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不登校の子への関わり方 声をかけるときは、「観る」と「訊く」から。

不登校のご相談で多いのが、「どのように関わればいいのでしょうか?」「どのように声かけをすればいいのでしょうか?」というものです。

「傷つけてはいけない」
「励ましてあげないと」

いろいろ考えてしまいますよね。

今回は、具体的にどのように不登校の子と関わっていけばいいのかポイントをご紹介します。


まずはじめに、あなたはどうして子どもに声かけをしたいのでしょうか? どうしたいのでしょうか?

「困っているから助けたい?」
「なんとか学校へ行かせたい?」
「落ち込んでいるのを励ましたい?」

いろんな気持ちがあるでしょう。しんどそうにしている姿を見るのは、つらいものです。けれど、ハッキリ言います。

声かけだけで、なにかを変えることは不可能です。

あなたは、「自分の人生を変えた言葉」はあるでしょうか?

その言葉って、タイミング、影響力、内容のすべてがぴったりと一致したときにしか心に響きません。

僕は、瀬戸内寂聴さんに「苦しい思いをした人ほど人に優しくなれるのよ」と大学生のときに言われました。

でも、違う人、たとえば学校の先生や親に同じことを言われても響かなかったでしょう。

想像できないほどの苦労をしてきたであろう寂聴さんに言われたからこそ、「あぁ、そうなんだなぁ」と心にしみる言葉になったのです。

あなたがすごくないとは言っていません。けれど、人を変えるような言葉って簡単なものじゃないのです。

自分の心からにじみ出るような言葉しか、基本的に届かないのですよね。

「子どもを変えたい」「子どもを励ましたい」という気持ちは分かります。親として、出来る限りのことはしたいでしょう。

でも、「人を変える言葉」を届けようと考えるのは、ひどく傲慢だなと僕は感じています。

僕も子どもと接していて同じように思うことがあります。

「もっとこう考えるといいのに」
「いや、そうじゃないだろう……」と。

しかし、そう浮かんだときに、思うのです。

「あっ、自分は傲慢な考えになっているぞ。自分は誰かを変えられるほどの影響力なんてないんだぞ」とね。

常に自戒を込めながら、子どもとは接するようにしています。同じ目線に立ち、上から目線になっていないかを注意する。

そうしないと、結局のところ子どもはこちらに心を開いてくれません。

だから、まずは「声かけでなんとかしよう!」という考えを捨てましょう。声かけは大事ですが、あくまで関わりの一つです。

声かけだけでなんとかしようとは思わないでください。そして、「子どもを変えてやるぞ」とリキむのはやめましょう。


「分かってくれる」と思えるか?


はじめに、目標から見ていきましょう。

不登校になると、ゴール設定が難しいですよね。「学校へ行く」というゴールも良いですが、なかなか難しいところがあると思います。

そうすると、どこを目指せばいいのかが分からなくなります。

なので、まずは親子関係での目標をつくります。

学校へ行かなくなると、子どもにとって相談できる人は親くらいになります。要は、親への依存度が高くなるのです。

だからこそ、親子の信頼関係はとても重要です。

そこで、目標です。

「お父さん、お母さんは、僕(私)のことをちゃんと分かってくれる」

この状態にするのが、親子関係での目標です。

親子なんだから、信頼関係なんてあって当たり前と思いますか?

あるお母さんが、子どもに聞いたら100点満点で「0点」でした。つまり、「なにも分かってくれない」と子どもは思っていたのです。

そして、その子はこう言ったそうです。

「お母さんが僕のためにいろいろ思ってくれているのは分かる。ありがたいなと思って感謝もしている。けれど、分かってくれているとは思えない。僕のこと全然分かっていないよ?」と。

『子どもの白書』を作ったときに、子どもへアンケートをとると80%ほどの子どもが「親は自分のことを分かってくれていない」と回答しました。

親子だから分かってくれるだろう。ちゃんと伝わっているだろう。

そう思うかもしれません。

でもね、たとえ親子であっても、自分とは違う人なのです。キチンと伝えないと伝わるものも伝わらないのですよね。

「いつか分かる日がくるはずだ」って言いながら厳しく接する親御さんもいます。

しかし、僕からすれば、説明を放棄しているだけだと思うのです。

厳しい言い方をすると、怠慢ですよね。

たとえば、パソコンの販売員が「いやぁ、このパソコンの良さは使っていればいつか分かりますよ〜」とは言わないですよね?

ちゃんと伝わるように誠心誠意説明をする。でも、親子関係になると、ついつい手を抜いてしまうのです。

「どうせ分からないだろう」と子どもを下に見る。
「きっと分かってくれるだろう」と考える。

一緒にいるから。家族だから。自分がお腹を痛めた子だから。

気持ちは分かります。

けれど、テレパシーを使えない限り、お互いのことを100%理解することなんて不可能です。分かり合えることなんてないんですよ。

だからこそ、僕たち人間は言葉を使うのです。言葉を発し、思いを伝え、考えを述べて、すりあわせていくのです。


他人となら出来るんですよ。分からないもの同士だと思っているから。

けれど、子どもだと距離が近すぎて、つい分かってくれるだろうと思ってしまうのです。

だからこそ、あたらめて言います。

目標は、「お父さん、お母さんは、僕(私)のことをちゃんと分かってくれる」と子どもが思えるかどうか、です。

ここを目標にして、取り組んでいきましょう。


ツボは、どこにある?

「分かってくれる」とは、ツボ押しと同じだと僕は考えています。

人には、「あぁ、そこそこ!」というツボがあります。

たとえば、押して欲しいツボがあるのに、まったく違うところをずっと押しているマッサージ師がいると「あっ、この人ダメだな」と思いますよね?

子どもが「分かってくれる」と思えるのも、それと同じです。

さっき例であげた「0点」と答えた親子がまさにその状態だったのです。

お母さんは、とても熱心に子育てをしていました。愛情も子どもに届いていた。でも、全然違うツボを押していたのです。一生懸命に。

なので、「分かってくれるなぁ」と子どもが感じられるには、抑えるべきツボを見つける必要があります。

ツボを見つけ、そこを押す。

そうやってはじめて、子どもが「お父さん、お母さんは自分のことを分かってくれる」と思えるのです。


どこにツボがあるのかを探す

まずは、ツボの場所を把握するところからです。

場所を見つける方法は、2つです。

観る
訊く

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