REDS GO MARCHING ON

私がこのチームを応援し始めたのはいつだったろうか。

6歳でサッカーを始めた当初は地元のチームを応援していた。当然のごとく、周囲もそのチームのファン・サポーターばかりだった。

高校生になり、勉強や部活に大忙しの毎日だった。すっかりJリーグは見なくなってしまっていた。
そんなある日、テレビをつけるとJリーグの試合中継がされていた。
最初はただぼんやりと眺めているだけだった。
しかし段々と、画面の中で繰り広げられる攻撃的サッカーにすっかり魅了されていく私がいた。
浦和レッズのサポーターが1人誕生したのだった。

月日は流れて2023年。
激動の1年だ。私にとっても。浦和レッズにとっても。

2月
浦和レッズはシーズン開幕2戦にそれぞれ完敗する。
約2ヶ月後に控えたACL決勝への不安で一杯になる。

3月4日
セレッソ大阪を駒場スタジアムへ迎えたホーム開幕戦。
先制を許し、今日もダメなのかとピッチをスタンドから見つめていた。
PKで同点に追いつき迎えた後半終盤。
ミドルシュートが決まり、遂に逆転する。
総立ちのスタジアム。突き上げれる拳。
希望が見えた瞬間だった。

4月20日
私が担当していた案件でトラブルが発生した。
ここから約1ヶ月の間、客先や社内から責め立てられる毎日が始まる。
心も身体も限界寸前だった。

5月6日
ACL決勝第2戦を迎える。
終始押される展開の中、1点をもぎ取る。
2戦合計2-1
アジア制覇の瞬間。満員のスタジアムの大歓声。
涙が止まらなかった。
興奮なのか、感動なのか。限界だった心が壊れてしまったのか。
今でも分からない。ただ涙が止まらなかった。

6月4日
彼女と初めてサッカー観戦をした。
スタジアムでお揃いのユニフォームを着ている人達を見て、心底羨ましいと感じていた。
1つ夢が叶った。
試合はゴールレスドローに終わったが、妙な満足感が私を包んでいた。

8月2日
私は仕事中だった。
スマホに通知されるスコア速報を見るたび、心の中で「何でだよ。」と呟いていた。
大事件が起こったのは試合後のことだった。
Twitter上に溢れかえる衝撃の映像。
言葉が出なかった。

9月10日
彼女と別れることになった。
初めて結婚を意識した彼女だった。
原因は全て私の中にあった。
私の中にある衝動性を止められなかったこと。信じて支えてくれたのに裏切ってしまったこと。何より悲しませてしまったことが申し訳なかった。

9月19日
浦和レッズの2024年天皇杯出場資格剥奪が発表される。
予想はしていたことだった。
仕方ないとは思いつつも、何とも言えない感情が心の中に湧き上がっていた。

10月27日
私の中にある衝動性とそれに伴う身体の変化に、眼鏡の医師によって名前が付けられた。
目の前が真っ白になった。
これからどうすればよいのだろう。何を信じればいいのだろう。
全て分からなかった。何も考えられない。全てがどうでもよくなった。

10月28日
私はテレビの前で試合を観戦していた。
その時だけは余計なことを考えずにいられた。
熱く激しく闘う選手。それを後押しするサポーター。スタジアムに響く応援歌。
拳を強く握る私がいた。
次の試合こそは勝ちたい。そう思えた。

2023年シーズンも終盤戦。
もちろんこれで終わりではない。
私達の浦和レッズは続いていく。来年も。その先も。
どんな逆境でも。天皇杯に出られなくても。
強く握ったその拳がある限り。

もちろん私だってそうだ。
どんなに先が見えなくとも。どんなに毎日が辛くても。
拳を強く握ろう。天に向かって突き上げよう。

We are Reds.
赤き誇りは砕けない。