ヨルシカ盗作レビュー番外編
タイトルの通り、ヨルシカの新譜「盗作」のレビューの番外編である。まだ本編を書いていないのだが、まあそこまで気にすることはないだろう。なんとなくもったいなくて開封できていないから本編はまだ書けないのだ。自分はこういう節がある。楽しみにしていたCDが手元に来ても何となくもったいぶってしまって開封するのは二三日後というのはざらだ。
こんなご時世だから、最近はあまり外出自体をしていない。なんとなく日記のようなものを書くつもりなので、長くなるうえに内容はレビューですらないが、暇な人は読んでみてほしい。
7月31日、久しぶりの外出。タワーレコードに楽しみにしていた「盗作」初回限定盤を受け取りに行く。本当はフラゲ日の28日か発売日の29日に行きたかったけれど、なんせ大学の期末テストとレポートに追われていたから仕方ない。直前に誕生日を迎えていたから自分への誕生日プレゼントと、前期の科目はどれもそれなりにいい成績を出せそうだからその前祝いという意味も込めてのご褒美だ。試験が全部終わってから受け取りに行こうかとも思ったが、一週間以上放置しておくと先着者限定特典がなくなってしまうかもしれない。自分の経験上数日は大丈夫だが一週間は不安だ。
電車に揺られること少々、久しぶりに梅田に降り立つ。梅雨明けしたと聞いていたのにほんの少し雨が降り出している。まだ持ちこたえてくれるだろうと思ってJRの駅から上へ上へとエスカレーターを登っていくとそれなりに見晴らしのいい場所に出る。高いところからの景色はいつ見てもいい。スカイビルは窓に周囲のビルを反射してきらめいているし、下のほうでは重機がたくさん動いている。梅田墓というけっこう大きな遺跡がある場所だが、調査はすべて終わってもう本格的な水道管敷設の工事に移っているはずだ。空は厚く黒い雲が立ち込め遠くは大雨で霞んでいる。そのくせはるか向こうでは雲の隙間から日が差し込んでいてその一点だけはやけに明るく眩しかった。
そうこうしているとここでも雨が降ってきた。急いで建物の中に避難して今度は下へ下へと降りていく。途中には蔦屋書店があって、なんとも優雅な雰囲気だった。本はたまにしか読まないが好きなので、ぐるりと見て回る。夏は無性に読書がしたくなるのは僕だけだろうか。今年はあまり暑くないせいか読書熱はやや控えめなものの、毎年夏は読書がしたくなる。特に今年は例年と比べてやたら時間が余りそうだから本に没頭してみるのもいいかもしれない。外出はしづらいし友達とも遊びづらいくせに大学の夏休みは変わらず長い。良くも悪くも時間に余裕ができそうな今年だからこそ有意義に過ごしたいものだ。…とは言うものの思い返せば、夏は成長の季節とかいう割に夏を有意義に過ごせたためしなどただの一度もない。受験期ですらそうだった。みんなこんなもんだろう、だらだら過ごすのも醍醐味のうちだ。
建物から外に出ると大雨がついに大阪まで来ていた。馬鹿と煙は高いところが好きなんていうが、わざわざさっきビルの屋上まで行って景色を見ていた僕はバカの部類だったのだろう、なんせ知っていたはずの地下街の存在を忘れて折り畳み傘を取り出して雨の中を阪急の駅目指して突っ切っていったのだから。傘をさしてから地下を通ればよかったなんて思ってももう遅かった。雨は七分丈のズボンの裾を容赦なく濡らす。唯一、折り畳み傘を新調していたのが救いだった。茶屋町のタワーレコードに行くまでにもう一度屋根のないところを歩かなければならないと思うと気が滅入った。
阪急の建物の中を突っ切ってHEP FIVEのほうに出る。ここも当然大雨。今日で梅雨が明けたとはとても思えなかった。
少しでも建物の中を通ろうと地下の三番街に降りる。しかしここでも僕は方向音痴のバカっぷりを発揮して、北に進んでいたつもりが地下に降りたのと同じところから地上に上がってしまった。本当にバカだ。去年はなにかと梅田に来る用事があったから地下街の構造も大体わかっているはずなのに、あきれるしかなかった。仕方ないから地上ルートでそのまま茶屋町のタワーレコードを目指す。
目的地に着く。しかしここで目的のものを受け取ってさっさと帰るのは気に食わない。いろいろと見て回るのも楽しみのうちだ。それに、盗作以外にも買いたいCDがあった。RADWIMPSの天気の子だ。去年は映画を見る機会がなかったものの今年に入ってからやっている劇場があったので見たのだが、なかなか良かった。そもそも天気とか空は好きだし、大学在学中に気象予報士試験に受かりたいと思っているくらいだ。それにRADWIMPSも好きなのでぴったりはまった感じがした。CDには主題歌のフルバージョンが全部入っているものと、主題歌はショートバージョンだが代わりに劇中で流れた劇伴まですべて入っているものと二種類あって、金銭的にも両方買うのはちょっとしんどいので結局前者のほうだけ買うことにした。後者はまた欲しいと思えば買えばいい。
そして、実はもう一枚欲しいと思っていたCDがあったのだが、これがもう売り切れていた。ヨルシカのギター・コンポーザーのn-bunaさんが出した「花と水飴、最終電車」だ。もともと彼はいわゆるボカロPで、これも数年前のボカロアルバムなのだが最近になって猛烈に欲しいと思うようになった。棚に置いていなかったので急いでネットで調べてみると自分の調べた限りではどこのサイトでももう売っているところはなさそうだった。茶屋町のタワーレコードに行けばたいてい何でもあると思い込んでいたのが災いして結構なショックを受けた。
ただ少し気になったのが、タワレコのサイトで調べてみても初回盤在庫取り扱いなしとしか書いていない。もしかして通常版はそもそも発売してないのだろうか?前にも書いたように音源を手元に置いておきたいというのがCDを買うメインの動機なので通常版で構わないのだが、そもそも初回盤しか発売していないとなると困った。誰かこのことについて知っている人がいれば教えてほしいし、ぜひもう一度店頭に並んでほしいものだ。
大きなショックを受けたものの、ないものはしょうがないのでそのままレジへ向かう。天気の子のCDをカウンターに出して、ヨルシカさんの新譜の予約をしていたのですが、と告げる。裏手に予約商品を探しに行った店員さんがほどなくして戻ってくる。5000円以上の買い物で500円オフのクーポンがメール配信されていたので使う。そしてポイント15倍になる誕生月クーポンを開こうとごそごそしていたときだ。店員さんにもしかして誕生月クーポンのご利用ですか?と声をかけられる。すいません、複合してクーポンは使えないんですよと言われる。たぶんよくあることなのだろう、察しがいい。え???マジで???やっちまった、二つ合わせて税込み7000円は超えるのだからどう考えても誕生月クーポンを使ったほうがお得に決まっている。あちゃーーーーと思ったが、意を決してすいません、さっきの500円オフのやつキャンセルでこっち使えませんかと訊いてみる。処理が難しいらしく店員さんはバックヤードでちょっと偉い人と相談してきてくれたようで、しばらくして帰ってきた。なんとかこっちのお願いが通った上に破棄してしまった500円オフのクーポンの復元までしてくれた。だいぶ手間取らせてしまって申し訳ない限り。店員さん、申し訳ありませんでした。次からはちゃんとクーポンの下の注意事項まで読みこんでから来店します。それにしてもものすごく丁寧な人で有難かった。そもそもタワレコの店員さんはみんないい人だ。いままで毎回そうだった。一度BUMPのCDを予約したときについてきたBUMPのロゴが印刷されたクーポンを使ったときに店員さんに話しかけられたことがある。たしか流れ星の正体の弾き語りが数日間だけ公開されたときで、そのことで少し盛り上がった。いい人だ(確信)。
帰りにジュンク堂に寄って少し本を見た。やたら大きい店舗だけあって本の量が半端ではない。ここにも久々に来たことだしじっくり本を眺めたり手に取ったりして回りたいところだったが、もういい時間になっていたのでほどほどにして帰途に就く。梅田に来る前に課題を3つほど片付けなければならなかったせいで数時間しかいろいろ見て回れなかったが、しかしどうだろう、うん、今日もなかなかいい一日だった。
帰りの電車はちょうど帰宅するサラリーマンも多い時間帯だったので座れなかったが、代わりにドアに寄りかかって見た空はとてもきれいだった。雨はとっくに止み、曇天は打って変わって雲量は少なめ。日も長い季節だ、暮れゆく夕は僕を染め抜けるほどでもない淡い茜色に揺らめいていた。ひっそりと出ていた月の明かりと茜色とに照らされた小ぶりな入道雲が美しかった。電車を降りる。Tシャツ一枚の肌を夏の湿気が包み込む。僕が聞こうともしていなかっただけで、気付けば夏の足音はもうこの街にも鳴り響いていた。
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