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【連載】バイノーラル音声作品って、どんな風に制作するの?(2)

どうも。ボイスプラン事務所の林田です。

連載企画第2弾のお時間です。

第1弾をまだご覧になっていない方は、先に第1弾を見てからこちらの記事をご覧になることをオススメいたします。

▼第1弾「【連載】バイノーラル音声作品って、どんな風に制作するの?(1)」

https://note.com/yu_haya/n/n36ba717753a8

さて今回は、音響会社や声優さんへの発注から収録決定、収録までの話を書き綴っていこうと思います。

改めてですが、どちらかというと、プロデュース側の話になってきますので、音響の技術的な話はほぼほぼ含まれない内容になってくると思います。その点は予めご了承ください。

それでは、スタート!

1.音響会社への発注

ということで、まずは音響会社さんへの発注についてです。

音響会社さんへの発注(スタジオ+音響エンジニアさん+音響監督さん)は、主に以下の2パターンに分かれます。

①制作サービス会社に発注して、音響会社さん+声優さんをブッキング

②自分で音響会社さんへ発注し、ブッキング

まず、初めて音声作品制作をする、また音声作品制作経験が浅い場合は、①が無難です。というか、①にした方が絶対にいいとまで言い切れます

理由としては

1)初めてだとサポート役がいないと分からないことだらけで挫折しかける

2)制作サービスを経由すると声優さんのブッキングの確度が上がる

と、メリットづくしだからです。

強いてデメリットをあげると、予算が上がることでしょうか。

予算は上がりますが、最初は初期投資として割り切った方が良いです。

何故なら、まずは完成させることが大事だからです。

Done is better than perfect.

という言葉をご存知でしょうか?

これは、Facebook創始者のプログラマ兼実業家、マーク・ザッカーバーグ氏の言葉です。

日本語に訳すと、「完璧を目指すよりまず終わらせろ」です。

まぁ、この言葉を使って僕が何が言いたいのかというと、

自分一人で何でもこなしてやってやる!というスタンスではなく、まずは完成を目指して終わらせることが大事、ってことです。

ここでいう「完璧」は『作品のクオリティ』だけではなく、『自分がやるタスク』も示します。

『自分がやるタスク』が完璧なのは、「自分一人で何でもできる」では無いです

では何かというと、

「自分がやる仕事+他の人に割り振ってやっていただく仕事の調整と管理」です

最初は自分がやれる範囲で大丈夫です。何もかも一人で完璧にこなそうと頑張って勝手がわからず挫折するくらいなら、初期投資をかけてサービスの力を頼った方が数那由多倍マシです。

と、いうことで、最初のうちは制作サービス会社の力を借りましょう

また、音響会社のサービスとして、制作サービスを一緒にやってくださる会社もあるので、そういう場合は直接音響会社に発注して、一緒に制作のサービスをお願いしましょう。

ただし、「宅録」を引き受けてくださる声優さんへの依頼の場合はこの限りでは無いです

そちらについては、次の「声優さんへの依頼」で説明していきます。

2.声優さんへの依頼

そして、ある意味一番大事でもある声優さんへの依頼についてです。

先ほど説明した制作サービス会社さんに発注している場合は、リスト化した声優さん(事務所所属の声優さんの場合は所属事務所)へブッキングをしてくださるので、起用声優さんの候補リストを簡単にテキストベースで用意して、制作サービス会社さんにお渡ししましょう。

この時に、優先順位を設定すると、スムーズにブッキングが進みます。

個人で声優さんor所属事務所に発注する場合は、その声優さんのホームページ、もしくは所属事務所のホームページから依頼フォームに依頼内容を記入して送信する、メールを送る、電話をかける(電話でしか依頼を受け付けていない事務所も時々あります)、といった方法で依頼します。

その際には、「企画書」「シナリオ」は必ず用意しましょう

依頼フォームがある場合はその依頼フォームに則って依頼内容を書き込めばまず問題はないですが、もし、メール、もしくは電話での依頼になる場合は、依頼フォームがある事務所で書く内容をコピーすれば問題はないと思います。

ただ、個人で発注する場合は、引き受けてくださる確率は極めて低いです。

というのも、「社会的信用が薄い個人に、大事な事務所の役者を任せるリスクが高い」という判断にならざるを得ないからです。

このような理由のために、僕は最初のうちは制作サービス会社に発注することを推奨しています。


次に「宅録」を引き受けてくださる声優さんへの依頼の場合についてです。

この場合も、その声優さんのホームページから依頼フォームに依頼内容を記入して送信する、もしくはメールを送る、といった方法で依頼します。

「宅録」を引き受けてくださる声優さんの場合は、基本的には個人からの依頼で引き受けてくださるケースが多いです。

また、報酬(=予算)に関しては、1文字当たり何円、といった文字数換算のケースがほぼほぼなので、依頼する前にシナリオの文字数を確認しておきましょう。

3.収録決定から収録について

ということで、ここまで

「イラスト」「シナリオ」「スタジオ」「音響エンジニア」「声優」「音響監督」

収録までに必要な要素はここまでですべて揃いました。

ということで、次は収録日を決定していきます。

収録日は、「スタジオ+音響エンジニア」「声優」「音響監督」のすべての予定が空いている日に設定します。

ケースバイケースではありますが、基本的に声優さんの予定が最優先になりやすく、お忙しい声優さんをキャスティングしたほど、この傾向になります。そして、発注者の予定は基本的に考慮されにくいです。

「収録日は○月○日になりそうですが、よろしいですか?」

という形で、収録日が設定された段階で、「この日で決定していいか?」と連絡が入ります。

そして、その日でOKならば決定、もしNGならば別の日で代替になるか、立ち会い無しでの収録になります。ちなみに、別の日で代替はほぼほぼ効かないです。お忙しい声優さんほど、別の日に代替は無理に近くなります。というかほぼ無理です

この収録日の決定についても、基本的には制作サービス会社が設定してくれますが、個人で発注している場合は、「スタジオ+音響エンジニア+音響監督」「声優」に自身で確認し、スケジュールを管理します。


収録日が決定したら、「台本」もしくは「シナリオ決定稿」を必ず用意しましょう

基本的に、「香盤表」「台本」、そしてバイノーラル音声作品の収録では立ち位置を示す「位置番号表」の3点を用意して、最終的な決定が関係各所に入ります。

上記3点のうち、「台本」(=「シナリオ決定稿」)だけは、制作サービス会社に発注していても、個人で発注していても、発注者側で用意しなくてはなりません。制作サービス会社にシナリオのテキストデータをお渡しすれば台本のフォーマットに直してくれますが、個人の場合はシナリオライターから納品したテキストデータは台本のフォーマットにした上で、最終的な決定を関係各所に入れる必要があります。

ちなみに、最終的な決定を入れる時点ではイラストが出来上がってなくても大丈夫ですが、ラフイラストは用意した方が無難です

また、最終的な決定を入れた後、収録日当日までにイラストや台本にブラッシュアップがあった場合は、追加資料として、関係各所に共有しましょう(台本で誤字や脱字、一部修正などが入った場合は、台本データの修正ではなく、「台本修正表」という形で、別のペラシートで用意しましょう)。


そして、ついに収録日当日のお話です。

収録日当日には、「台本」「イラスト」を印刷して持っていきましょう

制作サービス会社に発注している場合は、基本的に「台本」「イラスト」(会社によってはプラスで「香盤表」も)を印刷して収録現場に持ってきてくれます。

また、収録現場のスタジオには、スタジオを借りている時間の遅くとも5分前には到着できるように、時間に余裕をもって行くようにしましょう(スタジオによっては、「借りている時間の○分前以前はスタジオに入らないようにしてください」といった注意がある場合があるので、きちんとスタジオの注意事項は確認しておきましょう)。

収録現場に入ったら、まずはコントロールルームにいる他のスタッフさんに挨拶をしましょう。ま、そこは当たり前ですね。

ちなみに、声優さんは収録ブース側に入ります。

収録開始前(もしくは収録後)に声優さんと制作スタッフ(発注者)の挨拶があるので、そこできちんと挨拶をしましょう。

また、収録開始前に挨拶ができた場合には、声優さんからキャラの方向性について質問を受ける場合がありますので、きちんと自分の中のイメージは伝えましょう。質問の返答に詰まったとしても、音響監督さんがうまく言語化して答えてくださる場合がほとんどなので、その言語化した説明に首肯するか、少し補足すれば問題ないです。

収録が始まると、ヘッドフォンを装着して、実際の演技を聴くことになります。

いやぁ、声優さんってすごいなぁ!って思う瞬間です。

演技を聴いて、自分のイメージと相違がある場合は、音響監督さん経由で声優さんにお伝えします。

このような形で、音響監督さんと声優さんが演技方針の確認とレスポンスをしながら、収録は進んでいきます。

そして、音声の収録が終わったら、基本的には再度ご挨拶や雑談が出来る時間があるので、そこで感謝の意を伝えましょう。

僕は音声作品制作を始めた当初は、なかなか声優さんと雑談ができなかったですが、最近はよく話せるようになったと思います(当社比)。

というのも、僕ももともとオタクだったので、声優さんと話すって中々勇気がいることだったんですよね。最近は慣れてきましたが……。

圧倒的添い寝CD第2弾の時はこんな感じでした(我ながらアホなツイートだなぁ)。一応補足しておくと、このツイートの「会沢さん」はスターダストプロモーション声優部所属の会沢 紗弥さんです。

ちなみに超余談ですが、未だにラジオは隔週必ず聴いてます。

話が脱線してしまいましたが、収録当日は、こんな感じで進んでいきます。

当然ながら、宅録の場合は収録当日、というものは発注側には関係ありません

4.まとめ

はい、ということでまとめです!

①初めて音声作品制作をする、また音声作品制作経験が浅い場合は、制作サービス会社に発注するのが無難!(音響会社で一括で制作サービスを引き請けてくださる所もあります)

②個人で声優さんに依頼をする場合は、「企画書」「シナリオ」は必ず用意しよう!

③収録日が決定したら、「台本」「イラスト(ラフでも可)」を用意して、最終的な決定を入れよう!

④スタジオを借りている時間の遅くとも5分前には到着できるように、時間に余裕をもって行くようにしよう!

⑤収録現場ではきちんと挨拶をしよう

はい、今回も超超かいつまんでまとめました。

大事な要点は、上の5点かな、と思います。

ちなみに⑤に関しては当たり前の話ですが、一応書かせていただきました。念の為。念の為書かせていただいていますが、同人活動で音声作品を制作する場合でも、発注が来て、受諾した声優さんや音響監督さん、イラストレーターさんやシナリオライターさんなどは、仕事として作業を請け負います。遊びでやるわけではありません。きちんと、仕事として、礼儀を尽くしましょう。

音声作品作ってみたいよ!って方は、ぜひ参考にしてください。

ということで、次回予告!

次回「バイノーラル音声作品って、どんな風に制作するの?(3)」では、

音声データの納品から販売まで

を書いていこうと思います。

音声作品制作もいよいよ大詰めです。

乞うご期待!

では、今回はこのへんで。また次回!

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ボイスプラン事務所では、

音声作品制作の進行/代行業務、ならびにシナリオライティング事業を承っております。

音声作品の作り方がよくわからないけど作ってみたい!という方は、弊事務所にお任せください!あなたの音声作品制作のお手伝いをさせていただきます。

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林田 悠汰(記事執筆者)Twitter:@yuta_hayashii

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