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note35

黒というより、濃紺のような空から

消え落ちそうな小さくてもろい雪が降ってくる

ゆらゆら落ちてくる

弱い風に流されてふわふわゆれながら落ちてくる

その様子は一つ一つに命が宿っていて

それぞれが自由に動くことを楽しみながら落ちてきているよう

雪の妖精みたいだと小さい頃思った

私が生まれ育った場所は雪国で寒さが厳しく

真冬にはマイナス30℃近くにもなる極寒の田舎町だった

小さい頃は寒さも楽しく感じ、大自然のなかで遊んで帰ってくると耳が凍傷になって腫れたりもした

しもやけで手足がかゆくなるのもしょっちゅうで

大きな氷柱を集めることにはまった年には、あまりに夢中になりすぎて風邪をこじらせ40℃の熱をだし

自分のコレクションの氷柱で自分を冷やすということもあった

そんな昔の思い出を懐かしむような寒さを感じた夜

いま自分が住む場所でも、こんな雪が見れるんだと思った

まつげや髪に自分の息がかかると水滴がついて凍ったり

鼻から息を吸うとぴたっと閉じる感覚

雪を踏むとぎゅっと鳴る音

懐かしくて、もう少し外を歩いていたくなった

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