言葉を紡ぎ、時を見る女

「今回は女だ」

最初の記憶は、この言葉

小さい頃から感じていた、知っていた

学生になる頃には忘れていた。


昨日、また聞こえた。

何を意味しているのだろう
確かに、わたしは女だ
何も不思議ではない

なぜ「今回は」が付くのか

最近、変わった事と言えば
タロットを引くようになった

カードを引くことは
人の人生に触れること

カードを引くことは
人の光に
人の影に
触れること

ある日
「前世を読んでほしい」
ある男が言う

今まで、そんな読みはしたことが無い

「出来る」
「知っている」

わたしには聴こえていた。

彼の物語を読んでいく
今、ここにいる理由
今、感じている心の理由
明日、感じている心

夕日に伸びる影
彼は、そこに立っていた
顔は見えない
そこには涙が見える
それは悲しみか、それは喜びか

カードを読んでいくと
そんな風景を感じた

もう１枚

彼の心がカードから見えてくる

もう１枚

彼の横に立つ女性が見える

もう１枚

二人の気持ちを感じる

わたしは、彼に全てを告げる
カードから見えた風景
心の感覚

「ありがとう」

その声の後に続く空白に
今の彼の心を感じる

今日も、わたしはタロットを引いている
今と
　昨日と
　　明日と
その間にある心を言葉に変えて