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窓は庭

京都のお寺をたずねると、円形窓の先に美しい庭が見えるというような光景に出会うことがよくあります。

丸く切り取られた景色は広々と開け放たれた開口部から見るのとは違った珠玉の輝きがあり、ハッとさせられることがあります。

古い建築でそれをなんと呼んだかはよくわかりませんが、現代では窓で切り取られた景色のことをピクチャーウインドウと呼んで建築家は様々な「窓の向こう」を想定して設計されるのです。

建築家が庭まで設計する場合は一人で、庭は別の人が設計する場合は私たちとのコラボレーションです。

ただこれがうまく行くときばかりとは限りません。

ちょっと苦労したウインドウピクチャーの庭のことをお話ししたいと思います

トップ画像の写真は和室の地窓で、これ室内でみたときは横長でかっこいいですし、おそらく建築士の方はこの窓から見える坪庭をイメージされたと思うのですが。

こちらが、外側から見た窓です。お隣との間が30cmくらいしか空いていない上、窓の下のところよりも下がった位置までシャッターの枠があって(法規的な問題で防火シャッターが必要なのです)植栽や石を地窓の下ギリギリの高さまであげられないのです。

最大限底上げして、石を配置したり、植物を植えたのですが、こんな感じで下が切れてしまって中途半端な見え方にしか作れませんでした

せめて隣地との間がもう少し空いて入れば、家から離れた位置に石などを置くことができるので、もう少し良い坪庭ができたと思うのですが。とても残念でした。

4分の1円のような形に壁を貼り分け、その下の部分を横長の地窓にする、一見カッコよさそうですが、坪庭を見せるという観点からは正直、もう少し考えて設計していただければよかったなあと思いました。

「横長の地窓から見える、和モダンの坪庭」

お客様はとても楽しみにされていたので、できるだけ頑張って見ましたが、ロケーションに限界がありました。

もっと早い段階でお会いできていたら、建築のプランの方にお願いして変えていただくこともできたかもしれないのにって思った例です。

こういう例はホームページの施工例などに乗せることが滅多にないのですがnoteでは大事なことは多少辛口でも書いていこうと決めたので載せました。

窓は外からと中からと両方の視点で考えないと失敗します。
逆に美しいバランスで適正な位置に開けられた窓はその家の価値をぐっと引き上げてくれるのです。


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