、期末未認識差異:48
頭の中【未認識数理計算上差異/年金資産60】+【退職給付費用/未認識数理計算上差異12】
決算【退職給付費用(不利)/退職給付引当金(年金資産)12】
・期末退職給付引当金=
①期首退職給付引当金14000+勤務費用4000+利息費用800-期待運用収益180+当期差異償却12=18632
②期末退職給付債務-期末年金資産-期末未認識差異

【まとめ】
・(期首)①勤務費用+利息費用
利息費用=期首退職給付債務✕割引率
【退職給付費用(勤務費用+利息費用)/退職給付引当金(退職給付債務)】
・(期首)②期待運用収益=期首年金資産✕長期期待運用収益率
【退職給付引当金(年金資産)/ 退職給付費用(期待運用収益) 】

・(期中)①掛金の拠出【退職給付引当金(年金資産)/ 現金】
・(期中)②退職一時金の支給【退職給付引当金(退職給付債務)/ 現金】
・(期中)③退職年金の支給:仕訳
【退職給付引当金(退職給付債務)/退職給付引当金(年金資産)】

・(決算)①差異把握:仕訳無し
・(決算)②不利差異償却【退職給付費用/退職給付引当金(未認識差異、年金資産↓)】
・(決算)③有利差異償却【退職給付引当金(未認識差異、年金資産↑)/退職給付費用】

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