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たいち君の場合

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高校時代からの友人「たいち君」について、今まで書き溜めていたものを推敲・アレンジしたものです(R18な部分もあります)。僕は彼に翻弄されながら、恋愛感情を持ちました。その感情は未…
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#恋愛小説

たいち君の場合(5)

「#いま私にできること」と言うハッシュタグを見つけた。 表現することは物を救うことであり、物を救うことによって自己を救うことである。三木清「人生論ノート」より 高校生の時に読まされました。大学生の時はよく読みました。 「いま私にできること」とは、やっと確保できた時間(now)で、辛い思いを吐き切ることだと思う。吐き切って、自己=過去と現在の私を救う——、これが「#いま私にできること」だと信じて「たいち君の場合」を続ける次第です(殆どポルノ小説です……)。 たいち君の場合

たいち君の場合(3)

あの夜の出来事の後、たいち君に急に彼女ができた。僕が知っている相手で、かつて同じサークルにいて、確か僕と同じタイミングか、少し遅れて辞めた女の子(仮名・みどりちゃん)だった。彼女も違う大学から、僕のいたサークルに入っていた。彼がどのような理由で彼女を選んだのか(同様に、彼もどのようにして、彼女から選ばれたのか)は判らないのだけれども、少なくとも「見た目」の点だけで言えば、彼女には大変失礼なのだけれども、とてもアンバランスだった。成宮君似(少し崩した感じ)と小柄・寸胴・エラが張