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新紙幣の盲点

ユーシロです。

日本銀行の発行する紙幣のデザインが来月の7月に新しくなり、新紙幣の発行が意外なところに影響を与えています。

例えば、出版業界では4年前に新紙幣のデザインが発表された時、3人の伝記が売れたそうです。

その3人とは、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎。それぞれ、新紙幣の顔になる人物で、中学受験にはこの3人についての問題が出題されるとも噂されていました。

そして、これから影響を受けるのが、僕たちの財布だ。それは、財布の中に入っている紙幣が変わるという単純な話ではなく、入っている紙幣の量が間違いなく減らされることだ。

その兆候は起きており、2023年10月、三菱UFJ銀行の窓口での振り込み手数料が、最大990円に上がった。引き上げた理由は、マイナス特需を埋め合わせるためで、そのマイナス特需こそが新紙幣発行への対応であることが伺える。紙幣処理のために使用しているATMなどの機械を全て新札に対応させないといけないからだ。

新紙幣の発行が、紙幣の処理を行う機械メーカーに特需を生み出しているとか、1.6兆円の経済効果があるというニュースを聞いた人も多いが、経済効果というのは、仕事が増えて、お金も増えると言う話ではない。

仕事が増えるのは間違いないが、お金は移動しているだけで、機械メーカーにとっては特需でも、支払う側にはマイナス特需になります。

日本銀行は紙幣を発行するために新しく印刷機械を買わないといけないし、金融機関はATMなどの機械を一新する。民間企業は自動販売機や駐車場の精算機などを買い替える必要がある。これら機械の購入に使われる費用の合計が1.6兆円だ。これを経済効果と呼んでいる。

1.6兆円分の特需によって、ATMを作る会社や関連する会社の売り上げが増え、そこで働く従業員の給料は増えるし、新たに雇われる人もいて、ここまではいい話だ。

ところが、1.6兆円もらえるのは生産者側の視点に過ぎず、社会全体の支出も1.6兆円増えている。1.6兆円を1億2000万人で負担するということは、1人あたりにして1万3000円。この負担を、新紙幣を使うためには仕方ないと割り切れるだろうか?

このことから学ぶ教訓としては


「経済効果」という数字に踊らされてはいけないということだ。


2025年に開かれる大阪万博も2兆円の経済効果があると言われている。しかし、大事なのは「どれだけの幸せをもたらすか」を考えることで、それによってどのような未来が作られるかが重要だ。金額が高いからといって、幸せが増えるとはいえない。

そして、この経済効果によって、お金がどこからどこへ流れているかについても考えないといけない。自分の財布から流れ出たお金を既得権益のある会社が受け取っているだけなのに、喜んでいるのかもしれないのだ。

民を救うことを目的にしていたはずの経済が、その意味を失いつつある。


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