人と出会う、ということ(1)

ちょうど1週間前の夜、自分は新木場で泣いていた。

悲しかったワケじゃないし、ましてや心の病が突然顔を出し、情緒不安定になったワケでもない。

視線の先には、ある女性の姿があった。

その人の名は、帯広さやか
プロレス団体「我闘雲舞(ガトームーブ)」所属のプロレスラーだ。
試合による怪我と手術により、約1年間、リングから離れていた。

そんな彼女が、長く苦しかった(であろう)欠場期間を経て、遂にリングへ復帰したのが、ちょうど1週間前の夜のことだ。

帯広選手の存在を知ったのは、かれこれ3年近く前のことになる。
当時(今もだが)、自分はスマートフォンのアプリ「燃えろ!プロ野球 ホームラン競争SP」というゲームにハマッていた。

このアプリでは「◯◯杯」という、誰かしらの名を冠した期間限定のランキングイベントを開催しており、私も上位入賞を目指し、ほぼ毎回参加していた。

その中で、「帯広さやか杯」というイベントが開催される運びとなった。
名前はなんとなく知っていたものの、では具体的にどんなプロレスラーなのか?予備知識はゼロに等しかった。

そして「帯広さやか杯」は始まった。
イベントは、開始日の0時を迎えたところから始まり、それから数週間にわたるイベント期間中に打ったホームランの累計によってランキングが決まる。

それまでのイベントでなかなか上位に入れなかった自分は「今回こそは!」という気持ちで、0時ピッタリにアプリを起動し、ホームランを打ち続けた。

暫しの間、集中してプレイし、それなりの本数を打ったので、休憩も兼ね、現在の累計ランキングを確認してみた。
そこには、自分の本数より多く打っている「おびさん」というプレイヤーの名前があった。
ランキングリストの備考欄には「帯広さやか本人」との記載が!!

\\\ゲェーーーッ!お、帯広選手!!///

そう!まさに今この瞬間、帯広選手もホームランの山を築いていたのだ!しかも自分より多く!!

対戦相手がいると、やはり俄然やる気が湧いてくる!
すぐにアプリを立ち上げ直し、こちらも負けじとホームランの本数を重ねていく。

どうだ!どうなんだ!?
今、帯広選手は何本打っているんだ!?

改めてランキングを確認すると…ほぼ同じ本数!!
時間はとうに1時を過ぎていた。しかし!!ここまで来たら立ち止まるワケにはいかねェ!!

その夜は寝落ちするまでホームランを打ち続けた。
…結局数日の間で、帯広選手も自分も、他のガチ勢にアッサリ追い抜かれたんですけどね(トホホ)。

(つづく)

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