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エンタープライズ向けSaaSの難しさ、其の壱

年末年始も仕事のことを考えている親愛なるみなさん、こんにちは!

今日はPortXの開発をする中で僕が感じている、エンタープライズ向けSaaSの難しさについて書いてみようと思います。

エンタープライズのお客様は自社に最適化された業務フローを持っています。そこにコンピュータの計算が入り込んでいることもあれば、そうでないこともあります。

どちらにしてもお客様にとっての現状の満足解がそこにあります。

新しいシステムを業務フローに組み込むためには、お客様の満足解を下回らないようにしなければなりません。エンタープライズのお客様は、担っている社会的責任が大きく、抱える従業員の数が多く、業務効率が止まってしまったときの影響範囲が広いため、一時的に業務効率が下がってしまうことを許容しずらい場合が多いです。よって満足解を満たさないシステムは導入できません。

それなら、お客さまの満足解を満たすような仕様にすれば良いということになります。

しかし、お客様Aにとっての満足解は、お客様Bにとっての満足解とは異なります。お客様Aにとっての満足解が、お客様Bにとっての満足解と共存できない場合も多くあります。これがSaaSベンダーにとっての難しさです。

また、SaaSの立ち上げでは、とりあえず導入してもらった後に、使いづらさや機能の足りなさをフィードバックしてもらい、それを元に必要な改善や機能追加を行うというループを回すのが鉄則です。しかし、エンタープライズ向けだと機能が足りないシステムはそもそも導入できません。

僕の現状の結論としては、この難しさを乗り越えるためにはお客さまの業務をリファクタリングすることが必要不可欠だということです。

ソフトウェアエンジニアリングでは、複雑なロジックはリファクタリングをしてから改善することが良いプラクティスとされていますが、それは業務フローに関しても同じです。業務フローにおけるリファクタリングとは、アウトプットやパフォーマンスを変えずに業務フローをシンプルにし、其の後に、ソフトウェアによって少しずつ置き換えていくということです。システムを導入する前に、アウトプットやパフォーマンスを変えずに業務フローをシンプルにするというのがポイントです。

"アウトプットやパフォーマンスを変えずに業務フローをシンプルにする"というお仕事は、元々コンサルティング会社やSI会社が行っていたことだと思います。そのため、SaaSベンダーがそこまで踏み込んでやるべきではない、という認識は社会に広まっているように感じます。

しかし、僕がPortXを開発していて感じているのは、複雑な問題を対象としているエンタープライズ向けのSaaSは、業務フローのリファクタリングまで踏み込んでやっていかないと、成果を出しずらいということです。

具体的には業務のリファクタリングをしないと、以下のどちらかに帰結します。

1. プロダクトの仕様が右往左往してしまい前世紀的な複雑なERPを再生産してしまう

2. そもそも導入できない

ここまでで業務フローのリファクタリングが必要不可欠だと認識いただけたかもしれません。

一方で、業務フローのリファクタリングはもっと難しいんじゃないかという反応もあると思います。そこの領域はシステムだけで完結せず、人間同士のやりとりが入ってくるので難しいのも確かです。

業務フローのリファクタリングをどう推進していくかは、僕も現在模索しているところです。

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