権力関係だとそもそもかかわりを大切にできないのでは

権力関係において感情を向けられるのがマジで嫌すぎる。許すまじ。と思いながら考えていたら権力関係とかかわりの話に行き着いた。

●権力関係における居心地の悪さ
権力関係におけるかかわりの居心地の悪さは、自分の考えを伝えられない、伝えてもよく理解されないまま理解され議論にならない、自分の嫌いな感情を向けられたときに拒否できない、あるいは軽視されるというような居心地の悪さである。

居心地の悪さの原因
●権力が多い側

相手を軽視しても権力関係であればかかわりはなくならない、ここ重要。
(権力関係ではない関係なら相手を軽視したとたんかかわりはなくなる)

人間の脳は怠けるようにできている。怠けてもかかわりがなくならないことをいいことに、権力側は相手の言うことをちゃんと聞こうとしなくなる、相手の状態を観察しなくなる(※0)
怠ける気がなくても極端に忙しかったり余裕がなくなっているとかかわりが雑になる場合もある。忙しいとノーメンテナンスでも維持できるものから順にエネルギーを使わなくなる(※1)


●権力が少ない側
権力が少ない側は相手の意に反することを言いにくい。相手の意に反する活動を取りにくい。相手の意志と自分の意志が一致している場合以外では相手に対する反感、恨み、悲しみ、憎悪、恐怖が発生し、かかわりに否定的、悲観的となる。
権力の少ない側が権力の強い側の感情を恐怖や強いストレスと感じるのは
、強い感情そのものというより相手の意に反する行動をできないことからきている。権力関係でなければ相手が気に食わなければかかわりを解消すればそれで終わりであり強い感情も恐怖に値しない。

関わりにおいて「素直に相手に伝わる形で伝えましょう」という解決方法は感情による制御のある権力関係では選択困難だ。相手の感情が高ぶる選択は当人にさらなる恐怖を味わわせることになる(※2)

●権力関係を別の権力で制御する不毛性
権力関係におけるかかわりの問題をなくすために、別の権力による制御をするというやり方がある。
①パワハラやいじめやその他の強権的かかわりの強制に対しては法令がある。
②「極端に怒ることは悪」「穏便にやりましょう」などといった社会規範
③権力が少なくても権力を使う

これらには抜け穴がある。
①については法令は各人を常時監視できない点。法令が特定の行為について罰則を設けるということは、特定の線引きがありそのラインに引っかからないぎりぎりの範囲で何度も相手を攻撃すれば法令違反とならず相手に大きな打撃を与えられる点がある。

②社会規範は権力関係におけるかかわりの問題を罰するには弱すぎるときが多い。さらには権力の少ない側の行動を制限することがある(例:権力が少ない側の人の強い怒りが悪だとされて否定される、など)。

③については権力の少ない側が相手に対して少ないながらも権力を使い、相手にこちらにちょっとはまともにかかわってもらえるように仕向けることである(具体的には会社において上司をやっかみがる部下など)
少ないながらも権力を使い相手の権力に頼ったざつなかかわりを削減させるやり方だ。
しかし、権力を使って相手に無理やり気を使わせあうというのは健全なかかわりではない。

そもそも権力関係がなければおのずとかかわりを持つ双方がかかわりに気を遣うようになり、別の権力などというものはいらなくなる。

●権力関係の潜在
相手をぞんざいにあつかっても、あるいは相手からぞんざいに扱われてもなくならない関係、なくせない関係はもう権力関係なんじゃないかと思う。
そう考えると典型的権力関係である「組織の立場」だけではなく権力関係があるものは多岐に及ぶ。

●権力関係の内面化
権力関係の中でずっと育つと、あらゆる関わりを権力によって制御して作ろうとするようになる。権力によってかかわりを持てたという成功体験は権力による他人の制御を正当化するに十分である。

物語の中ですらよく描かれがちな「上の立場(権力が強い)に対してこびへつらい下の立場に対して雑なかかわりをする、さらにそのかかわりがあたかも自然で正しいと信じてふるまう」という態度は、従順さ、柔軟さを持った人間が権力関係の中で育ちそれを内面化した結果に過ぎないように思う。

一方で権力関係に一方的に蹂躙された場合はそのかかわりの悪さ、そのかかわりによる弊害を発見しそうでないかかわりを模索する方向に行く場合もあれば、権力に蹂躙されつくし自分の人生や自分の選択を不可能にされるような破壊的ダメージを受ける場合もあるだろう。


※0:そんな怠けにあらがうのが「理性」だが、理性をかかわりにおいて常にたぎらせておける能力を持った人間ばかりではない(らしい)。

※1:純粋な権力関係でない場合でもこの「ノーメンテナンスでも維持できるものからエネルギーを使わなくなる」習性は起こる。ある程度付き合ったカップルの関係が吹っ飛んでしまうのも丁寧に接していたはずの部下にいつの間にかやっかみがられるのも知らず知らずのうちに「ノーメンテナンスで維持できる」と思い込んでしまったがゆえにかかわりが雑になったことによって生まれる現象であるように思う

※2:この駆け引きをうまく行える感覚的な手法は体感としてはどうやらあるらしいが、これもすべての人間ができるわけでない。