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特定小型原動機付自転車


 急に漢字だらけのタイトルで失礼します。長い熟語を見ると少し面白く(interesting)感じてしまう性、ありませんか?「墾田永年私財法」みたいな。法律で新しいルールをつくるには定義が必要であり、間違いなくルールをつくった方々の試行錯誤の産物なのですが、いわゆる「電動キックボード」のことです。日本でも「Luup」を中心に多く見かけるようになってきました。

スウェーデンで電動キックボードに乗ってみた

 とにもかくにも、まずはTry!ということで、自宅から最寄り駅まで使ってみました。人生初電動キックボード。スウェーデンには電動キックボードのシェアサービスを運営している会社が複数ありますが、その中の一つである「Ryde」を例にしています。

え、ドックないの?

 ベクシェーの電動キックボードには、ドックがありません。アプリを使って探すのですが、画面がこちらです。
(※ この記事をたまたま読んで使おうとしている方向け:アプリを使うには、支払うカードの登録が必要です。)

立っている地点の近くに2台の生体反応

 そして、生体反応のある地点の方を見やると……

2本、にょきにょき生えていました。味のある手書きの丸囲み。というかめちゃ天気良い。

 生えている電動キックボードのうちの1台のところに行きます。

空飛ぶホウキ

乗るときに撮り忘れたのがバレバレ。

 ハンドルの中央部に二次元コードがあり、それをアプリで読み取ることで使えるようになります。実際のキックボードと同じように少し地面を蹴って初速を出し、右ハンドルの手元にあるレバーを指で押すとギューンと加速します。20kmまで加速します。最初慣れないうちは、魔法使いの空飛ぶホウキに乗ったことはありませんが、空飛ぶホウキに乗ったような感じです。すぐに慣れます。

乗り心地

 けっこう快適です。先日書いたとおり、駅と大学のキャンパスの間にはサイクリングロードがあり、その上を問題なく走ることができます。
 ただ、まだそこまで熟練していないからか、曲がるのには少し用心が要ります。しっかりとスピードを落とす感じ。急に曲がったり、カクっと曲がったりするのは難しいです。

おいくら

 自宅から最寄り駅まで11分乗って、
・ Unlock(使えるようにする) 10 SEK
・ Riding 2.5 SEK/分 × 11分  27.5 SEK
の合計37.5SEK(日本円で560円程度)でした。バスだとより短い時間で32SEKのため、単純な比較ではバスを使ってしまうように思います。もちろん、バスでは不便なところでは便利な乗り物になるはずです。

日本では導入が進んでいるけれども

 日本では、令和5年7月1日に改正道路交通法が一部施行され、先述の「特定小型原動機付自転車」という区分が新たに生まれました。なお、日本では「原動機付自転車」という区分の中に、免許が必要な「一般原動機付自転車」と並んで免許が不要な「特定小型原動機付自転車」が存在するのに対して、スウェーデンでは交通ルール上、電動キックボードは「自転車」とまったく同じルールに従うこととされています。
 この法改正を皮切りに、日本でも電動キックボードのシェアサービスの導入が進んでいる一方で、世界ではむしろ規制の方向に進んでいっているようです。2023年にパリでレンタル事業の全面禁止に至ったのを皮切りとした諸外国の状況を、2023年12月のPresident Onlineの記事がまとめています。
 スウェーデンでも、ストックホルムをはじめとした都市部を中心に、電動キックボードの駐車禁止エリアを設定していく動きがみられます。規制の傾向にある最も大きな原因は「危険性」にありますが、この危険性には「電動キックボードの運転による危険」だけでなく「電動キックボードの存置による危険」も包含しています。たしかに、ストックホルムは通行人も車も多いので、障害となる場所に放置される状況は危険だと思われます。
 また、環境への配慮の観点から、電動キックボードが自動車の利用に代替することで、二酸化炭素の排出量を減らせるのではないかとの議論もあるようですが、ロイターの記事によれば、2024年3月からレンタルの電動スクーター(電動キックボード)を禁止したマルタの交通大臣が以下のように述べています。

Farrugia said rental e-scooters did not reduce car use. "International studies and experience show that e-scooters replace walking and public transport and not cars," he said.

https://www.reuters.com/world/europe/malta-ban-rented-e-scooters-march-2023-10-20/

感想として

 日本における電動キックボードの利用拡大に対しては、賛成・反対の立場を明らかにはしませんが、大いに議論に足る内容であることは確かだと思います。株式会社Luupも事故防止に向けて会社をあげて取り組んでいますが、どのような交通手段であっても、それが社会に実装されるためにはユーザーのマナーが重要であることを実感しています。
 ひとまずスウェーデン生活では、先日起伏のある道を1時間半自転車で走ったら足が爆発したので、電動キックボードも含めて、様々な手段を組み合わせて過ごしていこうと思います。

(参考)

https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/electric_mobility/electric_kickboard.html

https://www.reuters.com/world/europe/malta-ban-rented-e-scooters-march-2023-10-20/


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