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創業期又は小規模の会社が知っておきたい金融機関との付き合い方

障害福祉業界を明るくしたい行政書士の篠原です。

前回の復習では金融機関が融資先をランク分けする理由をご紹介しました。

今回も財務コンサルタント養成講座の復習をアウトプットします。

金融機関が融資先を決めているように、クライアントである会社もどの金融機関が良いのか判断する基準がほしいですよね。

今回は会社が金融機関を見つける際にどんなポイントを押さえて取引を行うとよいかご紹介します。

金融機関の種類

まず初めに金融機関の種類をご紹介します。

どんな違いがあるのか頭に入れておくと金融機関から融資を受ける際に役に立つことがあります。

以下の5つは知っておくと良いでしょう。

メガバンク地方銀行信用金庫(信用組合)ノンバンク日本政策金融公庫

メガバンクや地方銀行(以下、地銀)、ノンバンクは営利法人の株式会社が母体となるため、銀行の利益は株主に配当されることになりますが、信用金庫(以下、信金)は会員の非営利の組織となるため、信金で出た利益は地域発展のために使用されます。

日本政策金融公庫(以下、公庫)は株式会社ですが、政府保有株100%のため、公庫で出た利益は国庫に帰属されます。

金融機関の利益:
メガバンク、地銀、ノンバンク → 株主に配当
信金 → 地域発展のために使用
公庫 → 国庫に帰属

メガバンクの特徴

メガバンクはかつて「都市銀行」と呼ばれていた銀行です。

全国的に店舗展開しているのが特徴で店舗数は400以上あります。

例)三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行

全国的に展開しているメガバンクは業績の良い会社に対して積極的な営業を行なっています。

融資金額の大きい会社を好むため、創業し始めの会社や小規模な会社に対する営業は積極的ではないようです。

業績の良い会社をクライアントにすべく、地銀では取り扱えないプロパー融資の金利を提示したり、融資の審査スピードを速くする傾向がある分、その他の会社にはドライに対応しがちなため、業績が悪くなると、別の業績の良い会社に乗り換えることもあるようです。

地銀の特徴

地銀は本店所在地の都道府県を中心に店舗展開している銀行で第一地銀・第二地銀と分けられています。

第一地銀は全国地方銀行協会の会員となっており、店舗数は80〜200前後あります。第二地銀と区別するために第一地銀と呼ばれています。

例)きらぼし銀行(東京)、武蔵野銀行(埼玉)、埼玉りそな銀行(埼玉)、千葉銀行(千葉)、横浜銀行(神奈川)、群馬銀行(群馬)etc

第二地銀は第二地方銀行協会の会員となっており、店舗数は30〜170前後あります。

第一地銀よりも小規模展開となっています。

例)東京スター銀行(東京)、京葉銀行(千葉)、神奈川銀行(神奈川)、東和銀行(群馬)etc

メガバンクと比べると、プロパー融資の金利は高めに設定されています。

メガバンクはプロパー融資を主に取り組んでいますが、地銀は信用保証協会の保証付き融資を主に取り組んでいます

つまり、銀行にとって負担の大きいプロパー融資では融資先の会社にも多少の負担として金利を高めに設定することがあります。

信金の特徴

信金は銀行と異なり、非営利の協同組織金融機関となります。

地域の個人や法人が会員となり、地域の繁栄を目指す相互扶助が目的なのが特徴です。

つまり信金で出た利益は地域発展に使用されるため、融資用の貸出残高に回すことが多いようです。

地域毎に信金が存在するため、種類はどの金融機関よりも多いです。

店舗数は各信金で10前後となっております。

都市部では100店舗を超える信金もあります。

埼玉県の例)埼玉県信用金庫、川口信用金庫、青木信用金庫、飯能信用金庫

信金は信用保証協会による保証付きの融資が基本となります。

地方の信金の預金残高は1000億円未満であることが大半ですので、1案件の融資取扱金額は少なめです。

融資取引を行えるのは信金の会員が対象となるため、会員資格のない会社は融資を受けることができません。

会員資格は信金のある地域内に事業所を有する会社であり、従業員数300人以下又は資本金9億円以下の会社となります。

信金のスタンスは会社訪問を定期的に行い、きめ細やかな対応を心がけているため、小規模の会社や創業したばかりの会社であれば、メインバンクとして重宝される存在となることでしょう。

ノンバンクの特徴

ノンバンクは先程までご紹介したメガバンク、地銀、信金と異なり、貸金業務専門の金融会社です。

つまり預金業務を行わないため、預金口座が存在せず、融資を出すための資金はその他の金融機関からの借入やノンバンクの利益から賄っていることになります。

ノンバンクは貸金業務専門な分、資金調達コストが掛かるため、貸出金利も高く設定されていることが多いです。

金利が高いため、「闇金」と勘違いされるケースが多いのですが、ノンバンクと闇金は貸金業登録の有無、金利の利息制限が超えているかいないかといった違いがあります。

ここまでの説明ではノンバンクに悪いイメージを持たれる方はいるかと思いますが、ノンバンクは金融機関というよりも貸金業を営む会社となるため、融資に関してはメガバンクや地銀、信金よりも高度なノウハウや知識を持ち合わせているケースがあります。

公庫の特徴

公庫は簡単に説明すると、政府主体のノンバンクです。

つまり預金業務は行わず、貸出専門の金融機関です。

2008年に株式会社化しましたが、100%政府保有株の会社となるため、政府系金融機関と呼ばれています。

公庫で出た利益は国庫に帰属されることに繋がりますが、毎年の政府予算で公庫が貸出を行うため、そのまま予算に組み込まれることが多いようです。

公庫の特徴は低金利かつ固定金利であることです。

民間の金融機関と違い、会社訪問をすることもまずありません。

あくまで銀行の補完的な融資を行なっています。

つまりメインバンクに信金や地銀がなっている場合、それらの融資では足りない場合に公庫から融資を受けることをお勧めします。

融資を受けたい会社は複数の金融機関から融資を受けられるように目指しましょう!

創業したばかりの会社や小規模の会社は1つの金融機関とずっと付き合っていくことを目指していくかもしれませんが、事業展開を目指していきたい会社であれば、3つくらいの金融機関と付き合っていくことをお勧めします

複数の金融機関から融資を受けていると、メインバンクが今後困った時に助けてくれないと思われるかもしれませんが、実は金融機関からすると自分のところだけでなく、他の金融機関からも会社の業績が悪い訳ではなく、融資を受けられていることで安心感を得ることができるメリットがあります。

会社にとってもつなぎ融資を得やすいため、安心感を得ることができます。

まずは公庫と信金から融資を受け、徐々に地銀から融資を受けることを目指す

創業期の取り組みとしてはまずは信金との信頼関係作りを意識することが大切です。

信金の場合は定期的な会社訪問がありますので、その時に現在の会社の業績をお伝えすると共に、どのような経営をしていくのかお話しておくことをお勧めします。

黒字であれば、今後の展望に関してお話したり、赤字であれば、どのように経営改善を行なっていくのかお話しておくと、信金も把握しているため、アドバイスをして頂けることもあります。

業績が伸び始め、財務状況も良好になり始めてきた頃に地銀から融資を受けることも検討しておくと良いでしょう。

信金と地銀の借入を同じくらいにしておくと、各金融機関の競争原理が働くことで会社に有利な条件を提示してくるケースもあります。

あくまで有利な条件を提示してくるのは業績が良く、財務状況も良好になり始めていることが前提となりますので、業績が伸びない状況の時は現状維持の取り組みで現在付き合っている金融機関から融資を受け続けられることを目指していく必要があります。

しかし、創業期や小規模の会社であっても信金からの融資が受けられないケースもあります。

それは以前ご紹介した一般社団法人等の信用保証協会の対象とならないケースです。

こういった場合は公庫のみと付き合いを続けていくか、地銀からのプロパー融資を受ける取り組みをしていくこととなりますので、従業員を雇う場合であれば、資金調達のハードルが上がりやすいです。

つまり、法人を創業する場合であれば、初めは売上の見込みが立たずに経費ばかりがどうしてもかかってしまうため、資金調達が必須になります。

つまり、法人を作る際には資金調達を見越した上で法人を決定することが良いでしょう。

障害福祉サービスや介護保険サービスを提供する場合であれば、法人である必要がある上に従業員も雇わなければならないため、必然的に資金調達をしっかり見越した上で創業を考える必要があります。

次回のアウトプットでは信金や地銀から融資を受けるのであれば、信用保証協会がどんなところであるのか知っておくと役に立ちますので、信用保証協会に関するご紹介をします。

今回は創業期または小規模の会社が金融機関と付き合っていくためのポイントをご紹介しました。

次回も財務コンサルタント養成講座の復習を兼ねたアウトプットを投稿しますので、お楽しみに!

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