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書くことの原点回帰

トークイベント「私を編む―—暮らしと仕事のテキスタイル」に参加した。
登壇者は古賀及子さんと藤岡みなみさん。

「編集」をメインテーマに、日記とエッセイの違い、またライター人格とエディター人格についてなど「何をどのように書くか」についてのトークイベント。
古賀さんの日記を読んでnoteを始めた人間としてこれは聞き逃せないと、イベント情報のリリースを見た瞬間に歩道の端にベビーカーを止め、即座にチケットを買っていた。


noteを書くことが楽しくて、でももっと読まれたいという欲が出てきたり気合いが入りすぎて逆に書けなかったり、書きたいことはいっぱいあるのにどうやって書くのがいいのかわからずもどかしい現状に何かヒントをもらいたいという希望もあった。

書きたいという気力をもりもりもらえる対談


以下、トークイベント中の印象的だったパワーワードと共に備忘録として所感を書きます。

『あなたたちのすべてが絶対おもしろいと思っている』

生きているだけで、存在するだけで面白い、それを一旦肯定してみる。
日常をいつくしむことを恥ずかしがらない。
そうすることで見えてくる面白さがある。

古賀さんの日記に書かれている些細で愛おしい瞬間は、こういう視点を通してこそ捉えられるんだなぁと思った。
一歳児の息子と過ごす今の日々はそれこそ生きているだけで面白いと思うような瞬間ばかりで、でも今の自分はその鮮度を逃しているような気がした。
「いつくしむ」目を持って日々を過ごしてみよう。

『忘れちゃう贅沢』

日記を書いている人は日記を書けなかったとき、書かなかったときに、もったいないと感じたり焦ることがあると思うが、だからこそスルーする贅沢さ、その価値もある。

最近まさに感じていたことだったので大きくうなずいてしまった。
日記が習慣になっていたり書くことが好きな人は共感できるのではないだろうか。
色んなことを書き残しておきたい、そうしなきゃもったいないという感覚、そしてそれを手放すときの惜しい感覚。
育児中の今、書ける時間があったりなかったりでしょっちゅうその感覚に陥っていたが、でもその惜しさって確かに贅沢でもあるよなぁと。
書けなかった日はその贅沢さをかみしめることにする。

『日記がタイムトラベル装置』

日記を読むことでその時の感情が思い出される。
たとえ日記で嘘をついたとしても、その嘘をついた自分の姿ごと思い出す。

日記に書くことによって過去はたまた未来へ思いをはせるきっかけになるというのは、私が日記を好きな理由とも重なる。
タイムトラベルという表現が素敵だな。
イベント後にその場で藤岡さんのZINE「超個人的時間旅行」を買った。

『思い出して書くことは息を止めてもぐる感覚』

エッセイを書く時は自分の内部に深く深くもぐっていく感覚。
書きながらどんどん思い出していったりする。

エッセイも書きたいと思いつつ、いまいち日記との書き分けが難しくてあまり挑戦できていなかったので、この深める感覚の表現はわかりやすかった。

『毎日書くことを強制していたら色気を出そうにも出せない』
『大事なものを差し出しているわけだから、反応に惑わされない』


やっていくうちに、反響があろうがなかろうが自分がいいと思うものがわかってくる。
そうしないと簡単に自分らしさは毀損されてしまう。
毎日書くことを優先していたら、読まれるものを書こうという色気を出す余裕がなくなる。だから気負わず書く。

質問コーナーで「読まれたいという欲が出てしまって書けないことがある。書いたものへのリアクションを参考にして次の作品の編集に生かすことはあるか」と僭越ながら質問させていただいた。
反響を気にしてしまうのはわかると共感してくださりつつ、評価に惑わされず気負わず書いていくことを勧めていただいた。
古賀さんは毎日書くことを自分に強制されていたそうで、そうすると欲をだす余裕がなかったと。
私も自分がいいと思うものがわかるまでは毎日更新を目標にしようかな。
藤岡さんが日記を公開することを「大事なものを差し出している」と表現されていてなんだか泣きそうになった。

最後に店主の大森さんが、お二方のように「何のために書くのか」をはっきりさせてそれを軸に編集者視点を持てば読まれるものが書けるんじゃないかとおっしゃっていて、はっとした。
私ってなんで書いているんだっけ?
まずはそこからもう一度見つめなおしてみよう。

走り書きなので、アーカイブを見てまた追記・編集するかも。
古賀さんの相変わらずの突き抜ける明るさとパワー。
藤岡さんの博愛的思考と誠実さ。
お二方の人柄から紡がれた言葉たちに勇気をもらった。
文フリに出店されるそうなので、そちらもぜひ行きたいなー。


今回のイベントは5/13まではアーカイブ視聴が可能らしいです。↓
そしてこの三鷹ユニテさんは本当に素敵な本屋なので、お近くであればぜひ行ってみてほしい。

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