【短期集中連載第10回】落ちないための二回試験対策 民弁② 具体的戦略(例)

 民弁2回目です。今回も参考までに個人的な戦略を書き連ねていきます。だいたい検察や民裁に重複してくるのでだんだん説明が簡素になっていきます…。

1 時間配分

 民弁も例に漏れずまずは小問をさっさと終わらせ,主張書面起案の時間を確保することになります。言い忘れましたが起案は設問ごとにページを改めることができるため(刑弁などは設問ごとにページ変えろと指示している場合もあります),小問が後の設問であっても先に終わらせてしまうという戦略が可能です(筆者は集合起案まで知らなくて損してました)。

①最初の30分程度で小問を早々に片づける
②昼食終わるくらいまでに記録を検討し,事実構造を固める
③午後一杯使って起案する

というおなじみの配分になりますね。民弁の起案も枚数の指示がないので書こうと思えばいくらでも書けてしまいます。あれもこれも書きたくなるけど時間に気をつけてブレーキかけながら,という感じでしょうか。

2 記録の読み方

 民弁科目は依頼者の話を前提に主張を展開し,相手方の主張と食い違う部分は相手方のストーリーに反駁することが特徴的です。そのため,争点に関して依頼者の言い分がどうであるか,相手方の言い分がどうであるかが一目でわかるような加工が良いでしょう。色は適当です。

【訴状起案】
①起案要領の条件をマーカー+書き込み
②どの段階の書面作成を求められているか,記載方法の指示があるか確認
③認否の対象となる相手方書面まで読み進め,争いのない事実や特段争わない事実があれば赤マーカーでハイライトする
④依頼者からの聴取事項を読み,相手方の書面と一致する部分は赤マーカー,抗弁再抗弁に関する事実は黄マーカーで色分けする
⑤争点に関する依頼者側の主張を緑,相手側の主張を青でマーカーする
⑥手持ち資料から重要な事実をピックアップ

【最終準備書面起案】
①起案要領の条件をマーカー+書き込み
②どの段階の書面作成を求められているか,記載方法の指示があるか確認
③主張書面を読み進め,争いのない事実や特段争わない事実があれば赤マーカーでハイライトする
④尋問調書を読み,一致供述は赤マーカー,不利益供述は黄でマーカーする
⑤争点に関する依頼者側の主張を緑,相手側の主張を青でマーカーする
⑥尋問や準備書面に現れる書証を中心に重要な事実をピックアップ

 主張書面と最終準備書面で手持ち資料が若干異なってくるため,色分け方が変わることになるかと思います。いずれにしても,前提にしてよい事実(動かしがたい事実),争点に関するこちらのストーリー,あちらのストーリーくらいは視覚的に区別できるようにできると捗ります。

3 構成検討

 付箋で構成を組み立てていくにあたっては,こちらの主張する事実を赤,相手方の事実を黄などと完全に色分けしてしまうと混同せずにすむかと思います。一致するものについては依頼者と同じ色で良いかと。

①依頼者側の主張する事実を赤の付箋,相手方の主張する事実を黄の付箋で列挙していく
②争点ごとに事実を振り分ける
③赤の付箋から争点に関する間接事実を抽出し,重要なものから並べていく④黄の事実に対する反論を考える

といったところでしょうか。状況に応じてボールペンの色も使っていくといいと思います(が,筆者はいまのところ特にルール決めてません)。

4 起案・危機管理

 起案については見たことある主張書面を参考にしながら書けば基本的にOKですが,総論→各論,結論→理由と読み手に伝わりやすいような結論先行型の起案で書いていくことを改めて推奨します。

 危機管理については難しいところですが,最低限争点を取り上げ,それに対して,重要な証拠を使って主張を展開しておくことを意識しておく感じになるような気がします。

5 今からできる対策

⑴ 時間がある場合

 導入修習で扱った和解や執行・保全などの資料の再確認をしたり,市販の『民事弁護の起案技術―7の鉄則と77のオキテによる紛争類型別主張書面』を読み込むことがオススメです。あとは民裁と同じように要件事実をチェックしたり,ジレカンをチェックしたり,になるでしょうか。

⑵ 時間がない場合

 民弁に関しては小問も捨てがたいので,同様に導入修習の資料などは確認しておけると良いかと思います。起案については結論先行で書く意識だけもっておけばいいような…。

 

以上が民弁の書き方指南です。

刑裁・刑弁は週末投稿になります。

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