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映画アフターサン

見終わった後、余韻に浸りぼーっとしていたら映画館に傘を忘れそうになった。エスカレーターを2.3階降りたところで気がついた。

父カラムと娘ソフィーの2人旅。一見、ひと夏の旅行だと思う。けれどそれが父と娘で過ごす最後の夏なのだと、映画を観ていると所々で、もしかすると、と気がつく。過去をビデオで振り返る、ある夏の日々。

人は他者から自分自身をよく見られたいと思う傾向があると思う。自分の子供には尚更、自分の弱さや、かかえている苦悩を見せず、かっこいい親でありたいと思うのだろう。

この映画では、最後まで父親と娘の関係に何が起きるかの詳細は語られない。
あくまでも推測だか、父親が過去に人には打ち明けられない苦悩を抱えていることがわかる。暗闇の中、ひとりで葛藤するシーンが散りばめられている。それを子供であるソフィーにはもちろん、他者には見せようとしない。父親がひとりの時、苦しく辛いことを映画を観ている私たちだけに伝える。そしてビデオは夏の終わりへと向かう。

当時の父親と同じ年齢になったソフィーはビデオを観ながら、父親のことを思い出す。なぜ、当時父親の心を知ったり、気持ちを理解をすることができなかったのかと。
ソフィーは自分に子供ができ、親になって初めて、親の気持ちや苦労を知る。もっと早く知りたかったと。

過去を変えることはできないけれど、自分は今とどう向き合うか。それが大切だとこの映画は教えてくれたと思う。blur、Queen & David Bowieなど音楽もすごくよかった。

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