日記2024年6月⑤

6月13日
曇り。夕方少し雨。午前中寝て、昼に喫茶店へ行き、ドトールに移動して書き物を進めた。大事な内容に触れるところを書いているのでなかなか進まない。丁寧に書かないと伝わらないことがわかってくるので段落数が増えていく。そうすると内容が拡散しがちなのでぼやけないようにコントロールしないといけない。もしかしたら後で再構成が必要かもしれない。
子供のサッカー教室。みんな上手にやっていた。保護者で情報交換などする。この時間がとても好きである。みんな家でカレー作りをやっていて、よそのおうちはカレールーを入れるところを子供にやらせ、うちはニンジンの皮剥きをやらせ、あるおうちは子供用包丁を使わせて、それぞれやらせるところが違っておもしろかった。
子供がおもちゃをどんどん出して散らかしていくので、出すなら自分で片付けるんだよと念を押しておいたのだが、寝る前に片付けるように言ったら案の定怒り出した。一応「どうしてほしいの」と訊ねて、子供から「いっしょにかたづけて」という言葉をもらってから手伝った。しかし私の子供のときよりはるかにちゃんと片付けをするので偉い。妻が片付けられる人なので自然と学んでいるのだと思う。

6月14日
晴れ。暑い。出勤の道中でペットボトルを一本空けた。妻の職場の心理士さんが私のことを知っていた。精神科医になりたての私が一年間非常勤で勤務したところにいて、互いに面識はなかったが、私のことを覚えていたらしい。当時は心理士さんのケースが私の担当になるとアタリだとされていたらしいと聞き、そのように仕事が裏で評価されていたのは嬉しかった。何年も経ってからこうして嬉しいことが起こる。
今日はまた忙しく、お昼ご飯を15時半まで食べられなかった。
夜、子供の希望でラーメン屋に行ったのだが、食べる前に寝てしまったのでしばらく座敷で寝かせた。お店がブランケットを貸してくれた。子供に優しいラーメン屋でとても助かった。
仕事で大変だったのでせめて誰かに褒めてもらいたい。大学病院なので目が飛び出るほど給料が安い。うつ病以前は誰かに褒めてもらいたいなどという不純な欲望は封じ込めるべきだと思っていたが、今はきちんと褒められたいと思う。

6月15日
安産祈願のお詣りにいった。祈祷で太鼓が打たれるのが怖くて子供は私と一緒に退室した。七五三の前に祈祷の儀式に慣れておこうと目論んだのだが逆効果だったかもしれない。神社には初お宮参りの赤ちゃんがたくさんいてかわいかった。
車の保険のなんだかんだを済ませ、お昼を食べ、などしていたらどっと疲れが出てしまったので、帰って少し寝た。昨日の仕事の疲れと緊張が抜けない。来週も諸事情でいつもより出勤日が多くなりそうで仕事も詰まっている。やや鬱っぽい。
私が書いている原稿の大事なところに関わる『セラピストのための行動活性化ガイドブック』を読み始めた。生活の中の自然な強化と恣意的な自己強化によって快や達成感を得られる行動を増やすことを目指すのが行動活性化である。そのためのセッションの構造化と行動のアセスメントに加えて、回避行動と反芻への対処を盛り込んでいるのが特徴であり、勉強になる。とりあえず運動や活動をさせて鬱に対抗するのだ、というような理解では全然ダメであるとわかる。このような構造化された心理療法を日本の日常的な精神科臨床のセッティングから解釈しなおして日本のうつ病診療の形に再形成する必要があるのだと思う。モディファイされた実践は正統的ではないが、治療構造を支える医療システムが違うのだからどうしても同じにはならないのである。

6月16日
曇り。白山神社の紫陽花祭りに行った。先日買った子供服を着てもらおうとしたら子供が嫌がって、私もへこんでしまった。妻のとりなしでかわいいアクセサリーをつけて出掛けてはどうかということになり、なんとか着てでかけてくれた。とてもかわいい服なのだが、子供はディズニーキャラクターのついた服しか着たがらず、別にいいはずなのだが、親としてはたまにはきれいめな格好もしてほしい。
紫陽花祭りは町内会がこぢんまりとやっているお祭りで、普段は入れない紫陽花畑のようなところを開放して見ることができるのがウリであるが、それもかわいらしいものである。さほど広くない境内に町内会の人がやるお店が出て、利益など考えていないのでわたあめは小さくて100円だしポップコーンも楽に食べ切れる量で200円であり、スーパーボールと風船をつけてくれる太っ腹である。東洋大の学生ボランティアが店番をしている屋台で水のペットボトルが一本100円だった。高校の吹奏楽部がディズニーの曲のメドレーをやっていた。子供は私のスマホでたくさん紫陽花の写真を撮っていた。風船を石垣に引っ掛けて割っていた。
近所のお店はどこも満員だった。私はこのへんの出身である。参道沿いにある「こむぎこ」というイタリアンのお店は小さい頃から行っていたお店で、当時からほとんどメニューが変わらない。海鮮サラダとたらこいかのスパゲッティが好きで、最後にはバナナジュースを頼む。どれも量が多い。もう当時ほどは食べられないから気をつけないといけない。神社の裏の階段を下れば商店街に出、「ペガサス」という喫茶店があり、よいコーヒーが飲める。ジャワロブスターを素で出す珍しいお店である。坂を上って本駒込のほうへ行くと「兆徳」という中華屋がある。町中華ブームで有名店になりいつ行っても行列ができているので行きづらくなってしまった。今は見た目が映える揚げ餃子を売りにしているが、水餃子が最高に美味しいのでこっちのほうがおすすめである。あとは卵チャーハン。卵と塩だけのチャーハンでこれがまた信じられないくらいおいしい。冬は鳥そばもありです。お茶はセルフです。カニ玉をよく食べた。また行きたいが並ぶのが難点である。
祭りで餅を焼いていたのがまた別の喫茶店のおじさんで、ここも子供の頃から行っていた。ココアを飲み、ドライカレー、カレー、ホットサンドなんかを食べていた。私はかなり食べる子供だったので、中学生以降はカレーをすごい大盛りで食べていた。その喫茶店は最近閉めてしまった。子供を連れてあいさつをした。また来年会えるといい。
子供と約束で、親の着てほしい服を着てくれたら何か買ってあげるよと言ってあったので、帰りにデパートに寄ってプラレールを買った。そういえば、先述の「兆徳」という中華屋の向かいに昔は「大誠堂」という立派なおもちゃ屋さんがあり、私はボールも、戦隊もののグッズも、ミニ四駆も、ビーダマンも、ハイパーヨーヨーも、たまごっちも、パラッパラッパーやテイルズオブデスティニーもここで買っていたのだが、私が高校生くらいのときに店主のおじさんと息子さん2人が相次いで亡くなり、お店もなくなってしまった。もしまだあったらそこで子供のプラレールを買いたかった。

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