IKEAの聖地
スウェーデンといえば
「スウェーデン」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
音楽が好きな人はABBA、車が好きな人はVOLVO。「付加価値税(消費税)の税率が高い」ということを思い浮かべた人もいるかもしれません。残念、サウナはフィンランドです。
その中でも、「IKEA」発祥の国と言われれば「ああそうだった」と思った人もいるのではないかと思います。そのまさに発祥の地が、住んでいるところと同じスモーランド(Småland)地方にあったため、行ってみました。
エルムフルト(Älmhult)
IKEAの発祥の地は、このエルムフルトという町です。人口18,000人弱(2023年)の小さな町ですが、ここにIKEAの1号店ができたところからIKEAの歴史が始まりました。なお、コペンハーゲンからストックホルムを結ぶ電車が通る町でもあり、概ね中間地点、ややコペンハーゲン寄りぐらいに位置しています。
IKEA博物館でIKEAの歴史を学ぶ
エルムフルト駅の駅前には「IKEA博物館」があり、IKEAの歴史や企業理念等に関する展示がなされています。博物館の設立は2016年6月と意外と最近で、1958年にIKEA1号店ができた地に建てられています。
IKEAの歴史を紹介するフロアでは、1950年代から10年ごとのIKEAの軌跡を、可愛らしい家具等とともに紹介しています。すべてスウェーデン語と英語が併記されており、内容を読むことが可能です。
創業者Ingvar Kampradにより1940年代に創業されたIKEAは、1950年代にエルムフルトの地に1号店を開店して以来、時代の流れに応じてその事業規模を拡大してきました。1960年代にはストックホルム店での火災をきっかけに店舗のレイアウトを考え直してみたり、その後の時代には子ども向け製品の開発に力を入れたり。サステナビリティへの対応、ミニマリズムの流行への順応等もなされてきています。
Democratic Design
IKEA製品の核となる考え方で、あらゆる人に開かれた製品を創り出していくというものです。5つの局面があり、それぞれ機能(function)・形状(form)・品質(quality)・持続可能性(sustainability)・低価格(low price)です。「形状」は顧客の目を引き、目的に合った「機能」があり、「持続可能性」を持った「品質」を持っていて、そのような製品を多くの人にaccessibleにする「低価格」。
特に「低価格」に対する情熱が印象的で、時に創業者Ingvar Kampradは、メーカーに無理難題ともいえる低価格での製造を指示していたようです。メーカー側は難渋したようですが、その低価格を実現する過程でイノベーションが起き、業界全体を震撼させたこともあるそうです。
歴史の他にも
他のフロアには、IKEAが生まれたスモーランド地方の当時の雰囲気を紹介する展示だったり、IKEAが大事にしている品質に関する展示があったりしました。歴史のフロアが見て回るものが多かった一方で、このフロアには「バーチャル・大きな岩運び体験」「バーチャル・バター作り体験」や当時の映像資料等、子どもでも楽しめる場所が多くありました。
ワークショップスペースもあったため、予約または時間によっては体験活動もできるのかもしれません。
レストラン
IKEAにはレストランが付きものです。この博物館にもすべからく併設されていたため、迷わず行ってみました。
実は、町にあまり「スウェーデン料理」のお店がなく、最も手軽に食べられるスウェーデン料理はIKEAのレストランのもののように思います。尤も、日本のIKEAでも食べられそうな気がします。スウェーデン料理に家庭的なものが多いからかもしれません。今後深堀りしてみたいと思います。
いずれにしても、個人的にはこのベリーソースが、自然の味が色濃い感じで、あまりヒットしませんでした……。
IKEA○○○?!
博物館の目の前には、「IKEAホテル」なんてのもありました。やはり「with IKEA furnishings and low prices」とのこと。今の季節では、ダブルルームで一人あたり1,095SEK(16,000円程度)だそうです。
店舗自体は少し離れていました
せっかくなので、IKEAの店舗にも行ってみようと思いましたが、駅の反対側を20分程歩きました……。
実は、このエルムフルト店が地域を代表しているからか、私の住んでいるベクシェーにはIKEAのショップがありません。(Planning Studioという業態の店舗があり、部屋のレイアウトの相談を主に受け付けているようです。)
しかしながら、やはりIKEAはスウェーデンに人気のお店のため、先日紹介したSecondhand shopでいくらでもIKEAのものが手に入りました。
エルムフルトまで来ることはなくとも、ストックホルムの中央駅の駅前にある「Gallerian」の中にIKEA Cityという店舗があります。先日行ってみましたが、これまた驚くほど広いです。旅行先で家具を買うことはなかなかないかもしれませんが、雰囲気を味わいに立ち寄ってみるのも良いのではないかと思います。
余談
「Växjö」
電車のアナウンス等では、(ごく自然なことですが)英語の前にスウェーデン語が来ます。聞いていると「Älmhult」は「エルムフルト」と問題なく聞き取れますし、「Stockholm」は英語と同じ「ストックホルム」です。
しかしながら、「Växjö」というと……日本語の表記は「ベクショー」だったり、「ベクシェー」だったり、「ヴェクシェー」だったり、そもそも揺れているのですが、アナウンスを聞いていると……
「ベ(小さいクが微かに聞こえる)ハー(フーにも聞こえる)」
といった感じです。日本人としては、慣れ親しんだカタカナに落とし込めないと、自分で発音するのも困難であることを痛感します。
もう少し勉強が進んだら、「スウェーデン語」についても書いてみたいと考えていますが、一旦この「Växjö」について、日本語で書かれたスウェーデン語のテキストを見ながら考えてみると、
・「V」は英語の「V」と同じように考えて問題なさそうで、
・「ä」は「a」とは区別された母音ですが「エ」で良さそう。
・「x」はやはり「ks」という感じで、
・「j」は一応ヤ行風の発音を形作り、
・「ö」は「o」とは区別された母音で、長く読む時と短く読む時で発音が変わるのですが、いずれにせよカタカナでは「エ」に近い感じ。
……であるため、「ベ」か「ヴェ」かはさておき、「シェー」がよりスウェーデン語っぽい読み方、「ショー」が英語っぽく「ö」を素直に「o」と読んだ読み方、と理解しました。
ということで、個人的には「ベクシェー」と書くようにしています。
時々
ただ経験したことの感想だけを書いた「日記」も気軽で良いのですが、たまには読んでいる皆様の「酒のツマミ」ぐらいにはなるような、掘り下げた内容を書くのも「発信」として大事かなと思い、今回は長めに書いてみました。
適度な更新頻度とのバランスで、短い記事と長い記事を織り交ぜていけたらと思っています。今回もお読みいただき、ありがとうございます!
(参考)
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