予報通りに降った雨が 膨らみかけた桜の蕾伝い落ちて 誰かが涙に喩えた 君の瞳に この涙は何色に映るだろう 彼には仲間がいた 青春を共にしたかけがえない友が いつまでもこんな時間が続く そう思っていた そんな日々に終わりが来た 突然ではなかった 気付かないふりをしていた 「最後は笑顔で」 誰もが言う でもできなかった 景色が滲んでいった 予報通りに降った雨は 空見上げる君の頬を伝い落ちて やがてメロディーになる それは時に鈍色に光って 赤く腫れたその心 冷やしてくれる
豪奢なドレスに 絢爛なアクセサリー ここはパーティーホール 誰の招待かは知らない 気付いたらここにいたんだ 「ここに居たいなら 服は真っ白であること」 不思議なルールだ でも仕方ない だって皆そうしてる 誰もが誰かの汚れ探しに 躍起になってる 自分のシミは当て布で隠してるのに 斯く言う僕もそうだ あの日ついたシミを 誤魔化し 繕いながら 「真っ白です」みたいな顔でここにいる 見えない誰かに怯えながら ----- どんな顔して どこまで歩けばいい? 呷るアルコール 他
君に伝えたいことがあるよ こんな前置きをしたら 勘のいい君はもう 気付いているでしょう この箱の中身に どうしてだろう とても怖いんだ これまで何度も積み重ねた 他愛無くて 愛おしいやりとり それと何も 変わらないはずなのに この気持ちを贈るのは とても勇気がいる それはきっと 一生に一度のギフトだから これを受け取ったら 君は嬉しいのかなぁ? 何度も何度も悩んで 立ち止まる袋小路 君が喜んでくれるなら 世界中 飛び回って 欲しいもの 探してくると誓おう 蓬莱の玉の枝
今日もまた誰かが 世界に吠える 森羅万象に噛みついて それでも遣り場のない怒りを 1足す1は2だと信じて 多様性を盾に誤魔化す世界を 許すことができずにいる 顔の見えない暗殺者 僕かもしれないし 僕だったかもしれない そんな「誰か」がどこかにいる 深い怒りの中で 誰かを悪者だと思いたくなるけれど きっと簡単に割り切れない 果てのないBad End 乗り越えて 何処かへ 今日もまた誰かが 孤空に叫ぶ 有象無象に押し流され 届くことのない虚ろな痛みを 死にたい 消えたい
大好きとは 少し違う キライなわけでは全くない イヤなところもたくさん知って そしてたくさん知られてる 気分屋だったり 嫉妬深かったり 色々根に持ったり そんなところも含めて愛してる なんて、言えるほど でかい器は持ってない でも そんなキミが愛しいんだ どうしようもなく 大好きとは 少し違う キライなわけでは勿論ない 君なしでもきっと生きていける でも、キミと生きていきたい こんな気持ちははじめてで うまい言葉が見つからない 愛ってこういうことなのか 正直僕には
「それ」は世界中どこにでも生まれ そして前触れもなく消えるらしい 「それ」は長続きするものもあれば すぐ消えるものもあるらしい 「それ」は誰もが欲しがって 時に傷つき 時に涙するらしい でも「それ」の姿形を知る人は この世界に1人もいないらしい 僕らはつい 何でも知った気になるけれど 君の冷めた目が そうではないと教えてくれる 心配性な君は いつも形で示してほしいと言う 能天気な 僕の言葉は 吐く息と共に空へ溶ける いっそ心臓ごと 君にあげられたら 余すことなく伝
どうして太陽は ひとつしかないんだろう そんなだから 東から昇れば西に影が落ちる ステージのスポットライトの様に 太陽がいくつもあったなら 僕の影も そして君の影も 覆い隠してくれただろう 津波の様な情報の中で 溺れてしまいそうな現代だから 大きなうねりに流されるのがいい でも僕は離さず持ってるよ 君が見せてくれた光 荒波の中でもみくちゃになっても 変わらず美しいもの どうして僕らの目は ふたつしかないんだろう そんなだから 影を見ると光が見えなくなる 全知全能 神
人生が どこかの誰かが書く 小説だとしたら いつか 聞いてみたい 下線を引いた出来事(センテンス)の 筆者の意図を 例えば あの日 ただの友達だった キミとボク どこにでもいるクラスメイト そうだったはずなのに あの日 なぜキミは 他の誰でもなく ボクを呼び出したの? 単なる気まぐれ それとも運命? どちらにしても ボクを主人公にした恋愛小説は 始まってしまった 結末も わからぬまま この世界に 忘れてはいけない光景が あるとして 「恋が終わった」と 泣きな
さあ 今日もまた一人 確実に仕留めていく 大丈夫 怖くはない 余計な感情は 黒が塗りつぶす 仕事ではないが 罪悪感もない エゴの赴くまま 標的(ターゲット)探して どこで食指が止まるか 嗚呼 楽しみだ 出来心でした 1回目のあの時は 今やオニキスの様な 快感に魅せられて もう戻れない 遠い遠い どこかから 蜘蛛の糸を絡ませる様に 少しずつ でも着実に蝕む そう これはまるで完全犯罪 今日の被害者がほら 明日にはもう手を染めてる 増え続けるミイラ 狩りの道具は もうその
君にあって 僕にないもの 僕にあって 君にないもの すぐにくらべて 欲しがって みんな ないものねだり ----- グルメに恋人 絶景にブランド 僕の掌の上 今日も誰かが報告 今日も僕たちは 誰かが持ってるものに ほら 踊らされて 君にあって 僕にないもの 僕にあって 君にないもの すぐにくらべて ほしがって みんな ないものねだり そんなもんが 何になるのか どんなもんだ 手にしてみれば お腹いっぱい それもそう 手に入れれば それでOK あとは さあ 拡散
何年振りだろう 恋愛小説なんか 手に取ったのは いつかヒットした小説を 人気俳優で映画化 よくある展開に世間は沸いて 僕もまたその一人 駅前の喫茶店 最近は専らブラック 歳だと自分で茶化しながら 過ぎた月日分 指を折る そしてふと思い出して漁る 本棚の中には 記憶通り 話題のタイトル 文庫本 抜き出すと 桜の花びら 閉じこめたしおり ----- 何年前だろう まだ青く ほろ苦かった あの春の日は いつか隣 歩けたら 憧れるだけの僕は 君からすれば ただのワンオブゼ
「永遠って、信じる?」 そんな君の問いに 僕の答えは「Yes」だ 希望も込めて だからこそ迷いなく そんな僕の態度に 「調子いいんだから」と君は笑う 「生きた証」なんて言えるほど 大それたことはしていない 今日僕が消えてなくなっても 明日にはまた 歯車は回りだす 僕を忘れたことすら すぐに忘れるだろう でも君は忘れないでいて どうか どうか 僕があけた穴 埋めたりしないで たまに寒がってみせて 僕は僕なりに 駆け抜けるから その瞳閉じても 焼きついて残るように
勝手知る街 いつも通る道 スーパーを抜け 駅を越えて 高速の高架くぐると そこはフロンティア 見知らぬ街で 聞くはあの曲 「もっと 大きなはずの 自分を探す 終わりなき旅」 歩くごとに濃くなる 波の香りが 遠慮がちに言う 〝本当にこのまま 行くんですか 「果て」があるだけなのに〟 知ってる だから行くんです 行けるとこまで この世は果てしない 言葉通り 今日もまた 知らないところで 知らないことが生まれて 広がる フロンティア 無限の可能性 新しい自分 終わらない
書き出しを読んで 好きな本だと直感した そんな出会いもあるんだな、と たいしたことじゃないけれど 今日という日に ほのかな彩り 陽のあたる道 歩きながら 今日はメレンゲの気分 水たまり ふわり 飛び越えていく いち、にの、さん、で まずは右足 すべてが順調ってワケではなし むしろ うまくいかないことばかり 向かい風の中 走り続けたら 疲れてしまうから 振り返ったりなんかしながら 音符の虹渡るよ 昨日の夕食 君との会話思い出す なんでもなくて 愛しいな 心がくすぐったく
「今日、ひま?」 君からの連絡は いつもこんな感じ 「うん、ひま」 そっけなく返して 予定が決まる 約束は19時 昼を抜けば ギリギリ間に合うはず 最後の仕事は 明日の自分に任せ グラデーションの街を行く 信号待ち 吐く息が白い 何を話そうか 悩むまでもない きっとお決まりの 思い出話 色々な君を見てきた 目があってふいに笑いかける君も 失恋したと泣く君も そのどれもが特別で 僕は胸が苦しくなる そして 君の心の中だけ 僕は見れずにいる 「星、見に行こう」 君からの提案
夕暮れ時 街に出ると 厚手のコートと 薄手のジャケットが 世界を分け合っていて コートのボタン留めながら 決着の刻はそう遠くないと そんなこと思ってる ハロウィン仕様のお菓子が ワゴンに放り出されるのを横目に 街はいそいそ着飾って そこに 時間の残酷さを認めるのは きっと僕くらいだなんて そんなことも思ってる 忙しない世界の中で 心に移りゆくよしなしごとは 書き留める間もなく 上書きされてく それは寂しいから 今日は 歩きたい 浮ついた喧騒を離れ 当てもなく どこか