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EU委員会委員長確定とその他の役職の整理

EUの行政トップにドイツのフォンデアライエン現ドイツ国防相が欧州議会の承認で決まりましたが、EU関係は登場人物が多くてよくわからん、だったので整理しておきます。

まず今年(2019年)5月にヨーロッパ議会(欧州議会)選挙がありました。
これは5年に一度4と9の年に行なわれ、定員751人。有権者は4億人で世界で一番広いエリアで行われる選挙です。ちなみに二重国籍の人がいて、100万人ほどは二重に投票できてしまいます。

この結果を受けて、欧州理事会が4つの役職の候補者をセットにして欧州議会に承認を求める形となります。欧州理事会は各国のトップが代表して集まるのでEU首脳会議といったりもします。4つの役職とは

①ヨーロッパ委員会委員長/欧州委員会委員長
②欧州理事会議長/EU大統領
③ヨーロッパ中央銀行総裁/ECB総裁
④EU外務安全保障政策上級代表/EU外相

メディアによって表現が違うので混乱しがち。EU大統領なんていうと一見偉そうな気がし、欧州理事会議長というとそれほどでもない気もしますが、どちらも同一の役職です。

欧州理事会で4人セットで決めますが各国の利害調整が難しい。

ヨーロッパ委員会委員長は通常欧州議会選挙で最大会派から出しますが、最大会派の委員長候補であるドイツ人のウェーバー氏に対し、フランスのマクロン大統領は大反対。重要な役職に対し経験不足との理由でした。何度か調整しましたが、1か月以上まとまらないままでした。

で、紆余曲折の末、マクロン大統領は以下の案を提出し、欧州理事会の承認をとれました。

①ヨーロッパ委員会委員長    フォンデアライエン(ドイツ/女性)
②欧州理事会議長        ミシェル(ベルギー/男性)
③ヨーロッパ中央銀行総裁     ラガルド(フランス/女性)
④EU外務安全保障政策上級代表    ボレル(スペイン/男性)

ドイツはヨーロッパ委員会委員長の座にドイツ人を送り込め、フランス・マクロン大統領はこだわっていた女性2名も満たし、ヨーロッパ中央銀行総裁の地位も取れたので、なかなかうまく調整の取れた人選だったのではないでしょうか。

ただ、中央銀行での経験のないラガルド氏がヨーロッパ中央銀行をうまく舵取りできるかは未知数なところです。

それにしてもフォンデアライエンさんすごいですね。
医師のうえに7人も子どもがいるそうです。


以上が28か国が加盟するEUがらみの話ですが、これとは別に47か国が加盟する欧州評議会というのがあり、こちらにはロシアも加盟しています。

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