[妄想タイム] もしも三江線を復活させるなら

 平成30年(2018年)3月末に三江線が廃止されてから1年と少し経ちました。路線距離108.1kmという長い区間が全線廃止されたことはとても残念でした。しかし輸送密度が1キロ辺り83人、年間売り上げが4500万円で維持管理費を含めると年間9億円の赤字(報道による)ということでしたので仕方ないといえば仕方のないことでした。
 廃止されたのはとても残念ですが個人ではどうしようもできないので、せめて妄想でもしてみます。

三江線の歴史

 三江線は昭和5年(1930年)に石見江津駅(現江津駅)ー川戸駅間(13.9km)が開業してから昭和50年(1975年)の全線開通までに実に45年もかかりました。その間にモータリゼーションの波が押し寄せ山陰と山陽を結ぶ陰陽連絡線としての役割を果たすことは叶いませんでした。昭和62年(1987年)のJR発足の時も廃止対象路線として挙げられていましたが、例外として存続していました。
しかしながら沿線地域の人口減少や豪雨災害による全線不通を二度も経験するなど、利用者数はどんどん減り続け、最低時には 44人/キロ という輸送密度だった時もありました。

三江線を復活させるならどの区間?

 昭和50年(1975年)の全線開通までは三江線は、江津駅ー浜原駅の三江北線(50.1km)と三次駅ー口羽駅の三江南線(28.4km)の二つに分かれていました。なので、まずは単純にこの二つに分けて、それぞれもしくはどちらかを第三セクターとして存続させるという方法が考えられます。人口減少が進んでいるとはいえ、都市部周辺はまだ緩やかであるとするならば、起点駅を含めた短い区間での存続の可能性はあったように思います。
 しかし、それで延命ができたとしても根本的な問題が解決しているわけではないため、いずれ廃止ということになってしまいます。

天空の駅(宇都井駅)

 島根県邑智郡邑南町にある地上20mの高さにある日本一高い無人駅ですが、ホームへ上がるためには 116段の階段しかなく、その特殊性から「天空の駅」として人気です。邑南町ではこの「天空の駅」を地域活性化の重要施設として活用し、平成22年(2010年)から「INAKAイルミ」という駅周辺の田んぼや畑をまるごとLEDでライトアップする、というイベントを開催しています。11月の寒い時期にも関わらず3日間で2万人以上を集める大きなイベントです。

ずばり三江線を復活させるならこの区間!

 というわけで、復活させるならずばり、浜原駅ー口羽駅(29.6km、8駅、約40分)かなと。
 この区間は三江線で最後に建設された区間で、最高速度 85km/h(もちろんゆっくり走ります) と他の区間より速い設定になっているため作りも良いのと、開通してからの年月も他区間より浅い点、適度な距離、途中の石見都賀駅で交換が可能なため、複数列車が走れ、また、江ノ川沿岸から田園、森林、トンネルなど車窓も飽きずに変わっていくことと、何より「天空の駅」を通る点です。また途中の 潮駅 は春には桜と江ノ川という素晴らしい景色を見ることができるという点もあります。あとは、ターミナル駅となる浜原駅と口羽駅の周辺に無料の駐車場と飲食店、可能であれば観光スポット(資料館的なものとか)を作り、1時間に上下各1本ずつ浜原ー口羽間を走らせることで、この地域を自由に観光できる環境が整います。
 この区間には鉄橋やトンネルなどもあるために維持管理にはそれなりのコストがかかると思いますが、ぜひ復活してほしい区間です。

さいごに

 以上ですが、これだと三江線の復活が目的になってしまっているので本末転倒なのですが、現実には地域活性のためにトロッコを走らせようという動きがあるようです。これからが楽しみです。

参考資料
 JR西日本 「データで見るJR西日本」 https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/
 Wikiペディア 「三江線」 https://ja.wikipedia.org/wiki/三江線 
 Readyfor 「島根県・JR三江線の存続の願いをイルミネーションで伝えたい!」 https://readyfor.jp/projects/inaka
 毎日新聞 INAKAイルミ@おおなん 宇津井駅に2万人(2017.11.29記事) https://mainichi.jp/articles/20171129/ddl/k32/040/336000c
 朝日新聞 旧三江線、集客力ある トロッコなど活動結果報告(2019.2.2記事) https://www.asahi.com/articles/ASM2142GJM21PTIB008.html



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?