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箱庭の灯

春、YouTubeのおすすめに出てきた「花瓶」を聞いて、Teleを知った。

新たな衝撃と安心感を持ち合わせるTeleの世界観に
私はどんどんのめり込んでいく。

そして、YouTubeからライブ映像にたどり着き、
これは絶対見に行くべきだと、
ほぼ即決でチケットを取った。

6月27日。Zepp福岡。
この日は1日中雨が降っていた。
私は休日だったものの、ライブ開演までの時間を完全に持て余していた。
家で画面から画面へと意味もなく目を移し続け、
最終的に自己嫌悪に陥った。

あー、今日、こんな状態でライブ行くの、なんか嫌だな…。

頭の中で自分を責める言葉をいくつも浮かべながら、会場に入った。

‐箱庭の灯‐ 開演。

「カルト」のイントロで、
ギラギラ光る赤い照明と、凄まじい重低音が、
一瞬で私の心の奥を刺した。

その時私はただ漠然と、
あ、爆発した。と思った。
何が、なのかはよく分からない。

ずっと画面越しに見ていた喜太郎さんの世界が、
今、何のフィルターもなしに目の前に現れた。
そして、そこには
腹の底から愛を叫ぶ喜太郎さんが、たしかに、居た。

気づけば私は手を挙げ、笑い、少し泣き、大声で歌っていた。

嫌なことなんて全部忘れた。
いや、本当は、「隠れた」が正しい表現なんだけど。

とにかく楽しかった。

鯨の子
最後、みんなで「灰になって 何度だって 何度だってゆこう」
を合唱しているとき、
喜太郎さんが不意に、この歌詞を畳みかけるように歌った。

君のタフさに全てを委ねないで
自由を愛する事をやめないで
人を疑い憎み諦める事こそ
賢いだなんて決して言わないで

鯨の子/Tele

私はこの歌詞が好きだ。
自分が愛したいものを、ただ真っ直ぐに信じて生きよう。
と、何度も思わせてくれる。

喜太郎さんはいつも、そうしていいと、肯定してくれる。
これはあくまで私の解釈だけど。

そして、彼がライブ終盤に語った言葉も印象的だった。

「僕がやっていることは、箱庭療法と似ていて。
むしゃくしゃした感情を1個1個、音にして、
自分という箱庭に落とし込んでいく。
そういう作業なんです。
でも、本当はそんなの要らないんです。
箱庭はあなたの中にあって、
今、ぼんやりと光っているその灯が、
あなたなんです。
あなたが、
あなた自身の箱庭の灯を見つけられることが
僕の願いです。」
(※あくまでニュアンス)

彼の音楽が、言葉が、私のこの日のモヤモヤを全て取っ払ってくれた。

私は、私の灯を見つける。そう誓った。



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