見出し画像

すき焼き ちかよ

【はじめに】
2022年10月1日、すき焼き専門店を片瀬江ノ島駅徒歩40秒の立地に初出店します。具材を肉だけに絞り、専用オペレーションを組み、最高級すき焼きを2,270円で提供します。すき焼きを選んだ理由は、世界でも勝つためです。

ちかよ2097

恐らく世界初であろう‟肉だけのすき焼き“というメニューコンセプトは、私の実家のすき焼きから着想を得ました。私は偏食で野菜をあまり食べず、実家ですき焼きを囲むときも肉だけを食べていました。具材を肉だけに絞り、オペレーションを工夫することで材料費と人件費を抑えれば、最高級すき焼きをベストプライスで提供できるのでは?と考えたのが発端です。すき焼きのお肉は人に焼いてもらうことに拘り、囲炉裏一体型コの字カウンターを開発し、お客様の目の前で従業員が焼き上げる専用オペレーションを構築しました。割下は使いません。独自開発した砂糖と醤油の黄金比による「焼きすき」です。今まで10,000円以上出さないと食べられなかった最高級すき焼きですが、具材を肉だけに絞り、専用オペレーションを組むことで、最高級すき焼きを1,980円で提供します。有名高級すき焼きの価格帯は10,000円〜、牛丼屋さんに代表される牛すき鍋の価格帯は650円〜、その中間価格帯で本当に美味しいすき焼きを提供します。メニューはすき焼きセット2,270円のみで、特選黒毛和牛リブロース100g、ご飯おかわり自由、生卵、漬物、赤出汁がつきます。追い肉は1,480円。また、すき焼き専門店の狙いとして、すき焼き用の精肉販売があります。店舗を活かした肉のLIVE配信販売、自動販売機の活用、海外進出といった取り組みにも着手していきます。

【事業領域】
話は少し遡りますが、私は事業領域として肉業界を選択しました。カテゴリー分けをするなら、肉業界は食×エンタメだと考えています。事業領域を選定するときは、市場規模、やりたいコト、強み、好きなコトで考えました。

【市場規模】

ちかよ8585

市場規模は、何億円でうんたらかんたらというより、目の前に巨大市場があり、今後もなくならない領域を選ぶようにしました。これからは大替肉(大豆ミートや培養肉)もどんどん登場するでしょう。一部の人間は代替肉にシフトすると思いますが、大多数の人間は動物肉を選ぶような気がしています。理由は、人間に組み込まれた本能のようなものが大きく影響するのではないかと思うのです。味と栄養価が似ていても感情が追いつかないのではないだろうかと。また、動物肉を食べるという、その行為自体からも人間は活力を得ていると考えているのも理由の一つです。

【やりたいコト】

画像4

起業したわけですから、まずはお金を稼ぎたい。お金に関しては、誤魔化しを言うつもりはありません。お金を稼ぎたい理由の一つに、「自分が好きな人と心ゆくまで美味しいご飯を楽しむため」というものを掲げています。その上で、やりたいコトについてお話しします。私には、「コレをやるために生まれてきた」と言えるようなものはありません。ただ、ぼんやりと日本のために何かしたいという気持ちはあります。これは大学時代に読んだ‟坂の上の雲“に少なからず影響を受けています。私は一浪してまで入った大阪大学を中退し、アメリカ留学を決行しました。学生時代、世界で闘い日本のために活躍する明治人の姿に憧れました。あのときから世界で闘う意思が芽生えたのだと思います。また、心が震えるぐらいカッコいいと感じた人物は、バッターボックスに向かう途中にアメリカ人から拍手大喝采で迎えられていたゴジラ(松井秀喜選手)や、世界大会で割れんばかりの賛辞を受ける日本のプロゲーマー勢でした。輝いている日本人を見て自分の心が震えることを感じたとき、あぁ、やっぱり自分は日本人なんだなぁと思います。そして自分もそういう人間になりたいと強く思います。やりたいコトは特にありませんが、なりたい自分というものがあります。

【強み】

画像2

【私の性格としての強み】

画像6

私の強みを挙げるなら、根拠のない想像力と思い込みの力ではないかと思います。この3年間の給料(役員報酬も)は文字通りゼロで、全て営業活動費と仕入れにまわしてきました。資金面は苦しいですが、私の心情は「絶対に大丈夫」という言葉に尽きます。これは成功することが決まっているからでしょう。もちろん、私の完全な思い込みです。しかし、この思い込みはいったいどこから来るのでしょうか。私にもよく分かりません。アメリカ留学時代、私は自分の人生を真剣に想像しました。絶望に打ちひしがれ、くたばり、野垂れ死んでいる自分の姿はどうしても想像できませんでした。想像したことが現実になるのであれば、想像できなかったことは現実にならないだろうと考えました。若い頃の何かに怒り続けていた、怖いもの知らずだった自分には感謝しても感謝しきれません。英語が話せない状態で渡米し、瀕死状態で一日18時間勉強を続けたアメリカ時代は、私の骨格を形成しました。そんな私ですが、何の算段も無しに大丈夫と言うほど能天気ではありません。アイデアと準備を整えています。

【家族や仲間とご飯を食べるということ】

画像6

私は、人間にとって「家族が家で食卓を囲むことは大切である」と考えています。ここでいう家族というのは、必ずしも血の繋がっている家族である必要はありません。同志や仲間も家族と表現します。知人と話していると、「良いお肉を選んで上手に調理することは難しいけど、家でも美味しいお肉を囲みたい」という話しを聞くことがあります。誰でもできる調理方法とともに良いお肉だけをベストプライスで提供することが、私たちの解決策だと考えています。事業を通じて、肉で家族や仲間を結びつけるような役割を担っていければと考えています。究極論ですが、人間は家族や仲間と美味しいご飯を食べるコトが一番楽しくて幸せなんじゃないかと思うことがあります。もちろん、何でもない日常を幸せだと受け入れる心の在り方がベースになります。限られた人生で仕事を選ぶなら、最終ゴールである、家族や仲間が過ごす時間に携わる仕事にしようと考えました。在庫を抱えてまで肉事業を選んだ理由には、こういう想いがあります。

【苦悩】

画像7

熟成肉という自社商品を作って事業をしてきましたが、しっくりくる勝ち筋を感じたことはありませんでした。事業をしていて一番ツラいことの一つに、勝ち筋が見えない中で闘うというものを挙げさせて頂きます。熟成兄弟の3年間はまさに勝ち筋が見えない闘いでした。相方の波多野さんも胸中は同じだったと思います。これをこうすれば勝てるという光が見つからない。これが光なのか?と感じたことを行動に移しては一喜一憂する日々でした。光が見えなくても支払いは迫ってきます。支払いがキツく、口座のお金が底をつきそうになったことも3回ぐらいあります。本当に苦労したのは金融機関からの資金調達です。日本政策金融公庫は2回ダメでしたし、東京都の保証協会もダメでした。忘れられないシーンがあります。それは日本政策金融公庫から融資不可の連絡があったときの仕事パートナーの涙です。私は絶対に成功すると信じ切っていますが、それでもあの涙は応えました。お金にはかなり苦労していますが、ピンチの話こそ、将来振り返れば笑い話になることを知っていますので、絶望に打ちひしがれてアキラメルことはありません。

【直感頼りの大甘な算数】

画像8

肉屋をスタートすることを決めた後、肉をどこで売るかが課題でした。その答えの一つがサウナでした。当時はサ飯という言葉も浸透していなかったと記憶しています。サウナ×熟成肉は直観的にウケると思いました。当時は、なぜサウナ?とよく聞かれましたが、今ではよくあのタイミングでサ飯に着目したねと言われます。甘かったのは、どれぐらいお金が残るかという計算です。私が事業を考えるときに大事にしていたのは、直感、人間理解、運でした。算数が大幅に欠けていました。人間理解というのは考え続けるようにしています。これからは、直感を大事にしながら、もっとニーズに裏付けされた算数を意識します。もちろん、全く算数をしなかったわけではないのですが、大甘の算数であったことは否めません。

【人間理解】
次に人間理解に関してです。人間理解とは、人間の本能や欲望のような言葉に置き換えることができます。私は2つの側面から人間理解に努めています。一つは、過去の歴史(事実)です。今考えている事業は、過去の歴史から学んだ点が多くあります。もう一つは、自分を含めた人間の気持ち、感情、心の変化を考えることです。本当に心が動いてお金を払うだろうか。なぜ、それを選ぶのか。選ぶ理由が強ければ強いほどビジネスで強いことは言うまでもありません。私もそうですが、人間は‟何となく“行動する生き物です。その‟何となく“との睨めっこが人間理解の原点だと考えています。※心を動かすために、まずサービスなり商品を知ってもらうことが大切なのですが、ここでは割愛します。

【三つの歴史】
私が注目した歴史は、「挽肉と米」「いきなりステーキ」「いきなりステーキのアメリカ進出」の3つです。

【一つ目の歴史】
まずは、挽肉と米からご説明します。挽肉と米から学んだことは、‘’余計なものはいらない‘’ということです。一般的なお店では、ハンバーグに野菜やポテトをつけます。お金を払う側は、ハンバーグが食べたくてハンバーグ屋さんに行きます。ハンバーグ以外のものがなくても問題ない。むしろ、ハンバーグだけのクオリティを上げて、より美味しく感じる提供方法を模索する方が満足度は上がる。挽肉と米からは、引き算を学びました。いえ、正確には「食の特定の分野においては、引き算が有効であることが証明された」ということです。

【二つ目の歴史】
次に、いきなりステーキをご説明します。いきなりステーキは、ステーキ需要を証明しました。1,500円の値段でステーキ需要をわかりやすい形で示したことは肉業界にとっては偉業です。美味しい肉には強いニーズがあるのです。いきなりステーキが店舗数を増やしすぎて自滅したことも、次は我が身だと感じざるをえません。新店舗を出せば出すほど儲かる状況で、ストップをかけられる人間がどれほどいるでしょうか。

【三つ目の歴史】
最後に、いきなりステーキのアメリカ進出です。結論から言うと、アメリカ進出は失敗に終わりました。アメリカ(特に欧米では)では、1人でご飯を食べることは、幸せの真反対にあるとされているそうです。ユダヤ人の考え方を本で読んだとき、ユダヤ人が頑張ってお金を稼ぐ理由が素晴らしいと感じました。ユダヤ人がお金を稼ぐ目的は、「自分が好きな人と心ゆくまで美味しいご飯を食べるため」だそうです。私がお金を稼ぐ理由は、これに影響を受けています。この考えが正しいかどうかは置いておいて、この目的であればお金を稼ぐことに否定的な感情が生まれないのも納得です。少し話が逸れましたが、いきなりステーキアメリカ進出の歴史から、人間理解の重要性を再確認しました。

【飲食店の在り方、攻め方】
ここからは飲食店の在り方、攻め方に関するお話です。まず、私が考える飲食店の戦略は2つです。一つは、細長くやることです。町の定食屋さんのように、夫婦で固定客を掴む所謂個人店です。もう一つは、大行列を作り、爆発的人気を誇るお店です。この後者の代表例は、挽肉と米、いきなりステーキ、有名ラーメン店です。

【二つの法則】
爆発的人気を誇るお店の法則を考えていると、私は2つの法則に気付きました。一つ目は、馴染みのある食べ物を取り扱っていることです。ふたつ目は、顧客満足度を上げる何かで差別化をしていることであります。順番にご説明します。大行列を作り、予約が取れないお店は、王道のものを扱っていることが多いのです。寿司、ラーメン、ハンバーグ、カレー、ステーキ。当たり前の様に思われるかもしれませんが、実はこれが非常に重要なのです。

【飲食店の差別化における注意】
飲食事業を始める場合、差別化という言葉に惑わされて奇想天外なメニューを選ぶと、小さい市場で闘うことを余儀なくされます。熟成肉がその最たる例であります。熟成肉だと成功しないわけではなく、全てを賭けて勝負するほどの熟成肉事業アイデアを自分たちは見つけることが出来なかったということです。アメリカではボトルキープの原理でお客さんが熟成肉をキープできるお店が流行っているそうです。

【飲食店の差別化】
飲食店における差別化についてご説明します。飲食店の成り立ちは、大きく7つの要素に分解することができます。7つの要素とは、メニュー構成、味、提供方法、価格、内装、立地、人です。私は、「お客さんの満足度を上げる他店との違い」を飲食店における差別化と定義しています。差別化でインパクトを与えることで、爆破的成功に近づけると考えています。

【事例1】
挽肉と米は、メニュー構成、提供方法、内装でインパクトを与えました。もちろん、コンセプトも素晴らしいですし、価格も素晴らしい。一見ありそうでなかったハンバーグとご飯のみというメニュー構成。焼きたての提供方法(見せ方)、一人一人に設置されたハンバーグのための内装。これらが他社と異なり、消費者の心を動かしました。

【事例2】
いきなりステーキは、メニュー構成、価格、提供方法でインパクトを与えました。今までの分厚いステーキといえば、ホテルで食べるコース料理のメインぐらいでした。結婚式でステーキを食べたことがある人も多いと思います。コース料理だと7〜8000円はしますし、高級ステーキ屋さんだとステーキだけで5,000円はします。また、値段を抑えた1,000円程度のファミレスのステーキは薄いのが普通でした。分厚いステーキに絞ったメニュー構成。分厚いステーキ相場の5,000円を1/3程度の1,500円にしたことは革命です。超レアの状態の肉を鉄板の上に乗せて提供するので、注文してから出てくるまでのスピードが早い、まさにいきなりステーキです。富裕層からは健康食、若者からの肉食需要の両方を満たした点も赤身ステーキ路線の素晴らしい点だったと思います。

【差別化のまとめ】
このように、飲食店における差別化とは、取り扱うメニューというより、要素で差別化することが重要だと考えています。ビジネスの世界では何回も言われてきておりますが、魚のいない池で釣りをするのはかなり大変なのです。稚魚から育てたり、違う池から持ち込んだりすることは途方もない労力がかかる上に、実現しない可能性まであります。むしろ釣りをしない方が得策だと言う人もいます。新しい市場を作り出す人は本当に凄いと思います。そんな人間になるべく、死ぬまでには新しい市場を作り出したいと考えています。海外進出に関しては、日本に比べると魚が少ない池での勝負になると予想しています。

【さて、どうする?】
ここまでは、飲食店の構造や爆発的な人気を誇るお店の特徴や差別化ポイントを紹介してきました。さてここからが、本題です。このように歴史や事実を見て分析、理解した上で、どのような行動を取るかということです。私は、すき焼きにたどり着きました。日本ではもちろんのこと、すき焼きは世界でも広く知られている食べ物です。私にとっては、世界で闘えるメニューを選定しておくことは非常に重要でした。

【日本で一番すき焼きを愛する家族】
私の実家では、家族が集まるとすき焼きやステーキを食べるのが常です。私は野菜をあまり食べないので、すき焼きでも肉のみを食べます。完全に偏食です。そんな私が、コレは絶対に良いと感じていたことを事業化しようと思ったのがきっかけです。決して緻密な計算から導き出したわけではありません。計算から導き出せるほど、私は優秀ではありません。世界中の誰よりもすき焼きを食べた私が断言します。すき焼きは本当にいいですよ。まず焼く前のお肉を見て盛り上がります。ほうほう、今日のお肉はこれかと。お肉を鉄鍋で焼くと、肉は煙を出しながら縮みます。その煙が食欲をそそります。醤油と砂糖で味付けをし、溶いた卵にくぐらせます。最後にご飯の上にバウンドさせて一気に食べます。30年以上に及ぶ私のすき焼き愛が、すき焼きを事業アイデアに昇華させました。

【誕生秘話】
私の実家も、もともとは割り下を使うすき焼きでした。ある日、祖父の会社の慰安旅行に家族で帯同したときのことです。松坂牛で有名な三重県は松坂市の老舗すき焼き店で衝撃を受けました。と同時に絶望感が押し寄せてきました。いったい今まで家で食べていたすき焼きは何だったのだろうか。以降、我が家のすき焼きは生まれ変わりました。母親が微妙なアレンジを加え続け、実家のすき焼きが出来上がりました。私の母親の名前が“ちかよ”です。お店の名前は母親の名前が由来です。

【思考回路の言語化】
思考回路を言語化するなら、組み合わせです。すき焼き構想の前は、スライサーを用いた肉屋のカフェというものがコンセプトでした。最終的に、カフェは事業として難しいと判断し、アイデアを練り直しました。スライサーを使って提供できる料理を考えていたとき、実家のすき焼きを思い出しました。それから、考えやアイデアを整理していきました。世の中にすき焼きのお店はたくさんあるのですが、ほとんどのお店がすき焼きの真実に気付いてないように思います。お金をかければ、メニュー構成や内装は真似できますが、考え方や姿勢というものは真似しづらい。考え方のスタート地点が異なるので、細部の積み重ねに大きな差が出る。そういう細かい積み重ねがブランドを構築すると考えています。

【すき焼きを定義する】
すき焼きとは何なのか?私なりにすき焼きを定義させて頂きます。すき焼きとは、「和牛を最も美味しく食べる方法の一つ」ではないだろうか?と考えています。この定義は非常に重要だと考えています。この定義を軸にしているからこそ、ただ単にすき焼きを提供しているお店との差を作れると信じています。詳しく説明します。和牛の特徴は、霜降りと呼ばれる脂と和牛香と呼ばれる独特の香りです。和牛のステーキも美味しいですが、歳をとると脂が重く感じてきます。欧米のステーキは、分厚いステーキが一般的です。これは、肉は塊の方が美味しいとされているからです。和牛を塊肉で食べると脂がどうしても重く感じます。そこで、スライスした薄切り肉の登場です。欧米文化では、スライスしたお肉というのはサラミやハムといった肉加工品がメインで、塊肉を薄切りにすることはほとんどありません。食文化として、薄切りにする必要性がなかったのでしょう。一方、日本ではどういうわけか薄切り肉のすき焼きが生まれました。私は、霜降りと和牛香に最も適した食べ方を追求した結果がすき焼きだったのではないかと考えています。調理時間の短縮等も考えられますが、和牛を最も美味しく食べる方法のゴールがすき焼きであったという考えに、ロマンを感じざるを得ません。なぜ薄切り肉に着目したのか、当時の日本人に聞いてみたいところです。

【すき焼き ちかよを支える3つのポイント】
・和牛リブロース(カブリ外し)の調達

画像11

和牛は小川畜産さんにセリ市場で良いモノを選んでもらっています。また、和牛一頭(約500Kg)からリブロースは20Kgほどしか取れません。そこから食べやすいように筋や脂を取り除き、カブリ(約6Kg)を外すので、最終的に14Kg程度となります。原料調達、原料加工、調整と、日本一のチームに支えてもらっています。質のいいお肉を、継続的に、必要量、準備することが土台です。

・すき焼き専用鍋

画像10

新潟は燕三条に拠点を構える三条特殊鋳工所さんに協力してもらい、すき焼き専用鍋を開発しています。熱の伝わり方、肉のくっつきにくさから素材として鋳物を選定しました。鋳物は重いイメージがありますが、すき焼き肉を美味しく焼くギリギリの薄さ軽さに挑戦しました。鋳物の世界では、3mmが最薄と言われていますが、三条特殊鋳工所さんは1.5mmまで作れます。

・炭火で熱を伝えて、人が焼いて提供する

ちかよ2166

炭火でじんわりと熱を伝えています。また、私の完全なエゴですが、人に焼いてもらってこそのすき焼きという美学があります。ここが焼肉とすき焼きの違いなのではないかとぼんやりと考えています。効率よく炭火で人が焼くために、囲炉裏一体型カウンターを開発しました。

【店舗設計】
上記で説明した「すき焼きとは和牛を最も美味しく食べる方法の一つである」という仮説に基づいた、私のすき焼き店舗の設計はこちらです。

【メニュー構成】

ちかよ6418

メニュー構成は、肉のみのすき焼きです。世の中のすき焼きは、肉と野菜のセットです。私は基本的に野菜をあまり食べません。そんな私の問いは、「すき焼きで野菜は本当に必要だろうか?」です。人はすき焼きを食べるとき、肉を一番楽しみにしていると思います。であれば、肉のみに注力するのが良いんじゃないだろうかと考えました。‘’挽肉と米‘’や‘’いきなりステーキ‘’から学んだ引き算が、このアイデアに自信をもたらしました。

【味】

画像15

割下を使わないすき焼きの美味しさには、凄まじい破壊力があります。それなのに、なぜか割下無しのすき焼き調理方法は浸透していません。本当に不思議で仕方がありません。海外の料理ならまだしも、日本の伝統料理であるすき焼きの一番美味しい食べ方が、日本でなぜ広まっていないのか。もし、割下ナシのすき焼きを知った上で、割下アリのすき焼きを選ぶのであれば、私の味覚がズレているので潔く退場します。それぐらい割下ナシのすき焼きは美味しくて楽しいと断言します。昔はよく奈良の実家に友達を呼んで、友達と一緒にすき焼きを食べていました。私が初めて割下ナシのすき焼きを食べたときと同じように、全員が衝撃を受けていました。

【価格】
今までは、美味しいすき焼きを食べるには10,000円ぐらいが必要でした。安価な価格帯ですと、牛丼家さんの牛すき鍋が650円であります。有名すき焼き店が高いのには理由があります。まずコースで頼む必要があり(肉のみの追加は可能)、個室で1グループに焼き担当の中居さんが1人つき、すき焼きの世話をしてくれます。私は個室を排除して、担当制を排除し、肉のみに特化することで、最高のすき焼き肉を1,980円で提供しようと考えています。ちかよで使うすき焼きのお肉は、特選黒毛和牛リブロースです。ステーキ等でお主に使われるリブロースという最高級部位があります。そのリブロースをすき焼きで使います。セリで落とした旬の和牛を仕入れるので毎日銘柄が異なりますが、そのあたりも楽しんでもらえればと思います。もし大手百貨店等で販売するとなると、3,000円/100g以上の値がつくお肉です。

【提供方法】

ちかよ3162

すき焼きに特化するために、すき焼き専用鍋の共同開発を行っています。新潟は三条市にある三条特殊鋳工所さんにお願いし、オリジナルのすき焼き専用鍋を共同開発しています。その専用鍋を用いた提供方法ですが、1グループに1人の担当はつけずに、カウンター席限定で、お客さん1人ずつに鋳鉄すき焼き鍋を用意し、目の前でお店の従業員さんが焼くスタイルです。そうすることで、人件費を抑えつつ、お客さんにはすき焼きを見て、食べて、楽しんでもらうことのみに集中してもらえます。カウンター席ですき焼きの肉を焼いてもらいながら食べるスタイルは、飲食業界でも新たな取り組みだと思います。

【内装】

ちかよ2097

内装は、幼馴染の友人に託しました。彼はオランダの建築事務所にインターンに行ったりと、私のアメリカ留学に似た経験の持ち主です。大手建築会社に就職後、遊びの誘いを全て断り、最短ルートで一級建築士を取りました。年商1億円のお店を作りたい、とお願いしています。すき焼きの販売価格と内装にミスマッチが起こらないようなデザインにすることが難題でしたし、まぁ難題だらけでした。とはいえ、奈良の田舎の幼馴染に大勝負をサポートしてもらうことは、胸熱でした。今後の人生でも、こんなに楽しいことはなかなか見つからないでしょう。

【立地】
立地は、片瀬江ノ島駅から徒歩40秒です。これだけ聞くと好立地ですが、住宅地に向かって40秒歩いた場所にあるので、人通りはほとんどありません。路面店のようにフラッと入る人には期待できないので、認知度を上げることに注力する必要があります。江の島エリアに出店を決め理由の一つに漁師の方がいる街というものがあります。私は肉屋をしていますが、寿司や刺し身が大好きです。肉屋が魚が好きなのであれば、その反対もあると考えました。水産業に携わる人は肉好きが多いのではないか?という仮説です。飲食店は出店場所をきめるとき通行人の数を調査します。ただし、そこには通行人の趣味趣向は考慮されていません。私たちは肉好きの人が多いエリアというものを考えています。

【人】
人は、愛嬌のある人間で固めたいです。鬼のルールとして、お客さんの前では絶対に怒らない、嫌な顔をしないことを挙げています。子連れの方が来たら、お子さんを笑わせるぐらい愛嬌のある方、ご連絡お待ちしております。この事業のミッションは、「母親の得意料理をすき焼きにする」です。家で美味しいすき焼きを楽しく食べる家庭が増えれば嬉しいです。すごく押しつけがましいのですが、私の家族は当時も今も非常に仲が良く、事業を通してそんな家族が増えればいいなという想いがあります。
 
【今後の戦略】

ちかよ9662

最後に、この店舗運営を含めた私の戦略をお伝えします。お店では、店舗で使っているすき焼き用のお肉と同じお肉の販売も行います。また、お店からのLIVE配信販売や自動販売機も活用できないか考えています。これは、来店された方のご家庭でもお店の味を楽しめるようにしたいからです。特別な調味料は不要ですし、焼き方も全て教えます。一度も料理をしたことがない私ができるのですから、誰でも出来ることを約束します。家庭で美味しいすき焼きを食べる文化を作ることが出来ればと考えています。

【世界で闘う】

ちかよ7542

国内ですき焼き店舗として知名度を獲得した後は、海外進出を考えています。私は、アメリカ留学から始まり、サラリーマン時代にも数多くの国に行かせてもらいました。タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、香港、台湾、中国、韓国、ベトナム、カンボジア、オーストラリア、スイス、イタリア、ドイツ、フランス、ドバイ、インド。引継ぎもなく、全て新規で現地の会社にアポを取り、1人で販路を開拓することがミッションでした。本当に孤独な闘いで、結果は惨敗でした。ようやく伏線回収です。負けっぱなしは嫌だという想いがありました。世界で闘う武器を揃えて、再挑戦です。

【一緒に働く方を募集します】
世界で闘うという壮大な話もしましたが、まずは店舗運営を行い、繁盛させることが最重要課題です。この事業のミッションは、「母親の得意料理をすき焼きにする」です。家で美味しいすき焼きを楽しく食べる家庭が増えれば嬉しいです。そんなお店に協力して頂けるアルバイトの方を募集します。

採用を考えている人たちの人物像は2パターンあります。

①湘南エリア在住の愛嬌のある26歳以下の男女

②湘南エリア在住で愛嬌のある40〜80歳の女性

*湘南エリア以外に在住の方で、どうしても面談したいという方もご連絡ください。

仕事内容は、店舗運営全般です。開店準備、接客、すき焼きの調理と提供、レジ、後片付け、閉店作業が主な仕事内容となります。採用したい方に求める能力は愛嬌です。愛嬌は教えることが非常に難しい能力の一つです。また、店舗の場所が片瀬江ノ島駅前なので、湘南付近に住んでいる方にお願いしたいです。アルバイトで採用させて頂いた方で、一緒に働きたいと感じる方には正社員になってもらえないか打診したいと考えています。

【最後に】
もうすぐ私は37歳になります。若い頃の私は大人の言うことに全く耳を傾けない人間でした。常に、「それはお前の経験則であって俺には何の参考にもならない」と考えていました。今でも疑い続けています。私はアウフギーサーのアミト(元アウフグースギャングのボス)を見ていると、若い頃の自分を思い出します。自分だけの価値基準を持った生き方だけは死ぬまで貫こうと、私を初心に戻してくれます。熟成肉を捨てるわけではありませんが、すき焼き事業に集中します。こういう生き方を続けられているのは、尽きることのない怒りのエネルギーが根っこにあるような気がしています。



【あとがき】
当初は江ノ島でカフェを開く予定でした。メンバー内でカフェは本当に儲かるのか?カフェをやりたいのか?カフェをやるべきなのか?という議題が上がったとき、カフェはやめようと決断しました。そこから、四六時中、歩きながらも、寝る前も考え続けました。夢の中でも考え続けました。アイデアや仮説が頭の中で整理されたとき、本当に心が震えました。そのとき、あぁ、やっぱり自分はこういう瞬間のために生きているんだなぁということを改めて実感しました。カフェから変更になったとき、カフェで図面を依頼していた方には謝罪しました。こちらの算段が甘い状態でお声がけしたことを、この場を借りて改めてお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。

以下有料(500円)
この文章を公開する狙いと怒りについて

ここから先は

1,315字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?