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【空想と記憶の間】僕は鈍感ですか?

※これは空想と記憶ですが、95.1%は戯れ言です


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隣に住んでいる同じ高校の幼馴染は、
なぜかいつも僕の部屋に勝手に入ってくる。

その日も僕がベッドに転がって
『星の王子さま』を読んでいると、
突然、部屋のドアが開いた。

僕は驚いて、枕の下に本を隠した。

彼女は当たり前のように
僕の椅子に座って、僕を見下ろした。

「なに、セクシーな本?」
「え? 本はみんな四角じゃないの?」

曲線的な本があるのだろうか、
とふと思った。

「ちがうよ! もう!」
「へ? なにが?」
「いいから! 私の方が変みたいじゃない!」
「え! 僕の方が変なの?」

いったい何の話をしているのか、
さっぱりわからない。

日頃から「鈍感だ!」と言われるのだけど、
僕はそんなに鈍感なのだろうか。

自分では、そこそこ気がつく方だと
認識しているのだけど、
どうやら、まわりとは乖離しているらしい。

ちゃんと髪を切ったことにも気づくし、
鞄を新しいのに変えたことにも気づいた。

気づくだけじゃダメなのかな?
そもそも鈍感の定義が、
間違っているのかもしれない。

僕はスマホで『鈍感 意味』を検索する。

『感じ方が鈍いこと。また、そのさま』

感じ方が鈍い、ふむ。
では、僕は鈍感ではないな。

季節の風も感じるし、雨が降るのもわかる。
なんだ、敏感ではないか。

スマホから目を離し、幼馴染に訊いてみる。

「ねぇ、僕は敏感だよね?」
「はぁ? なに言ってんの! 知らないよ!」

なんで怒ってるんだ?
何かまずいことでも言ったのか?

「バカなの?!」
「え! 僕はバカなの?」
「私がきいてるの!!」

なぜか激怒モードの幼馴染は、
顔を真っ赤にして椅子から立ち上がった。

「帰る!!」
「え? 何しに来たの?」
「偵察!!」

ドアがバタンと音を立てて閉まった。

「偵察?」

僕は『偵察 意味』を検索する。

『敵の様子や動きを観察・観測すること』

「敵、なのか?」
僕の疑問は、ひとりごととして終わった。

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