国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスについて(空中写真の閲覧)

 国土地理院は、昭和30年代より地形図の測量のため空中写真の撮影を行っている。それ以前の空中写真の撮影は陸軍が空中写真による地図作成を大正時代に研究導入し、昭和の初め頃から実施している。
 国土地理院による測量のための空中写真の撮影事業については、2020年に国土地理院の「地図と測量の科学館」で実施された企画展「空からの測量60年の歴史 くにかぜが見た日本」のパネルの内容がPDFで公開されているので興味がある方は以下の企画展の内容を参照されたい。

企画展「空からの測量60年の歴史 くにかぜが見た日本」

 ちなみに、昭和三十年の図式から地形図の投影法が多面体図法から横メルカトール図法に変更された。地図の骨格から変わったため、それまで地形図の変化した部分の修正から、図式の変更に合わせ空中写真による2万5せんぶん1地形図の改測が行われている。

 国土地理院が測量のため撮影した空中写は測量成果としてだれでも購入できるがそのためには「いつ」「どこ」が撮影されているかの情報を調べる必要である。これらの情報は国土地理院の閲覧所やweb「地図空中写真閲覧サービス」で確認することができる。場所が特定できれば購入の申し込みは閲覧所や通販、webでも可能である。空中写真は旧版地図のような成果の「複製」ではなく販売となるので日本地図センターより購入することになる。

閲覧・謄抄本交付受付窓口

地図空中写真閲覧サービス

地図空中写真閲覧サービス
地図・空中写真閲覧サービス

 閲覧サービスでは地図同様に撮影した空中写真の画像も閲覧できるが地図と異なり写真画像は地上の確認に十分な解像度で公開されている。ダウンロードできる写真画像は測量成果という扱いとなっておらず、出展を明示すれば自由に利用することもできる。

閲覧サービス写真表示
空中写真の閲覧画面(国土地理院撮影2018年広島市)

地図・空中写真閲覧サービス利用規約

 また、サービスでは国土地理院以外が撮影した国土地理院の管理する陸軍写真や太平洋戦争直後の米軍撮影の空中写真も公開されている。

米軍写真広島
空中写真の閲覧画面(米軍撮影1945年広島市)
陸軍写真広島
空中写真の閲覧画面(陸軍撮影1939年広島市)

 成果である空中写真の一部については地理院地図の「地理院タイル」としても公開されている。

地理院地図(東京駅付近 米軍撮影空中写真/陸軍撮影空中写真 並べて表示)

地理院地図過去の写真
地理院地図(2画面で年代の異なる写真を表示)

 空中写真の撮影は地図の修正に合わせ実施されており、地理院地図で公開されている写真は測量ため地理院が撮影した写真のごく一部である。

いか、地理院が管理する空中写真の参考としていくつか撮影事例

福井地震(米軍撮影)

福井地震の翌日に米軍が撮影(1948年6月29日)した福井市の写真。

福井地震米軍撮影
空中写真の閲覧画面(米軍撮影1948年)

昭和新山(陸軍撮影)

昭和新山の活動にあわせ陸軍が撮影した写真。撮影年不明だが昭和19年に噴火した昭和新山の噴煙が写っている。年代不明となっているが陸軍撮影の写真なので昭和19年か昭和20年の終戦前に撮ったものと思われる。

昭和新山陸軍撮影
空中写真閲覧画面(陸軍撮影)

※ 国土地理院の成果閲覧サービス、参考のリンクは2022.2時点のものです


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