【ソフトウエア、研究開発費】

★ソフトウエア、研究開発費
・目的によって、ソフトウエア制作費の処理は異なる
①研究開発目的のソフトウェア:【研究開発費/現金】
②市場販売目的のソフトウェア:研究開発費に該当する部分を除く無形固定資産計上
【ソフトウェア/現金】(人件費等)
※研究開発費に該当する部分:製品マスターの著しい改良にかかった費用
※無形固定資産計上:機能強化のため支出した金額、バグ取り
※ソフトウェア機能を維持するための費用=発生時の費用
※制作途中のソフトウェア制作費=「ソフトウェア仮勘定」(建設仮勘定)
③受注制作のソフトウェア
※他社から依頼されて制作したソフトウェア制作費は収益の計上に対応させて費用処理(工事契約の収益認識と同じ)
④自社利用のソフトウェア(制作or購入)
【ソフトウェア/現金】(無形固定資産)
※会社の役に立つなら、資産計上
※利用で将来の収益獲得が確実な場合、費用の削減が確実な場合、資産計上
※ソフトウエア制作費のうち、研究開発費に該当する部分=研究開発費計上

・ソフトウエア制作費の処理
①研究開発目的:研究開発費(全て発生時の費用)
②市販販売目的:ソフトウェア(無形固定資産)※機能維持に係る費用は発生時の費用
③受注制作:収益認識に応じる
④自社利用目的:ソフトウェア(無形固定資産)
※ソフトウエア制作費のうち、研究開発費に該当する部分=研究開発費

・自社利用のソフトウェア償却
・取得原価:利用可能期間(原則5年以内)、定額法
・償却額=未償却残高/残存利用可能期間

・市販販売目的のソフトウエア償却

【まとめ】
①研究開発費の処理:全て発生時の費用【研究開発費/現金】
②自社利用のソフトウェア償却額:原則5年以内、定額法
=未償却残高/残存利用可能期間
③市販販売目的のソフトウエア償却
A.見込販売数量or見込販売収益に基づく償却額
償却額=未償却残高✕各年度の実績販売数量(収益)/各年度の期首の見込販売数量(収益)
B.残存有効期間(原則3年以内)に基づく均等配分額
償却額=未償却残高/残存有効期間
A、Bの大きい金額+C
C.ソフトウエアの期末未償却残高>次期以降の見込販売収益:
超過額=当期の費用

・ソフトウェアの償却(市販販売目的)
※毎期の償却額はソフトウェアの未償却残高を残存有効期間で割った金額(残存有効期間による均等配分額)を下回るとダメ
※償却期間原則3年以内
※ソフトウェアの期末未償却残高が次期以降の見込販売収益を超過する場合、超過額は一時(当期)の費用で処理
・市販販売目的ソフトウェアの償却額=①or②(大)+③
①見込販売数量または見込販売収益による償却額
②残存有効期間(原則3年内)による均等配分額=未償却残高/残存有効期間
③ソフトウェアの期末未償却残高>次期以降の見込販売収益の場合:超過額=当期費用

eg①期首、ソフトウェア作成費(取得原価)12000、市販販売目的で見込有効期間3年
②制作費は見込販売数量により償却
③販売開始時の見込販売数量と見込販売単価と見込販売収益
×1年度:44個 @100 4400円
×2年度:28個 @80  2240円
×3年度:48個 @50  2400円
合計:120個 9040円
④当期1年度の実績販売数量・実績販売収益=見込
決算、見込販売数量による償却
step1.見込販売数量による償却額
=未償却残高×各年度の実績販売数量/各年度の期首の見込販売数量
=12000×44個/120個=4400(採用)
step2.残存有効期間による均等配分額=12000/3年=4000
step3.次期以降の見込販売収益と比較
①ソフトウェアの期末未償却残高:12000‐4400=7600
②次期以降の見込販売収益:9040‐4400=4640
③判定超過額:①‐②=7600‐4640=2960
step4.当期償却額:4400+2960=7360
【ソフトウェア償却/ソフトウェア7360】

決算、見込販売収益による償却
step1.見込販売収益による償却額
=未償却残高×各年度の実績販売収益/各年度の期首の見込販売収益
=12000×4400/9040=5841(採用)
step2.残存有効期間による均等配分額:12000/3年=4000
step3.次期以降の見込販売収益と比較
①ソフトウェアの期末未償却残高:12000‐5841=6159
②次期以降の見込販売収益:9040‐4400=4640
③判定超過額:①‐②=6159‐4640=1519
step4.当期償却額:5841+1519=7360

・見込販売数量等を変更した場合=会計上の見積りの変更:見直した年度以降、修正して償却
(見込販売数量、見込販売収益、残存有効期間は毎期見直すので、変更もある。)
①期首、見込販売数量等を変更した場合:当期から変更後のデータで償却額を計算
eg①当期末×2の仕訳、ソフトウェアの期末未償却残高と次期以降の見込販売収益と比較省略②前期首、ソフトウェア製作費12000(市販販売目的)、当期首の未償却残高7600、製作費は見込販売数量より償却③当期首見込販売数量の残りを74個に変更した、当期の実績販売数量26個④当期首の残存有効期間2年
step1.見込販売数量による償却額=7600×26個/74個(変更後)=2670
step2.残存有効期間による均等配分額=7600/2年=3800(大きい採用)
【ソフトウェア償却/ソフトウェア3800】
②期末に見込販売数量等を変更した場合:次期から変更後データで償却
eg①当期末×2の仕訳、ソフトウェアの期末未償却残高と次期以降の見込販売収益と比較省略②前期首、ソフトウェア製作費12000(市販販売目的)、当期首の未償却残高7600、製作費は見込販売数量より償却③前年期首見込販売数量120個、実績販売数量44個④当期実績販売数量26個、当期末の見込販売数量の残りを48個に変更した。⑤当期首の残存有効期間2年
step1.見込販売数量による償却額=7600×26個/(120個‐44個)(変更前)=2600
step2.残存有効期間による均等配分額=7600/2年=3800(採用)
【ソフトウェア償却/ソフトウェア3800】

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