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【栄光からの転落】また逮捕された元YouTuber、ワタナベマホトの功績について語る

今年3月、とあるニュースがネットを騒がせた。

2021年にYouTubeを引退していたワタナベマホトが、元妻相手に暴力をふるい、警察に逮捕されたという内容だった。

約3年間、表に出てこなかったマホトがようやくニュースに載ったかと思いきや、また逮捕・・・というのもマホトはYouTuber時代から恐喝、暴力、児ポと犯罪を繰り返していたからだ。2021年3月にけじめをつけるとのことで引退し、結婚した妻や、週刊誌の取材により発覚した子供たちと一緒に過去の自分が犯した罪を反省しながらひっそりと暮らしてるんだろうな・・・と思ったらこれだ。正直凄く悲しかったし、かつてマホトの動画により彩られていた自分の過去も一気に暗くなってしまった気がした。当然ネットの反応も「またかよ」、「反省してないじゃん」等の冷ややかなものだった。当たり前のことだし、それが普通の反応だと思う。

しかしマホトを評価する声も未だにあるのは事実だ。YouTubeに残されているマホトの動画(彼は引退と同時に動画をすべて消してしまったので、今見れるマホトの動画は誰かが転載したものか、コラボ相手のチャンネルで上がっているものである)のコメント欄を除くと「戻っていてほしい」、「YouTuberとしては間違いなく天才だったと思う」など、マホトを肯定する内容のコメントは意外と多いのがわかる。恐喝に暴力に児ポ、ここまで犯罪を繰り返した控えめに言って最低な男なのにもかかわらず、現在も一定数支持する声があるのはかなり稀じゃないかと思う。ここまで書けば、彼がYouTuberに及ぼした影響の大きさが皆さんもなんとなくわかってきたんじゃないだろうか。

というわけで今回は、YouTuberワタナベマホトの功績について語ろうと思う。

【経歴の長さ】

今ではネットは当たり前のものとなり、普通に暮らしてれば何らかの形でネットに触れると思う。当然娯楽目的でネットを使う人も沢山いる。インスタやTikTokを覗けば、顔出ししてダンスしてる中高生の動画はもはや当たり前のように流れてくる。現代社会とネットは切り離せない関係にあると言っても過言ではないだろう。

しかし昔はそうではなかった。ネットはオタクっぽい人がやるものとされていたし、ましてやネットで顔出しして活動するとかちょっとね・・・というのが普通の考えだっただろう。

彼はそんな時代からずっと活動していた。彼がニコニコ動画で「サシマン」という名義でデビューしたのは2007年。今から17年も前のことだ。当初は友達と遊ぶ中で罰ゲームとしてニコニコ動画に動画をアップしたらしいが、次第にまだアングラだったネットの世界にのめりこんでいった。翌2008年にはニコニコ動画で出会った人たちとユニットを組んだり(なお、そのユニットは同年10月に解散)、STICKAMという配信サービスで配信したり、ニコニコ生放送が誕生してからはそこで生主デビューしたり、既にYouTubeで積極的にチャレンジ系動画を投稿していた最古の生きる化石配信者MEGUWINに動画づくりを教わって、YouTubeにも動画を上げたり・・・と、まだまだオタク文化全盛期だったアングラなネットの世界を学生のうちから渡り歩き、YouTuberという言葉が生まれるきっかけとなった動画投稿ブームを巻き起こした人物なのだ。これだけでもネットに与えた影響は大きいことがわかるだろう。

そしてYouTubeで広告収益プログラムが一般化されてからはYouTubeに活動の拠点を移し、YouTube全盛期の第一線を走り抜けた。「ネットで生きてく」ことができるようになったのはYouTuberの影響が大きく、その中でも第一線で駆け抜けてきたのだからネット全体に与えた影響は絶大だ。ネットが社会の中心にあり、そこで莫大なお金が動く現代社会を切り開いてきた人物だといえるだろう。


【優れた企画力】

他のYouTuberが口をそろえて言うのが「マホトの優れた企画力」だ。先述した通り様々なプラットフォームで、マホトは体を張った誰でも笑うような企画を沢山作ってきた。個人的に一番好きなのはセミを食べる動画だ。この動画はまだ黎明期でMVやニコニコからの転載動画以外は2,3万再生くらいが普通だったころのYouTubeで、なんと二日で30万再生された。この動画は一気にマホトの知名度を押し上げることとなった。他にも料理動画、雑談動画、更にはラッパーとして曲を作ったりなど、非常にマルチな動画を作り続けた。

少し話は変わるが日本のYouTuberは海外のYouTuberに比べてスター性が薄い。海外のYouTuber、例えばMr beastはハリウッド顔負けの国境を跨いだ撮影場所に超大規模な企画、作りこまれた編集に莫大な賞金など、映画やテレビ番組となんら変わらないクオリティの動画を作っている。他にも、世界的に有名な企業や政治家がスポンサーとしてついているチャンネルは非常に多い。

一方日本のYouTuberは家で何かをする、一般人がふと思うような範囲での企画を立てる、などYouTuberと視聴者との壁が薄いのが特徴だ。この「素人が素人のできる範囲で何かをし、視聴者にエンタメだけでなく親近感も与える」路線はマホトが作ったといえるだろう。彼は日本のYouTuberの在り方を決めたのだ。


【アイドル売り】

マホトは優れたエンターテイナーでもあったが、同時にアイドルでもあった。YouTuberのアイドル化を初めて行ったのは実質マホトだと思う。写真を見ればわかるが、彼はかっこいい。なので女性ファンも多かった。女性からの支持を背景にマホトは自身のアイドル化を推し進めた。ブランドを立ち上げたり、写真集を出したり、先述した音楽活動の延長としてライブを行ったり・・・などなど、今色んなYouTuberが当たり前のように行っているアイドル路線も、元はと言えばマホトが創りあげてきた道だ。余談だがマホトが発売したアルバム「Beginner2」は確かYouTuber初のオリコン一位を獲得していたはずだ。

しかしアイドル化を推し進めるにつれて次第にマホトはYouTubeの第一線から外れることとなる。2019年に彼が交際相手に暴力をふるって二回目の逮捕(最初の逮捕は2012年。恐喝で捕まったらしい)をされた時の彼のチャンネルの登録者数は270万人。ヒカキンやはじめしゃちょーなど、YouTube全盛期をともに駆け抜けた仲間が既に700万人以上の登録者を獲得しているのと比べるとやや劣って見える。それはアイドル化を押し進め女性視聴者が増えたからだろう。実際マホトを初期のころから応援していた人も、マホトがアイドル化を本格的に始めた2015年後半ごろから見なくなっていったと語っている。

コンテンツを熱狂的に盛り上げるのはいつだって女性だ。某いちごの歌い手グループが大量のアンチを抱えながら商業路線を大規模に展開できてるのは無数の女性リスナーのおかげだ。女性はコンテンツを異常なまでに盛り上げる力がある。ただ普通の動画を上げただけでキャーキャー騒ぐような、ライブで最前列を埋めているような人たちは基本男性ではなく女性なのだ。しかしその空気に男性は馴染むことは難しい。言い方は悪いが、女性中心で形成されているYouTuberコミュニティは基本宗教のようになっている。マホトは女性リスナーを獲得し、それまでただの素人だったYouTuberたちにアイドル売りという新たな路線を見せつけたが、それは男性視聴者の離散を促すものであり、彼のオワコン化と表裏一体のものだったのだ。


【後輩の育成】

これが最大の功績だろう。マホトは現在活躍しているYouTuberを沢山発掘してきた。東海オンエアがその代表的な例だ。彼らが無名だったころから積極的にコラボをし、しばゆー脱退騒動の解決や動画投稿のアドバイスなど、まだ未熟だった彼らを超トップにまで押し上げた背景には間違いなくマホトの存在がある。他にも相馬トランジスタやデカキンなど、沢山の後輩YouTuberを育ててきた。彼が何度も犯罪を犯し、何度も落ちぶれているのにその度にYouTuberとして復帰できたのは、後輩や同期のYouTuberからの支持のおかげだろう。クリエイターとしてだけではなく、人材発掘をするスカウトマンとしても、マホトは天才だったといえるだろう。

【まとめ】

ここまで読んで下さればわかると思うが、やはりマホトは天才だったと思う。日本のYouTubeのあらゆる面にはマホトの存在があるし、彼が創り上げてきた新しい道は陳腐化する気配を見せない。

しかし彼はあまりにも激しい二面性を持っていた。ここまで光と闇が混在する人間は珍しいだろう。恐喝に暴力に児ポ、犯罪を繰り返してきたマホトと、沢山のYouTuberや視聴者に慕われ、天才と崇められてきたマホト。信じがたいがどちらも同じ人間なのだ。

私は彼には幸せになってほしい。彼は周りに幸せを与える力と、周りを不幸せにする力、両方持っているからだ。間違いなく日本のYouTubeはマホトが創り上げてきたし、自分もその恩恵を現在進行形で授かっている。恩があるというと大げさかもしれないが、彼には幸せになってほしい。

しかし最近の報道を見る限り、マホトはどこまでもダメな人間なんだと思う。がーどまん曰く「元妻とマホトが離婚したのは、マホトが度々暴力をふるっていたから」、「子供は二人作っていたが、その子供にも手を上げることがあった」など、マホトのどうしようもない一面を暴露している(どうやらマホトは引退してからがーどまんの裏方として働いていたようだ)。またブレイキングダウンの経営者の一人である溝口氏によると、「借金するはいいものの、期限になっても返さない。指摘すると逆切れする」、「ありえない罪を犯してきて、それでも手を差し伸べてくれる人がいるのに、全然反省しているとは思えない」などと呆れて様子でツイートしている。またマホトがかつて所属していたGENESIS ONEの関係者が「マホトは金遣いが荒く、借金を繰り返していた」、「女遊びも酷く、夜遅くまでクラブなどに入り浸ったり、他のYouTuberの前でナンパを繰り返したり、仕事をすっぽかしたりしていた」などと暴露している。なんというか・・・彼には幸せになる素質はやっぱりないのかもしれない。さっきも言ったがここまで二面性が激しい人物は珍しいと思う。

けど私はそれでもマホトの動画が好きだ。もう彼が表舞台に戻ってくることはないだろうし、前科に借金に汚名に、今後地獄の人生を送ると思う。この記事を読むこともないと思うが、もし読んでくれるのならば、彼にはどうか反省してほしい。あなたをかつて応援していた視聴者やあなたの後輩/同期のYouTuberをこれ以上悲しませないでほしい。私はそう心から願っている。

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