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私のワクチン接種は、やっと来週で2回目が終わります。

立場上、関係する人たちに不安や影響を及ぼさないという観点でも、社会貢献という意味でも、少しでも早くしたかったのですが、色々とあって、若干、遅くなってしまいました。

ワクチンを打つ事には、個人的なリスクは確かにあります。

しかし、日本人全員がそのリスクを回避して、集団免疫獲得という手段を選択した場合、致死率と再生産数から試算すると、100万人の死亡者を必要とすることになってしまいます。

なので、日本の政府方針として、国民にワクチン接種を促す(日本は、強制ができないユルイ国なので、お願いベース)ことは正しいのでしょう。

この様にリスクとリターンを考えて意思決定することは重要だと思います。

外国人を受入するにもリスクが伴い、リターンがあります。

日本が、外国人受け入れリスクを嫌って、受け入れをしない、と決めた場合、10年毎に新たに約1千万人の日本人労働者の創出とそれに伴う社会コスト(企業や法人の負担)を必要とします。
ちなみに昨年の日本人の出生者数は84万人なので、この問題は、時間が経過するほど深刻化します。(新たな労働者は、どんどん減っていく)

僕の個人的な話で恐縮ですが、大手企業やベンチャー企業にいた時代、業績トップを得て調子に乗っていた時(苦笑)、ある人に、リスクをとって自分でやっていないお前は何も分かっていない、と言われました。その後、そうかな?と思って起業してみたら、本当にそうでした苦笑

結局はやって分かったことや得たことが多くて、とても良かったと思います。

でも、これは個人的にリスク取ることなので、全員におすすめはできません。

しかし、たいていのことは、リスクを取らない損失が、リスクをとる損失を上回ると言います。
個人的なリスクは確かに不確定要素が大きいですが、少なくとも組織的にやる限りは、この定義が当てはまると思います。

組織としてリスクを取らない、もしくは、個人としてリスクを取らない国民や経営者や社員が増えるほど、国も会社も発展や問題解決はしないでしょう。

平和で物質的に恵まれてきた日本人は、安定を保つ意識が強くなったまま、ゼロリスク思考が国民全体に浸透してしまいました。
しかし、リスクを取らないという事は、新しい事を起こさない、もしくは、今ある課題が解決しないまま、ということを意味します。

リスクを取って、分からない事を分かっていく事が、科学の進歩の秘訣でした。その結果、人類は宇宙までいくようになりました。でも、最初に、宇宙にロケットを飛ばすことを決めるのは、とてもリスクがあったと思います。

外国人受け入れのリスクは、国内労働者と仕事を奪い合う、もしくは、言語や文化の違いによる社会コスト(企業コスト)の増大です。

ただし、これらのコストを上回る利益=ベネフィットがあることが、科学的に立証されています。

まず、受け入れ国の労働者が求める仕事と移民が求める仕事は、国全体としては、被りが少ないことは、既にアメリカで実証されています。

あまり表立って発表されていませんが、これは事実です。

また、日本の高齢者はあらゆる意味で社会コストがとても高いです。

反対に若い外国人は、国や企業が、多少のインフラを整備しても、確実に純利益になります。これも移民先進国のアメリカで立証されています。

また、移民を受け入れる外国人や、その人が持つ宗教や考え方を、分かろうとする事が、日本の社会や会社の多様性を生み出し、発展につながるきっかけになると思います。

当社も、インドネシア人を雇用して、ムスリムの習慣(例えばお祈り)も含めて受入をしていますが、このような事は日本企業や社員の見方を広げたり、自分が認識していない物事を自覚する良い機会となっています。

博打的にやらない限り、一般的に、リスクを取ると、長期的にはベネフィットが上回ると思います。

日本の政府は世界的にも特別慎重なので、冒険はしません。

その政府が外国人受け入れ拡大を決めたのは、エビデンスがあるからなので、外国人受け入れのリスクはとても小さく、逆に企業がやらないリスクはとても大きいと言えます。  

とはいえ、リスクを考える事は重要です。コロナやミャンマーの様な異変が影響することもあり、リスクは時間と共に変動します。

例えば、今後、日本企業が、外国から外国人を受入するリスク=損失になる場合と、そこで得られるベネフィット=利益が出る場合の時間軸的に確率を考えてみたいと思います。

非常に単純化して、以下の様に考えてください。
・やらなければよかったと思う確率=リスク
・やってよかったと思う確率=ベネフィット

・外国人受け入れ
半年後に受け入れ:リスク6割 ベネフィット4割
1年後に受け入れ:リスク4割 ベネフィット6割
5年後に受け入れ:リスク2割 ベネフィット8割

今は、コロナの影響で、日本の入国管理が停止していますが、次第に海外からの受け入れが再開されていきます。

逆に、現在の在日外国人の特例措置による日本での在留延長が次第に縮小していきます。

いずれにしても、5年以上、事業をする意思のある企業は、受け入れをしないことは、逆にリスクになっていきます。

個別のカントリーリスクが入ると少し変わります。

・ミャンマーの場合
半年後に受け入れ: リスク9割 ベネフィット1割
1年後に受け入れ: リスク8割 ベネフィット2割
5年後に受け入れ: リスク1割 ベネフィット9割

*こちらは、新規受け入れとして考えているので、既にミャンマーで内定者を出して進めている企業は、ビザや入国の特例措置などもあるので、この通りではありません。

今は政情不安で、各種手続きが滞っていますが、特定技能の試験再開の発表もあり、政治の不安定さが続いても、国際的な往来は再開されていくと思われます。

そして、5年後には、ミャンマーが日本で働く外国人の主流になっている可能性が高いです。

ちなみに現在、在日ミャンマー人には、ミャンマーの政情不安に対しての人道的な支援として、在留資格の特例措置が取られており、本人が希望すれば、在留資格の有効期限が切れても、日本に在留して就労することが可能です。
本来であれば、帰国しなくてはいけないミャンマー人が、日本に在留し続ける人が増えていきます。


・インドネシアの場合
半年後に受け入れ: リスク5割 ベネフィット5割
1年後に受け入れ:リスク4割 ベネフィット6割
5年後に受け入れ:リスク2割 ベネフィット8割

当面は、インドネシアからの受け入れが、最も早く進んでいくと思われます。例えば、ミャンマーなどより経済成長をしていくので、いずれは人材獲得の競争が起きるでしょう。

あるいは在留資格と国の組み合わせで考える場合もあります。


・ベトナムから特定技能で受入
半年後に受け入れ: リスク9割 ベネフィット1割
1年後に受け入れ:  リスク7割 ベネフィット3割
5年後に受け入れ: リスク4割 ベネフィット6割

ベトナムが特定技能に積極的でない事は、関係者の間では有名で、しばらくは不確定な状態が続きます。しかし、東南アジア全体の特定技能が進むにつれて、日本への送り出し王国のベトナムとしては、変わらざるを得ないでしょう。

ちなみに、5年後に確実に利益になるのなら、5年後から外国人受け入れを始めればいい、とは行きません。
特定技能が2019年4月に始まった理由は、2019年4月から徐々に外国人受け入れをしていくと、日本や外国の情勢に間に合うと、日本の政府が判断したからです。
着手に遅れると、最後の頼みの綱である、東南アジアの国々の人たちが、日本には来なくなります。もちろん、受け入れ体制の構築にも時間がかかります。

5年後に間に合わせるという観点でいくと、実は、今がギリギリのタイミングです。
今のリスク要因はコロナですが、このコロナのリスクにより、日本や日本の企業が、外国人受け入れをする為の時間がなくなってきているということです。

コロナはいつか収束しますが、日本の労働者の課題は収束しないので、こちらの方がリスクが高いと思います。

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