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黒担当

私の服は、黒の比率が圧倒的に高い。

若かりし日に大都会TO!KYO!のお洋服やさんに友人にくっついて行ったところ、私が黒い服ばかりを選ぶからか店員さんに「黒担当なんですか?」と言われたことがある。
この日を機に度々”黒担当”という言葉を思い出すせいか、もともと高かった黒い服の比率が少し上がった気もしなくもない。

洗濯物を干すと、私の服は黒がずらりと並ぶ。
靴下は顕著で、何代かの代変わりを経て全てGUの3足590円の黒いやつになってしまった。
役立つことはなかったしこれからもないでほしいが、さっと掴んだ服が黒いため、ご不幸があった際に着ていく服には恐らく困らない。

私が黒い服を選んでしまう理由は以下の3点だ。

1、醤油などをこぼしても目立たなさそう
2、少しでも細く見えそう
3、配色での失敗を避けられそう

オシャレな理由ではなくて、すべて消極的な理由ばかりである。

さらにインナーが透けにくいとか、女性の日が予期せずに訪れても血が目立たないというメリットもある。

理由が消極的なので、高級ブランドのオシャレな黒い服ではなくて、安いやつばかりである。
安いやつは段々黒が色あせていくし、毛羽立つし、素材が安いやつだな、と一目でわかる。
しかしながら上記のメリットがあるので何となく選んでしまう。
醤油とかラーメンのスープとかがはねても目立たないし。

新社会人の頃に、思い切ってピンクの淡いブラウスとかベージュのふわっとしたスカートも履いてみたが、自分の中でコスプレしている感がすごかった。

毎日が会社員の仮装で、毎日がハロウィンであった。

お化けの仮装をすることによりお化けに人間がいると見つからないようにするのがハロウィンの仮装の目的だとすれば、会社員の仮装をすることにより自分がダメ人間がいると見つからないようにするのが…脱線しました。

一応、黒い服ばかりもよくないかな、と思って買うのも紺色の服だったりする。
自分では紺色も着ているからよかろうと思っているが、傍から見ると黒ばかり着ている人らしい。

自分では気に入っているので当分は黒い服(時々紺色)を着続けそうだけど、年を重ねて、派手な原色のよくわからない柄のワンピースを着るばばあになりたい。
しかしながら年をとって今よりも醤油などこぼす可能性が高まるなら、全身黒い服のばばあをつらぬくのも悪くないかもしれない。

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