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「her」の面白さは2項対立の複雑な編み合わせ

概要

本文は「her」ってドラマの感想です。

ログラインを自分なりにまとめると「離婚で恋愛観拗らせた男が人工知能に恋した」って話です。

2014年のアカデミー賞脚本賞受賞作品です。近未来SFってちょっとでも変なことすると興醒めなのですが、2021年に見てもそんなことなく楽しく見れまいした。

そこで私なりにどこが楽しめたのか分析してみた結果、いくつもある2項対立が本作を面白いドラマにしていたのではないかという結論に達しました。

ラインナップは
男と女
現実と理想
人と人工知能
心と
具体と抽象
言語と非言語
一と多
都市と自然
です。

以下ネタバレします!

男と女

セオドア、離婚したくないんだけど離婚迫られてます。そこがまず彼の抱えてる問題で、そこからデートしてみるんだけど結婚したい女の子ととりあえず恋愛するところからはじめておきたい主人公との間で拗らせて最終的にキモいって言われちゃうます。なかなか辛い。

現実と理想

なんで離婚することになったのっていうのが元奥さんとのやり取りで明かされました。「あんた理想押し付けてくんな」って。わかるけどさ。でもせっかくなら理想に近づいてほしいよねっていうのはありますよね。

人と人工知能

で、心の隙間埋めてきたのが人じゃなくて人工知能のサマンサです。そらカスタマイズされるんだからどんどん理想に近づくよねって。仕事を新しいパートナーに紹介してくれるしね。内助の功がすごい人工知能。

心と体

そんな「彼女」も自身が体を有しないことに悩みます。代理でセックスしてもらう女の子手配したりして。でも違うんでよね。なぜなら体の持ち主ではないからって当たり前の結論になるわけで。

具体と抽象

この映画に限った話ではないと思うのですが、相手の何を愛しているのかって正式に定義しようとしても無理ですよね。そもそも個人は何を持って個人なのかっていうのは哲学者が考えても結論できないわけで。

言語と非言語

この映画、皮肉が聞いてるなって思うのが、主人公の仕事が手紙の代筆業なことです。メッセージ伝えるのの代行。やってることAIと変わんない。見ず知らずの人からもらったメッセージに感情動かすのって人工知能に恋してハラハラするのとどう違うんだろって。

あとこの映画、人工知能(サマンサ)とのやりとりは言語中心ですが、それだけだと疲れるのでたまに無言のシーンを挟んでくるのが面白い作りだなって思いました。

一と多

で人工知能と恋したのですが、彼女が複数人と関係を持っている極めて男性的な言い方をするならビッチだと発覚します。人間にされて嫌なことは人工知能にされても嫌って物語の作りがすごいうまかったです。

都市と自然

あとは余談になっちゃいますが、たまに綺麗な自然を見に行くんですよね。都市に住んでいる主人公が人工知能と。「木の数当てクイズ」とか面白かったです。

まとめ

2020年から2014年まで遡ってアカデミー脚本賞見てきましたが今のところこの話が一番好きでした。amazonの評価はやたら低いですが、もしよければ!


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