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椿 ~日本原産の美しい花~


今の季節お庭でも山でも目に鮮やかな椿の花。


椿は日本原産の植物で、学名は「Camellia Japnonica」(カメリア・ジャポニカ)。
葉は傷薬に用いられ、花は滋養強壮、種から採れる椿油は整髪剤や養毛剤、椿油を採ったあとの油粕は洗髪にと、椿は昔から日本の人々の暮らしの中にある植物でした。


そんなありがたい植物「椿」はどんな生き方をしているのでしょう。


ここ湘南ではお庭に椿を植えられている古いお宅が多く、また少し山の方に行くと野生の椿を見ることもできます。

椿は常緑樹なので、八ヶ岳に住んでいたころはほとんどお目にかかることがありませんでした。


樹木の中には冬になると葉を落とす落葉樹と、冬の間も青々と葉を茂らせている落葉樹があります。
樹木が落葉樹になるか常緑樹になるかは、その環境によります。
全ての植物は葉で光合成をして生きるためのエネルギーを得ていますが、体に葉を付けて維持していくことそのものにもエネルギーは必要です。

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そのため、植物にとって葉をつけておくメリットが葉を維持する労力を上回れば植物は葉をつけたままの常緑樹になります。湘南のように冬でも比較的暖かい地域では冬の間葉をつけっぱなしにしておいても葉は光合成をし続けます。ですので植物にとって葉を落とす理由はありません。
椿に代表されるような常緑樹は、葉が分厚く濃い緑色をしているものが多いです。常緑樹は一年中葉をつけておくなので、葉を丈夫に作っているのです。

反対に、植物にとって葉をつけておくメリットが葉を維持する労力を下回るようなら、植物は葉を落とす落葉樹になります。
寒さの厳しい八ヶ岳では、冬の間葉をつけっぱなしにしていても光合成はあまりできず、葉をつけて維持していくことにエネルギーを使う意味があまりありません。そのため、光合成があまりできない冬の間に全ての葉を落とし、春が来た時にまた一から葉を作り直す方が相対的に見て労力を使わずに済むのです。
コナラやミズナラに代表されるような落葉樹の葉は、厚みも色も薄いものが多いです。それは一年限定のいわば使い捨ての葉なので、植物はわざわざ労力をかけて葉を丈夫にしたりはしないためです。


上記のような理由で、常緑樹である椿は暖かい湘南ではよく見ることがあるけど、八ヶ岳ではほとんど見られないのです。

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また、椿の花びらが分厚く、野生のものは色も濃い目のピンク~赤い色が多いことにも理由があります。(椿は品種改良が盛んにおこなわれている植物なので、園芸種の色に関してはその限りではありません)

椿の花の香りを嗅いだことがありますか?あまり「花」らしい香りはしないと思うのです。それは、椿にとっては花に香りを持たせる意味がないからです。

花の香りは、多くは花粉を運んでくれる虫や動物に対してのアピールなのですが、椿の花粉を媒介する生き物は嗅覚があまり発達していません。

椿の花粉を媒介するのは鳥です。

鳥に対しては良い香りはアピールにはならず、鳥が認識しやすい赤い色で椿は鳥にアピールしています。そして、鳥が花びらにとまりやすいように花びらを厚くしています。

植物の姿形に秘められた意味を知ると、植物の世界はとても奥深く、椿の前でいつまでも立ち止まってしまうのでした。



植物の有用性だけではなくその生き方に目を向けると、ますます植物が好きになる。


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