オリンピッグ問題〜『動物農場』
ブタのキャラクターといえばアニメ『紅の豚』のマルコであったり、サンリオの『ザシキブタ』や『クレヨンしんちゃん』の帯刀したブタとか、かっこよかったり可愛かったりするのもあるし、ブタ自体はチンパンジーと同程度の知能だといわれるくらい賢いのだが、人間の持つブタのイメージは決して良いとはいえず、特に東アジアにおいては侮蔑の呼称とされる。
ピンク・フロイドのアルバム『アニマルズ』のジャケットではブタが空を飛んでいる。動物を人間に例えて社会批判を織り込むコンセプトの中で、ブタは資本家をあらわしている。今回のオリンピッグ問題において、ブタのイメージについての考えを巡らすべく、このコンセプトに影響を与えたというジョージ・オーウェル『動物農場』を読んでみた。
開高健の翻訳が読みやすく、勢いよく読み終えた。自分たちを管理して働かせる人間を追い出し、動物たちによる農場を作るんだ!と意気込むブタたちが、次第に独裁者になっていく寓話である。ブタたちは農場に置いてある本を読んで学習し、農機具を作らせ、自分たちで作物の収穫を行えるシステムを作る。生まれたばかりの子犬を取り上げ、自分たちのガードマンに育て上げて力を身につけてブタの一族を守る。さらにブタ仲間からスケープゴートを選んで追い立て、農場に起こる事件や略奪の罪は全てそいつになすりつけるなどの操作もおこなったり、人間の弁護士を雇って近隣の農場と取引を行うまでになる。馬やロバたちの憩いの場にしようねと取っておいた敷地で大麦を栽培し、ビールを作って夜な夜な宴会をしたりもする。その間、他の動物達は以前よりも少ない食糧で以前よりも多く働かされている。
賢すぎるだろブタ・・・こわいよ・・・。革命の歌を作って全動物に合唱させる。殉死したブタの頭蓋骨とロゴ入りの旗を掲げる。これらの描写を人間に置き換えて想像してみる。弁のたつブタが他の動物を丸め込む演説も、なかなかにぞっとする。これでも人間に管理されていた時代よりは、ましなんだ、と働き続ける動物達・・・。ブタに洗脳されて決まり文句を叫び続ける羊の描写もおそろしい。
アルバム『アニマルズ』の中でブタがブヒブヒ鳴いているような音色は、トーキング・モジュレーターで作っている。いま聴いても、けっこう本物に近い音色だと思う。他にも曲に混じってちらちらと現れる羊やニワトリの声が、小説を読んだあとにはそれら全てが悪い夢のように聴こえてくる。
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