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#20 世界遺産について考える(2)登録基準
今回は小理屈の回なので旅行記的な感じが好きな方はスルーしてください
◾︎変えなくていいの?
作業指針に記載されているⅰからⅹまでの登録基準ですが、文化遺産と自然遺産の区分をなくしたり、ⅵの追記がなされたりといったところの他は基本的に変更されていません
正直日本語に訳すとよく分からない表現もあると思いますが、そこはまあしょうがないですよね
世界遺産という仕組みが誕生してから50年が経過し、当初は想定していなかった概念を認められている世界遺産も多数生まれています
だからと言って、世界遺産条約は簡単に条文を変更するなんてことは難しいのですが、作業指針の方は割と頻繁に改定されています
そんな中で登録基準に大きな変更がないことに違和感を感じます
現行の基準に沿って全ての世界遺産のOUVが認められているので、基準や中の文言を削除したり大幅に変更したりするのは現実的ではありません
なので、従来の基準に、世界遺産委員会もしくは世界遺産締約国会議で議論された上で、新しい基準を加えたり、新しい概念を包含した文言の追加などをした方がいいのではないかなと思っています
逆に1977年の時点の概念や理念での登録を今後もずっと続けていくのでしょうか?
時代に則して変えるべきものは変えていくべきだと思いませんか?
◾︎世界遺産保護・登録の目的
ユネスコの平和理念に基づき、顕著な普遍的価値を持つ文化財や自然を国際社会全体で保護して行こう、というのが世界遺産の目的です
(短くまとめ過ぎて違和感がある方、ご容赦ください)
世界遺産が成立した50年前における価値観による普遍的価値と、現代2020年代に生きる我々の価値観に基づく普遍的価値は当然変化しています
私は普遍的価値は「不変」ではないので、その時代時代で見直していくべきものだと考えています
もしかすると将来世代においては、今我々が普遍的価値として認めた基準が、彼らにとってなんの価値もないものと見なされればそれは世界遺産ではなくなってしまうかもしれません(出来ればそんな事態にはなって欲しくはないですが)
以前の記事でも書きましたが、この普遍と不変との考え方を今一度整理することで、今後の世界遺産の信頼性がより高まっていけると思っています
◾︎他のユネスコ関連の事業との関連
「無形文化遺産」や「世界の記憶」といった事業でも多くの物件などが登録されてきています
世界遺産条約は、文化遺産と自然遺産をひとつの条約で保護するということで大きな意味がある、とされていますが、他の事業で保護されているソフトの面の文化との習合もそろそろ検討すべき時期だとも思っています
2023年には「記憶の場」を新しい概念として認める世界遺産が誕生し、それ以前の文化的景観でも不動産としての世界遺産に関連したソフトの面が少なからず包含されています
全てのソフト関連項目を取り入れることはできないでしょうけど、登録基準における項目の新設、もしくは文言の大幅な加筆といったことが必要ではないかと思っています
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