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佐貫駅の悲劇~竜ヶ崎と龍ケ崎と佐貫

少し前の話になるが、2020年3月14日はJR東日本をはじめとして、ダイヤ改正が話題を集めた。新型車両の投入や輸送改善、新駅設置などが特に話題にあがったが、その中には、後述の駅名の改称も含まれていた。

駅名改称といえば、京浜急行は、同じくこの日、全6駅を改称したことでも話題に上がった。京急の駅名改称は、一言でいえば「地域活性化」と「もっと便利に」が目的だったようだ。

JR東日本についてはそれほど注目を集めたとは思えないが、この日を以って常磐線「佐貫駅」というの名称は120年の歴史に幕を下ろした。

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この写真は2020年2月29日に撮影したもので、すでに駅名標は新しいものが用意され、あとは当日上から張った紙をはがすだけの状態だった。

新名称は、「龍ヶ崎市」である。駅名の改称はそれほど珍しいことではないし、「本市の認知度向上と情報接触度の向上を図るとともに、名実ともに市の玄関口にふさわしいにぎわいづくりなどを総合的に推進していくこと」という竜ケ崎市による目的や背景をみれば、別におかしいことではない。

JR常磐線佐貫駅は駅名が変わります

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しかしながら、今回の駅名の改称は、ユーザー目線が欠如しているのではないかと、個人的には思った。

まず、茨城県には、既に関東鉄道竜ケ崎線に「竜ケ崎駅」が存在している。そして、関東鉄道竜ケ崎線は、佐貫駅でJR常磐線に接続をする。さらに、関東鉄道竜ケ崎線は、駅名変更を行わず、継続して「佐貫駅」を利用するとのことである。

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なんだかややこしい。もし仮に、竜ケ崎駅から、竜ケ崎線と常磐線を利用し、上野駅へ向かう場合、竜ケ崎駅で乗車し佐貫駅で下車、佐貫駅から竜ケ崎市駅まで歩き、常磐線に乗車する…これはまだよい。

駅前にあるコンビニや居酒屋等の「〇〇駅前店」みたいな表示もややこしくなりそうだし、 龍ヶ崎にはじめて訪問する人にとっては、どっちの竜ケ崎なのか混乱してしまうことも十分考えられる。

もっと深刻な話題は恋人同士での待ち合わせ。片方は龍ヶ崎市駅で待っていると思っていた。でももう片方は竜ケ崎で待っていた。すれ違いというやつだ。

「なんであの日きてくれなかったの?」

「いや、来てくれなかったのは君じゃないか?」

「嘘よ、私はずっと貴方のことを3時間まっていたのよ」

「僕なんて終電まで待っていたのよ」

「嘘はやめて。もうさよならね…」

「ちょっと、おい、ちょっと待ってくれよ」

まぁ携帯電話がない時代だったらまだしも、今日日こんなことはないだろうが、それでも間違ってしまうこともあるかもしれない。

間違いといえば、「マザー牧場佐貫町駅問題」がある。

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当駅は、マザー牧場の最寄り駅ではありません、という注意書きが、改札の脇に張られていた。

マザー牧場の最寄り駅は、JR内房線の「佐貫町駅」であるが、乗り換え案内サイトなどで誤入力をし、来てみて初めて様子がおかしいことに気が付く方が少なくないそうだ。

佐貫と佐貫町は、しょうがないかもしれないが、世の中には、お台場の「青海駅」と青梅線「青梅駅」を間違え、到着するまで気が付かないという人もいるくらいだから、何でもかんでも便利になったツケが、特定の人で問題が起きてしまっているのだろうか、としか言えない…

話は戻すが、今回の駅名改称は、「マザー牧場佐貫町駅問題」に起因するものではなく、前述のとおり、竜ケ崎市による認知度向上が大きな目的であるようだ。

ちなみに正式な地名は、龍ケ崎市。JR常磐線は正式名称にちなみ「龍ケ崎市(大きい"ケ")」、一方で関東鉄道竜ケ崎線は、「竜ヶ崎(小さい"ヶ")」と表記の仕方も異なる。

"ケ"と"ヶ"の違いって何だろうと思ったのでGoogleで調べてみたら、竜ケ崎市の公式ホームページが3番目にでてきた!!

「龍ケ崎」の「ケ」の字は大文字か小文字か?

なんだかよくわからなくなってしまったが、「変えない」という選択肢もあったんじゃないか!?と、部外者ながら思ってしまう…。

駅名が変更されてから約半年が経つが、実際に利用している方たちはもう慣れたのでしょうか?


注釈:これらの写真は2020年2月29日に訪問した時のものです。

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