白狐の少年 - 神官との出会い

長年夢見てきた
聖地への旅

僕が育った星は、第14植民星
白狐族が多く住む星だ

母星にある聖地は
多くの民族が住む土地で
誰もが一生に一度は訪れたいと思っている

神殿に入ると
巨体の僧侶が4人
軽い会釈をし、挨拶をする

「こんにちは、僕です」

僧侶たちは愛想よく話かけてくれるのだが
ネギール族の言葉は、僕が聞くと
ネギネギ、ネギ〜、ネギギ
とか、よく聞き取れない
一人が記念のオニギリを渡してくれる
とりあえず、ニコニコしておこう

神殿は芳しいネギの香りが満ちている

神聖なネギが青々と並ぶ中央の道
高い天井と
両脇には神話の時代に語られる神々の像が並ぶ

奥に進んでいくと、人の首を型どった像から
メェ〜メェ〜
と動物のような音が聞こえる
ひんやりとした神殿に神聖な気持ちが高まる

そして、ついに
ついに、、、

最奥には白装束をまとった
女神官様が出迎えてくれた!

その姿に興奮した僕は
神官様を変な目で見たりしないように
自分を抑えるので必死だ

深々と頭を下げ
起き上がると

神官様が両手を顔の脇に上げた
僕も合わせて同じ姿勢をとる

神官様が手を前後に大きく動かす

「ネギネギ」

合わせて僕も

「ネギネギ」

続けて横へ

「マメマメ」

合わせて僕も

「マメマメ」

神官様は優しい笑顔で

「ネギまぁめ しんでぇん へ
 ヨウコソいらっしゃいました」

僕はドキドキしながら

持参したネギを僧侶に手渡し

続けて、100年に一度しか実がならない
伝説の果物

シャインマスカットを神官様へ

神官様は
その口に数粒運ぶと
口元から甘い果汁がこぼれ出た

僕は
僕は、、、


白狐の少年 序章 神官との出会い より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?