たいち君の場合(8)
深夜いつもの「遊び相手」を探していたとき、偶然にも、あの時の相手を見つけた。たまたま彼も、近くに引っ越していたらしい。話は早かった。今度は逆に、僕が彼の部屋に行くことになった。僕のマンションからは少し距離があった。歩調を強めて歩いた。相手にたいち君を重ね合わせ、あの冬の日に、相手を貪り尽くした時の快感を思い出した。彼のマンションまでの距離は、もう一度それ求めてやまない欲求を何度も反芻させ、心と中心を疼かせ、脈動させ、破裂させるには十分すぎる距離であった。
リエゾンが切れかけ