【短期集中連載第8回】落ちないための二回試験対策 民裁③ 具体的戦略(例)

 民裁ラストは参考になるかわからない個人的な戦略を載せていきます。何かの参考になれば幸いです。

1 時間配分

 当日の時間配分については,民裁はこれまで確認してきたように主張整理問題と事実認定問題が半々くらいで分かれているうえ,主張整理問題は第2分類に入る前段階,第1分類の主張書面だけで解答することができるため,要件事実で沼らない限り時間の目安はつけやすいように思います。具体的には,

①午前中(昼食終わるくらい)に主張整理を終わらせる
②午後は要件事実のことは忘れて事実認定に注力

という感じでしょうか。まあ普通ですね。

 要件事実で考えすぎて時間が無くなってしまうことと,事実の抽出で時間をかけすぎて書く時間が無くなってしまうことのないように注意できれば,まあ大丈夫でしょう。

2 記録の読み方

 ここも一例を挙げますが自分なりのスタイルが確立していればそれで十分だと思います。

①起案要領の指示のマーク,訴訟経過に撤回した主張がないかどうかの確認
②訴状の請求の趣旨を読んで訴訟物把握
③訴状の頭から順に書面を読んでいき,認否で争いのない事実は赤マーカーでチェックし,特段争わない事実は青マーカーでチェックする
(主張書面読み終えたら主張整理問題全部終わらす)
④陳述書・尋問調書を読んで一致供述に赤マーカー,不利益供述に青マーカーでチェックする
⑤主張書面,陳述書・尋問調書で出てきた書証を中心に証拠を確認
⑥争点に関する原告のストーリーを緑,被告のストーリーを黄でマーカーする
⑦重要そうな事実は付箋などでメモ

 基本的には認否が一目でわかるようにすることと,動かしがたい事実として認定してよい(実際に起案に書くかどうかは別として)事実も一見して分かるように加工してくとよいと思います。書証は主張書面や尋問で出てくるものほど事実認定において重要であることのヒントになりえるので,頻度の高いもの,食い違いがあるものを中心に見ていきます。

 民事系科目の記録は時系列がぐちゃぐちゃになりがちなので,前から読んでいくと何が何だか分からなくなってきます。時系列表を作成するなり,メリハリつけて重要そうなものから読んでいくなどの工夫をしていくと時間に余裕ができると思います。

3 構成検討

 要件事実,事実認定いずれについても付箋に事実を書いて貼りつけながら考えると楽だと思います。この点は検察と同様です。

 要件事実については事前知識を生かして何とか頑張りましょう。悩みすぎる前にわかる範囲でさっさと通り抜けてしまうのが良いかと。付箋の使い方としては,月並みですが,例えば原告側は赤の付箋,被告側は黄の付箋を使い,具体的事実は黒で,見出し語は赤で書くなどして見やすく整理すると分かりやすいです。

 事実認定に関しては,事前・当時・事後でそれぞれ紙を別にして貼り付けていくと混乱しないで済みます。白紙が足りなければ書き損じた答案用紙の裏面などを使っていきます。

❶事前・当時・事後で紙を3枚用意する
❷動かしがたい事実と認定根拠を黄の付箋に書き写す
❸事実のまとまり(グループ)が決まったら赤の付箋に書き,その下に事実を並べる
❹積極・消極の結論を決めて各事実に赤・青ボールペンでチェック

 敢えて書くほどでもないですがこんな感じです。❹については,++,+,±,-,--の5種類くらいに分けるといいです。++,--のものほど総合考慮で使うべき事情にしやすいです。どのくらい推認力があるかどうかは,最終的には個人の価値観になってくると思うので自由演技です。

 最終的に列挙する事実は,講評見ている限り20個くらいは欲しいところ。あまり刻みすぎてもここの推認力が弱まるだけなので,ある程度まとまった事実を摘示したほうが良さそうな感じです。

4 起案・危機管理

 起案の注意点については検察とほぼ同じです。最低ラインを決めたうえで最初から書きすぎないように注意し,あとで余裕が生まれたら追加するようにしていけば充分かと。

 危機管理についても同様です。最低限,事前・当時・事後それぞれ3個は入れておけば何とかなるんじゃないかと。できればもっと欲しいですが,万が一やらかした場合の保険は考えておくに越したことはありません。

5 今からできる対策

⑴ 時間がある場合

 まずは白表紙の要件事実,事実摘示の方法,ジレカンの判断枠組みを盤石にしましょう。余裕があれば要件事実の市販本に着手できると上位を目指せると思います。

⑵ 時間がない場合

 『事実摘示記載例集』くらいは確認しておくと良いと思います。あとは本連載で挙げた最低限の枠組みを確認しておいて本番の自分に期待しましょう。

 

 民裁は以上です。なるべく簡潔に書こうと意識したら薄くなってしまった気がしなくもないですが…。まあ,二回試験終わったら推敲しなおします。

次回は民弁です。

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