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モダン版サメ補充の思索~サメ復活へのアプローチ~

 今回の記事は、色々考えてやっぱ駄目そうで悲しいねって文章を、解説に見せかけて実は自分のロジックを整理する為だけに冗長に書いた日記になります。
 小心者なので事前に予防線を張らせていただきますが、実績も糞も無く趣味で紙を触っている初心者が、そこまで書く必要ある?って部分までねちねち書いている駄文になりますので時間つぶしにでも使って下さい。
 あくまでも個人の見解であり、私的感想なので、MtG熟練者の方におきましては、あまり虐めないでいただくと助かります。
 あと内容にも少しかかわってくるのですが、近い文章で同じ語句を使わないようにする面倒な手癖があるので、人によっては読みづらいかもしれません。


0.総評

 先に結論から述べます。
 現状のモダン環境だと、遊べるデッキではあるが勝てるデッキではない。
 メタ環境的に厳しい側面と、純粋なデッキパワー不足の面が大きく、戦えるデッキまで上がるには、もう一、二段階のアップデートが必要。

1.そもそもサメ補充とは

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 レガシーに存在するデッキタイプ。
 青白系のコントロールデッキをベースに、サイクリングなどで能動的に墓地へ行く強力なエンチャントを《補充》で展開するギミックを内蔵したデッキ。
 本質的には青白系のコントロールデッキの亜種です。
 ゲームの序盤を除去や打消しでしのぎながら折を見てサイクリングをして、《補充》でアドバンテージを稼ぐデッキです。

 《サメ台風》といったキャッチーな名前と愉快なイラストにして、柔軟で強力なカードスペックを持ったカードの登場により、レガシー環境下で成立しました。


2.モダンでの可能性

 そもそも、モダンのカードプールにはデッキ名にもなっている《補充》が無く、代替になりうるカードが、《倉の解放》や《屋敷の踊り》といった、4マナですら重いモダンでは無茶な選択肢しかなかったです。
 そんな中、今年6月のモダンホライゾン2(以下MH2)で登場した《信仰の復活》により、モダンでもサメ補充が出来るのでは?と話題になりました。

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 しかし残念ながら、9月14日現在、晴れる屋などの大手サイトで青白系の《信仰の復活》と《サメ台風》のセットを使用したデッキが勝ち上がり、デッキリストが掲載された形跡はありません。
 肝心の新カード《信仰の復活》もエンチャントレスや呪禁オーラといったデッキが、除去対策に刺している程度の活躍しか見せていません。

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3.レガシーとの無慈悲な差

 理由は至ってシンプルで、モダンの範囲内では《補充》以外の強力なキーカードが他にも欠損しており、代替カードのみではモダンの他のデッキパワーに足りていないからだと思っています。

 欠損したパーツの中で、デッキの根幹に関わる重要なものが二つあります。
 一つは、言うまでもなく《意志の力》、もう一つは《行き詰まり》です。

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 個別にコメントを残していきます。

 《意志の力》(以下ウィル)は、言うまでも無く世界最強の打ち消し呪文です。
 ピッチコストで唱えた場合は2-1交換となりますが、アド損してでも負けに直結するフェイタルな1枚を弾けるのは、このカードにしか出来ない役割です。
 モダンにも《否定の力》がありますが、自ターンでは使えないかつクリーチャー呪文には使えないといった欠点を抱えています。

 そしてサメ補充にとって、ウィルの重要な点が5マナである点です。
 《サメ台風》単体では着地させただけでは勝てず、打消しや除去、ドローなどの非クリーチャー呪文を適宜唱えることで、トークンを生み出していくのが勝ち筋の一つです。
 そうしたデッキにおいて、ウィルから5/5の飛行を持ったクリーチャーが出てくるのは、ただ単純に強力であり、速やかにゲームを決める力があります。

 《行き詰まり》は序盤の展開を抑え、コントロールデッキが有利になるゲーム速度に持ち込み、自分はサイクリングで手札を整えつつサメ・トークンで攻めていくことが出来ます。
 そして当たり前ですが、Ancestral Recall効果は非常に強力です。
 それが《補充》で使いまわせるのですから、弱い訳が無いです。

 そもそも、他のカラーリングのデッキと比較して、青白系のデッキはレガシーとモダンの隔絶が広く、《剣を鍬に》や《渦まく知識》、《意志の力》と言ったデッキの基礎をなすカードが、他の色の代替パーツと比較して、1段階程度落ちている印象を受けます。
 これはモダンの青いデッキが弱いのではなく、レガシー環境に長年君臨する青いデッキが強すぎるだけです。
 「レガシーと言えば”青”」と言った印象を持っているプレイヤーは少ないくないでしょう。
 極端な言い換えをしてしまえば、レガシー環境でサメ補充が成立していたのも、《サメ台風》+《補充》の動きが強いこと以上に、ベースにある青白系のコントロールデッキが強いと言った要因があります。 
 個人的な感覚ですが、青いデッキが強すぎるカードゲームが果たして面白いかと言われると正直微妙なところではあるので、モダンのコントロールデッキはこの程度の力量で良いとは思っています。

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 もっとも、モダンの青白系コントロールも、レガシーほど万能ではないだけで十分に強いです。
 それでも、モダンでサメ補充が成立しないのは、サメ補充の方が青白コントロールよりも、抜けたパーツへの依存度が大きく、点数の下がり幅が大きいからだと思っています。
 また、サメ補充を成立させる上で必須の《信仰の復活》ですが、4マナソーサリーの《補充》と待機呪文ではデッキの構造に大きな差が生まれ、その差がさらにモダンのサメ補充成立の妨げとなっています。
 長くなりましたが、強固なデッキ基盤を持つレガシーのサメ補充の動きをモダンで模倣するには困難な課題が多数あり、現状ではデッキとして機能するには至っていないと思っています。

4.それでも《サメ台風》を釣り上げたい

 少し長くなりましたが、ここまでが序論になります。
 現状のモダンにおいてサメ補充はただ《サメ台風》を低コストで出す方法があるだけの、パワーの低いコントロールデッキにしか過ぎないです。
 MH2の発売日以来、時折このデッキの事を考えては見るものの、有力なデッキリストは上がらず、自分でも納得できる強さを持ったデッキリストを練ることもできず、モダンでのサメ補充を半ば諦めていました。
 特に自分の感情的な課題として、他に類似する強いデッキがあったことも大きいです。これに関しては後述しますが、上位互換に近しいデッキがあるのに、このデッキを掘り下げることに気が乗りませんでした。

 ただ改めてデッキを構成する要素をみると、面白い部分は多く惹かれるところがあります。
 今回自分なりに順序立てて思考をまとめ、モダン環境下でのサメ補充の可能性について探っていきたいと思います。

 以下の文章では、今一度要件及び前提から見直した上で、デッキ要素の分解と再構築を行い、自分の中で”楽しんでプレイできる”デッキを模索していきます。

5.要件定義

 まず大前提。
 サメ補充が何をするデッキかを改めて考えます。
 ただこれはもう先程答えを出していて、サイクリング持ちエンチャント+《信仰の復活》のコンボでアドバンテージを稼ぐ青白コントロールデッキです。
 デッキとしてはあくまでも青白コントロールの延長線上にあります。

 そうなれば、デッキを必要パーツに区分すると

 ①サイクリングエンチャント(乃至能動的に墓地へ行くエンチャント)
 ②《信仰の復活》とそれにアクセスするカード
 ③コントロールカード(除去+打消し)

 の3つの要素が必要になります。
 無論それだけでは足りないので、デッキを歪めない追加の勝利手段と、青白カラーのパワーカードを入れることで、安定したデッキ構成を目指します。

 最大の課題は②の要素、《信仰の復活》へのアクセスになります。
 理由はシンプルに、《信仰の復活》をプレイしない限りはコンセプトが完遂できないからです。
 なのでそこへ至る各アプローチについて3パターン、個人的な評価の低い順に言及していきます。

 その後、①のエンチャント・カード、③のその他デッキのキーになりそうなカードを個別に考察していきます。
 重要なのは、《信仰の復活》を唱えるターンを稼ぐこと、そして唱えた後に勝ちにいけるカードです。
 特に後者が重要でデッキの構造上、許されるパーツの枚数が少なく、慎重に吟味する必要があります。
 最後に現在自分の使っているデッキリストを叩き台に、実際の使用感と課題をまとめます。

6.《信仰の復活》を待機で唱える

 一度原点に戻り、余計なギミックを排除したアプローチを考えてみます。
 しかし、結論から言えば、非常に弱い選択肢でした。

 サイクルの元になった再録禁止カード《補充》のスペックが4マナソーサリーであることを考えると、待機2があるとはいえ2マナと言うのは破格の軽さです。
 なので最速で唱えた場合は4ターン目のアップキープにキャストされ、サイクリングを起動する機会は3ターンあり、最大値だけ見れば十分な性能に思えます。

 この方法の利点として二つ重要な要素が挙げられます。
 一つは、 必要なカードが《信仰の復活》のみになるので、デッキの枠が空くことです。
 他のアプローチと比較して、4~8枚ほどデッキのスロットが空き、他で採用を見送らざるをえなかったカードを無理なく入れることができるのは非常に魅力的です。
 二つ目は、後述する他のパターンと比較しても、デッキの構造が歪まないことです。
 別のアプローチでは採用できなかった、低マナ域の強力なカードを使用することができるので、序盤の安定感に優れます。
 総合すると、《信仰の復活》が関与しない部分のカードパワーが上がると言えます。

 一方で、この手法を取る時に、個人的に非常に弱いと思える難点を挙げていきます。
 まず、ただでさえデッキの構造上、墓地と言う公開領域からカードをプレイするためケアが容易であるのにも関わらず、追加でプレイタイミングまで見えてしまうのは個人的にはナンセンスなポイントだと思います。
 仮に、序盤に待機で唱えた場合は、キャストされるタイミングが見えているため、《主張》や《排斥》と言った除去エンチャントを躱すことは容易であり、それは強い動きではないです。
 また中盤以降、除去対象が存在する場面で、2ターン待つというのは悠長な動きであり、その場面では《排斥》を4マナで唱えた方いい展開の方が多いです。

 結局のところ、除去エンチャントと待機呪文の相性が非常に悪い、と言った別の課題が浮かび上がってきます。
 サメ補充は除去や打消しなどのコントロールデッキのコントロールパーツを削り、エンチャント呪文を入れています。
 そうしたデッキのコンセプト上、《主張》や《排斥》が除去カードとして計上されており、それを唱えてから効果が反映されるまでに2ターンのラグが発生し、その間除去対象のパーマネントに触れないというのは、敗北に直結する可能性が十二分にあります。
 もちろん、ゲームの後半の膠着した状態など、待機で唱えた場合でも強い場面はあるでしょうし、最速の4ターン目にサメ台風が着地すること自体は弱くはありません。
 しかし、弱い場面の数に対して、強い場面が僅少なのは、良い選択肢とは思えないです。

 そこまでではないですが、少し気になる点が、デッキのコンセプトになるカードが4枚しか入っていないという点です。
 4枚しか入らないからこそ、デッキのスロットに余裕があるとはいえるのですが、このカードが引けない限りエンチャント・カードはただのキャントリップになります。
 他のカードゲームの感覚になってしまうのですが、同じカードが8枚あって初めて安定したデッキコンセプトになると思っていて、今回のデッキの場合、特定のカードの依存度に大して、4枚と言うのは少なく感じます。
 もちろん待機呪文のマナコストは0なので、《トレイリア西部》の変成でサーチでき、5枚目以降に換算することはできます。
 しかし、3マナのソーサリータイミングで、何のサポートもない待機呪文をサーチしていいデッキはないです。
 多数のキャントリップや、《覆いを割く者、ナーセット》、《精神を刻む者、ジェイス》と言ったドローを駆使して引き込むことは容易ではあるのでしょうが、引き込むコストとターンに追加して、待機のターンも嵩むとなると、現在のモダンにおいては大幅なタイムロスになります。

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 このアプローチの最大の難点は、《虹色の終焉》や《対抗呪文》などの強力なカードを惜しみなく投入できるために、一見しただけだとデッキリストが強く見えてしまうことです。
 実際にプレイしてみると、ただのキャントリップが多く入った青白コントロールであり、《排斥》はただの4マナの除去、《主張》はただの2マナインスタントのドロースペルでしかありません。
 もちろんデッキ全体の動きを阻害しない以上、単純なコントロールデッキとしての立ち回りで勝ちを拾えることも強みなのかもしれませんが、それはただの不要牌が十数枚詰め込まれたコントロールデッキになってしまい、それなら、サメ補充と言うコンセプトを放棄した方が良いです。
 結句デッキとしての方向性が、実プレイの方向性と乖離してしまっている以上は、別のデッキを使った方が良いと判断しました。
 どのカードでも言えることなのでしょうが、やはりプレイタイミングを選べないというデメリットは非常に大きなものです。

 まとめると、一見短いように見える待機の2ターンと言うのは、ゲームを畳むのには十分な数字であり、個人的な結論としては、「《信仰の復活》は待機で唱えても弱い訳ではないし、時としてその選択肢を取る場面はあるだろうが、それを前提としてデッキを組むことは最善の選択肢ではない」です。
 他の待機呪文と比較して、待機のターンが短いために、一見無理がなさそうに見えてしまうのがトラップです。


7.《予言により》

 アモンケットの青の神話レア《予言により》によって、待機ターンを踏み倒す動きです。
 利点としては、即時性がある点、デッキの構造を歪めない点が上げられます。

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 即時性があると言うのは、待機のターンを踏み倒しているので、打った瞬間すぐに効果が適応されるということです。
 前述のとおり、待機呪文はその仕様上、発動から適用までにタイムラグがあり、そのラグは今回唱えたい《信仰の復活》の大きな課題になっています。

 それを《予言により》を利用し解決するのが、一つの案として挙げられます。

 近しいパターンとして、赤を足すことで、類似する効果を持つ《雷電支配》を利用し、相手ターンのインスタントタイミングで動く方法もあるでしょう。

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 《予言により》と比較すると《雷電支配》は、相手ターンにプレインズウォーカーなどを着地させながらX火力を飛ばすと言った、柔軟な動きができるように見えますが、肝心の《信仰の復活》が手札で腐ってしまう可能性や、2枚目以降の《信仰の復活》が上手く使えない場面が発生しやすく、またマナベース的にも、赤のダブルシンボルは非常に厳しく感じます。どちらかしか採用しない、もしくはどちらも4投する、と言った場合は別ですが、両方採用する際は、デッキ内の比重自体は《予言により》を取る方が良いと思います。

 デッキの構造を歪めないと言った利点は、この項目単体では説明を省きますが、後述する”続唱”を採用したパターンの際に言及します。

 欠点として考えられるのは、デッキのスロットを少し圧迫する点と、特定のカードを2枚要求される点が挙げられるでしょう。

 デッキのスロットを圧迫すると言うのは、《信仰の復活》を4枚投入した上で、《予言により》を4枚入れると、その分本来の青白コントロールに入っていたパーツがさらに減ると言った問題、言ってしまえば「何抜く問題」が発生する点です。
 4枚分の枠を作ることは普通のデッキであればあまり困らないかもせれませんが、デッキのコンセプト上10枚程度のエンチャント・カードが入っており、そこからさらに抜くカードを選ぶのは至難です。

 仮に《不敬な教示者》や《祖先の幻視》などの《予言により》を強く使えるカードを増やした場合は、さらに枠が圧迫されます。
 しかし、《予言により》と相性の良い待機呪文を増やすのは、一見良さそうに見えますが、デッキの方向性が大幅に逸れ最終的にはエンチャント・カードと《信仰の復活》がノイズになります。
 今回のデッキテーマがサメ補充である以上は、そういった余分な動きは排除する前提で模索しますが、それでもデッキに待機呪文を入れたい場合は《不敬な教示者》にとどめておくのが良いでしょう。
 《不敬な教示者》のみで言えば、キーパーツの《信仰の復活》や《予言により》もサーチできます。

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 枠が圧迫される都合、抜かれるカードが生まれ、その結果、今回で言うところの《信仰の復活》と《予言により》を入れるために抜いたカードによって下がった点数以上の価値を示す必要があります。(もちろん、実際はこのような単純な足し算引き算の問題ではないですが)
 一応、今回は3マナで《サメ台風》や《主張》がプレイできると言った結果のみを見れば充分及第点であると判断しました。

 次に特定の2枚を揃える必要がある点についてですが、要求枚数自体は過去の双子コンボや、サヒーリコンボと同じように見えます。
 しかし、いくらサイクリングの枚数が多いとはいえ、そもそもその事前準備としてそのサイクリングカード自体も引き込んでおく必要があるとなると、上記の二つのコンボと比較しても、要求枚数が増えます。
 そこに付随して土地や打ち消し、除去を引き込む必要があるとなると、途端に要求ハンド事情が厳しくなります。

これは、各4枚投入したそれぞれのカードを各1枚以上引く確率を計算した簡単なグラフです。
 (こちらのグラフはこちらのサイト「複数のカードのドロー・デッキ存在確率(マリガン対応)」から拝借しました。
 非常に便利なサイトですので、使ったことのない方はぜひ使ってみてください。)

 下記グラフの経過ターン数=ドロー枚数としてみてもらって構いません。
 また、実際のデッキだとフェッチランドなどのデッキ圧縮で若干計算がずれるのであくまで目安程度にお願いします。

マリガングラフ1

 見てもらえばわかりますが、先行3ターン目、ドローフェイズ2回、サイクリング1回と3枚引いたケースでも、2枚揃っている確率は26.5%です。
 大体5割を超えるのは9枚引くあたりになり、その間除去や打消しで耐えるとしても、確率としては心許なく感じてしまいます。
 《不敬な教示者》を挟めば成立確率はぐっと上がりますが、どちらをサーチするにしてもテンポロスには変わりないです。 

 先に挙げた双子コンボもサメ補充も、動きとしてはどちらも序盤は除去と打消しでコントロールしつつ、隙をついて強力なカードをプレイすると言ったデッキになります。
 現行のモダンで言えば一昔前にあった、ティムールカラーの風景の変容デッキが近いでしょう。
 禁止カードと比べるのも変な話ですが、《欠片の双子》が既存のコントロールデッキが8枚分のスペースを使ってゲームエンドに持ち込むのにたいし、あくまでもサイクリングした強力なエンチャントを場に出すだけで、直接的な勝利には繋がらないと言った決定的な差があります。
 冒頭でも少し触れましたが、ここがこのデッキの抱える大きな問題であり、《信仰の復活》は、一枚で勝てる代表格のカード《風景の変容》とは違い、打てば勝てるカードではなく、あくまでもアドバンテージが取れるカードです。そして、その獲得できる枚数も大きなムラがあります。

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 十全なコントロールが整いやすいレガシーの《補充》とは異なり、《信仰の復活》は《サメ台風》と言う勝つためのカードを出すと言った役割以上に、単純な除去としての役割や、複数枚のエンチャントを釣り上げることで1:2交換以上を目指し、《否定の力》や《孤独》といったカードで失ったハンド差を戻す役割を求める場面が多々あります。
 そうした視点で見ると、《信仰の復活》一枚から、2枚以上のカードが出てくる動きが強いのであって、2枚のカードから、2枚以下のエンチャントが出てくるのは、果たして強い動きでしょうか。
 勿論高マナ域のカードを踏み倒して出せるというのは強いでしょうし、サメ台風さえ出てしまえば、すべてのアクションにボードアドバンテージが+1になります。
 しかし、消費したハンド、成立確率を鑑みると、そこから勝ちに行けるかどうかは別問題に思えてきます。

 以上を踏まえた上での個人的な意見ですが、現状の《予言により》を利用したアプローチでは、最終的に得られる結果の期待値に対して、成立確率と消費リソースの釣り合いが取れていない、端的に言えば「コストパフォーマンスが悪い」の一言に尽きると思います。
 感覚的な話で申し訳ないですが、そもそも特定の複数枚のカードを揃えることを目標に動いていくのはコンボデッキの動きです。
 しかし、サメ補充は《信仰の復活》によるアドバンテージの獲得といったアンフェアな動きを内蔵したフェアなコントロールデッキであり、根本的なプレイの方向性が若干ズレています。
 そういったズレのあるデッキは、プレイ方針が不確かであり、やりたいことが曖昧な【何がしたいのかわからないデッキ】になっていまいがちです。
 仮にコンボとして立ち回るにしても、三枚以上(エンチャント+《信仰の復活》+《予言により》)のカードを使ったコンボで勝利が決まらないのは、コンボとは呼べません。
 個人的には一昔前のブルーリビングエンドのような挙動を期待しましたが、決まっても勝てないと言うどうしようもない部分がどこまでも足を引っ張ります。

 結局のところ、《予言により》を採用したデッキでやりたい動きと、サメ補充のデッキの方向性が噛み合っていないことが最大の問題でしょう。
 4枚しか入らない特定のカードへの依存度が強すぎるコンボ色の強いデッキと、柔軟性を重視するコントロール色の強いデッキの両立は難しいです。
 《予言により》デッキには《信仰の復活》とエンチャントを入れずに、多様な待機呪文複数枚といったデッキ構成の方がプレイの方向性が定まります。また、マリガンも《予言により》+待機呪文どれかという、少しキープ基準をさげつつ、明確な基準を保持できるので、より完成度の高いデッキになると思います。

 良くも悪くも、モダンは押し付けるデッキが強い環境です。
 冒頭でも触れましたが、モダンの青白コントロール系のデッキはレガシーと比較するとカードのパワーが低く、受けきるデッキとしては万能ではありません。

 ※もちろんMO(マジックオンライン)などの、ある程度”環境”と言うものが成立し、メタゲームが存在している時にはメインから使用率の著しいデッキに対してシャットアウトできるキーカードを入れるなどして、強く動ける場面が多いでしょう(今でいうところのメイン《虚空の杯》、ホガーク環境のメイン《安らかなる眠り》)が、これは魔導征龍環境で、魔導側がカイクウを積んでいる感覚に近いので、そのアーキタイプが強い、とは少し違うかなと思っています。
(別ゲーの例えで申し訳ないのですが、すこし言葉にしづらかったので)
 メタゲーム上で強いデッキと、ただ強いデッキは違うと言ったそういった話です。

カイクウ

ブラスター

 そうした環境で遊ぶ以上は、こちらも何かしら押し付けるギミックがあった方が良いのは間違いないでしょう。
 その要素としてサメ補充ギミックを選んだのであれば、このアプローチは欠点が多く、個人的に別の手段がまだあるのならそちらを試し、そうでないのであればデッキの完成を見送るラインに入っていると思います。

 追記になります:イニストラード:真夜中の狩りで追加された新戦力《信仰の繕い》
 これは《信仰無き物あさり》のリメイクカードで、ライフゲインがついた上にインスタントになった非常に強力な一枚です。
 一にも二にも、インスタントであることが非常に優秀です。そして、フラッシュバックコストも非常に軽いです。
 これを使えるというのは、《予言により》型を選択する大きな理由になります。
 手札の不要牌、主にエンチャントを切りながら、足りないパーツを掘りにいくなど、柔軟な動きをしつつ、ライフゲインによってリーサルターンをずらすこともできるでしょう。
 もちろんサイクリングと合わせてドローを進めることもできます。
 どの場面でも手札にあって困るカードではなく、青かつ白と言うのも《否定の力》と《孤独》両方のピッチコストになるので最高の1枚だと思います。
 まだ実際のカードが出ておらず、試していないのですが、どこかで一度試す予定です。
 ただひたすらにインスタントであることが強いので、新しいアーキタイプが産まれることでしょう。

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 実は《時を解すもの、テフェリー》の上から待機呪文を唱える唯一の方法であることを記し、この項を終えさせていただきます。

8.”続唱”

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 最後のアプローチが、現在のモダンにおいて、待機呪文の踏み倒し方法として最もメジャーな続唱です。

 最初に問題になるのが、他の続唱デッキが待機4ターン以上の重い呪文を踏み倒すのに対して、《信仰の復活》は2ターン短縮の為に、デメリットの多い続唱を選ぶことに意味があるのかどうか、です。
 ただこちらに関しては前々項で説明した通りです。モダン環境下の2ターンには充分な価値があります。
 2ターンと言う少しいけそうな数字が人を惑わすのですが、モダンの2ターンの価値を今一度思い出してください。
 2ターン捌くのに使うカードも、サメ台風がある状態で使った方がより勝ちに近付く点も忘れないでください。

 まず続唱の欠点から考えます。
 第一に挙がるのは、言うまでもなくデッキの構造が歪むことでしょう。
 続唱を選ぶ以上は、デッキ内に《虹色の終焉》や《対抗呪文》と言った青白デッキの序盤のベストカードが入らないです。
 純粋にデッキパワーが下がります。

 しかし、ベーシックな青白コントロールの2マナ以下のカードはその2枚のみであり、《瞬唱の魔導士》も最近はあまり見なくなりました。
 最新のリストでは、他の2マナ以下のカードは所謂環境を見たカード、《広がりゆく海》、《虚空の杯》になっています。 
 どちらも強力なメタカードでありつつ、自身の動きも全く阻害しない現環境下のベストカードです。
 メインからメタカードを入れるのは特定のデッキに対してマッチを有利に進めつつ、サイドボードの枠を広げることができるので、メタゲームの固まった競技シーンでは有用でしょう。
 個人的にフリープレイではあまりお勧めはしませんが。
 《虚空の杯》を入れることによって、《選択》など1マナスペルが犠牲になっていますが、些末な問題でしょう。
 今回はあくまでも、メタゲーム上強いデッキを考えるのではなく、普遍的に動かせるデッキを考える方向性でいるので、問題点を《虹色の終焉》と《対抗呪文》に絞りました。

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 次に、続唱呪文にデッキの枠を割く必要がある点です。
 《予言により》の項目でも述べましたが、デッキに動きを足すと言うことは、デッキから動きを減らすことにもつながります。
 ただ、続唱に限って言えば、続唱を導入する以上はデッキから必然的に抜けるカードが出てくるので、枠を開けること自体は比較的難しくはないです。
 ただ、やはりレガシーが《補充》だけで完結しているのに対し、《信仰の復活》+続唱スペル6~8枚となると中々厳しいものがあります。
 デッキが60枚あるとはいえ、3分の1は土地が入るカードゲームです。土地を除いたメインデッキの枚数は実は遊戯王よりも少なく、そこから枠を割くというのはやはり厳しい取捨選択を迫られます。

 続唱の利点を考えます。

 まず、挙動が軽いことがあるでしょう。
 手札1枚で完結しているのが優秀です。
 《補充》で強い動きだった、手札一枚から2枚以上のエンチャントを出すといった動きを再現出来ている上で1マナ軽いというのは非常に優秀です。
 裏を返せば、引き込んでしまった《信仰の復活》が不要牌になってしまうのですが。
 しかし、3マナのカード1枚でレガシーの再録禁止の4マナ相当の動きができるといった強みはリスクに対してリターンが非常に大きいです。

 そして、何よりのメリットが、期待値が非常に高いと言うことです。
 デッキに2種8枚まで入るカードを3ターン目までにどちらか引けば良いと考えると、期待値的には1を超えます。
 ここが、先に挙げた2つのアプローチと比較して非常に優秀な点でしょう。
 序盤の脅威を除去と打ち消しでしのぎ、折を見てサイクリングしたカードを、適当なタイミングで釣り上げつつボードをコントロールすると言った、サメ補充の動きに比較的忠実に沿っており、また再現性も高いためにデッキに一貫した動きが産まれます。
 期待値が上がることのメリットは結句、良くも悪くも再現性が上がるのでデッキとして安定する、これに尽きると思っています。

 この二つの利点が、欠点と天秤にかけたうえでも続唱を選択する十二分な理由になると思います。

 ただ《対抗呪文》が入らないことで、意識するポイントが一つ増えます。
 序盤は盤面を重視した動きを取ることです。
 青は事前処理が得意な色ですが、サメ補充は着地したパーマネントをエンチャントで弾く動きをある程度前提に組まれており、白の特色の方が強いデッキになっています。
 もちろん、致命的なカードは《否定の力》などで止める必要があるのですが、基本的に序盤はボードコントロールを意識した動きになります。

 2マナ以下のカードが入らない部分についてですが、実は個人的にはあまり気になっていないです。
 もちろん、あった方が良いカードではあるのですが、エンチャントをサイクリングするターンを考えると2マナ域は膨らんでおり、場面としては《対抗呪文》を打ちたいシーンよりも、自分の強い動きを押し付けるために、サイクリングを選択するシーンの方が多く感じます。

 つまらない結論になってしまいましたが、現在のモダンの環境が示すとおりに、待機呪文へのアプローチで個人的な感触が最も良かったのは続唱になりました。
 青白のカラーリングですら、こうなるのであれば、他のカラーだとなおさらだと思います。

9.採用エンチャントを精査する

 デッキの核となる部分、エンチャント・カードの選択肢を吟味していきます。
 と言っても選択肢は僅少であり、墓地から釣り出す前提のカードなので、何かしらのアクションで能動的に墓地に行く能力を持っていることが最低条件になるとは思います。

 ・《サメ台風》
 デッキの名前にもなっているカード。
 文句無しの勝つ為のカードです。《信仰の復活》等のギミックなしでも使え、4枚入れて腐らないので4枚入れます。

 6マナ以上ある状態でも、そのままキャストするかサイクリングでサイズの大きいトークンを出すかの選択を持てることが優秀で、マナフラの受け先にもなるので、総じて隙の少ない高スペックカードです。

 エンチャント(場)としての性能も、打ち消しや除去、プレインズウォーカーの設置など、青白コントロールの動きの延長線上にトークンの生成が付与されるので、デッキの動きとして違和感がなく勝利に直結する効果を発揮できます。

 ・《主張》

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 サイクリング持ちの高マナ域エンチャントその2
 コントロール奪取系の除去。
 土地も奪えるので最悪腐らないです。

 非常に優秀なカードではあるのですが、ほぼサイクリング前提のカードです。
 大勝した時の印象が残りやすいカードだと思っているので、その点は要注意。
 非常にブレ幅が大きいカードです。

 とはいっても、入れない理由は特にない優秀なカードではあるので、3~4枚は欲しいです。

 ・《排斥》

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 白1マナサイクリングが非常に優秀。
 続唱を使う場合は、他に1マナで出来ることがないので、その隙間を埋める役割もあります。
 4マナ瞬速の《忘却の輪》とだけ考えると微妙なスペックですが、他に強いサイクリング持ちのエンチャントがないので必須です。
 《主張》とは違い、4マナでキャストすることができるのが評価が高いです。
 サイド後の置物にも触れるカードがメインから自然に入っているのは、シンプルに強いです。
 ゲーム後半は、サメ台風と併せてトークンを生成する方が強い動きになるので、意味のないサイクリングはしない方が良いカードです。
 総じてこのデッキにおいて強いカードではあるのですが、あくまでも《忘却の輪》なので過信は禁物です。
 特に入れない理由もないので、3~4枚はデッキに欲しいカードです。


 ここまでが個人的にデッキへ入れて良いカードのラインだと思っています。
 モダン環境で採用できるエンチャントはこの3種類だけだと思っていて、これ以上に《信仰の復活》の威力の底上げを欲張っても良いことはないです。
 《信仰の復活》を強く使うために、少し弱いカードを入れるのはコンボデッキの動きで、フェアデッキの動きではないです。

 これも別TCGのロジックで申し訳ないのですが、コンボデッキは、10段階3点のカードと1点のカードの相互作用で、75/100点の動きを目指すデッキです。
 しかし、ミッドレンジをはじめとするフェアデッキは、7点のカードや8点のシンプルに強いカードで80点のデッキを目指すものだと考えています。
 サメ補充はこのフェアデッキに少しコンボ要素があって、5点のカードと4点のカードを入れて、70点の動きを取り入れつつも、ベースの部分のフェアデッキの高得点カードとのシナジーが70点の動きを底上げしています。
 そこに余分な弱いカードを入れると、補いきれない弱さになると考えています。

 ここから先は、少し考えたが破棄したカードに少しコメントを残していきます。

 ・《全知》

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 これたまに候補になっていますが、全く理解できないです。
 エンチャントを墓地に送る追加手段を用意する手間、《全知》貼ったところで何をするんだ問題。
 《全知》を強く使うために入れる《全知》前提のカード群。
 もとより勝ち過ぎカードの割にはデッキの安定性を削ぐだけのカードなので、《全知》に特化したコンボデッキでもないので入れる理由はないです。

 ・《霊体の横滑り》

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 サイクリングコストがもう少し軽かったら使いました。
 これ以外のサイクリングもちのエンチャントも《不吉な海》が強く見えてしまうレベルで選択肢が無いです。

 ・《月の力》

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 誘発が強制でなかったらもしかしたら使ったかもしれませんが、正直普通に弱いカードだと思います。

 ・《鴉の警告》

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 サイクリング以外の能動的に墓地に行くエンチャントは英雄譚があります。
 その中でもたまに見かけるのが《鴉の警告》ですが、正直なところ、あまり強くないと思います。

 何が強いのかもよくわかっていないのですが、2章の効果が飛行トークンを生成するサメ台風と相性が良く、1章もあって自己完結しているからですかね。
 それは3マナのソーサリータイミングでやる価値がある動きかどうかとか、デッキの動きに噛み合っているのかって言われると怪しいです。
 コントロールデッキの利点を考えた時に、相手の除去が手札で腐りやすいと言った点がよく上げられますが、これは土地を寝かせてただ2点回復して的を出しているだけのカードに思えてしまいます。

 3章でトップにサイドから《終末》などの奇跡呪文を置いておけるのが強いかと言われると、正直微妙です。
 全除去の役割を考えると、"横並びの高速アグロに対して持ちこたえて盤面を流す"と言った基本の動きを考えた時に、《終末》を打てるのが最速でも先手で5ターン目の相手ターン。
 そう考えると、正直怪しいと思います。
 それなら端から《至高の評決》を入れておいた方が強い気がします。

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 また結局《終末》が使えない状況用に別の選択肢を用意しておく必要があるのも、サイドボードを削り過ぎですし、そこから5ターン目以降に使うカードを持ってくるのは果たして強いのかと言う疑問もあります。
 MtGは1マッチで最大3ゲームあります。うちメインデッキで戦うのは最初の1ゲームだけです。
 サイド後のゲーム回数の方が多いゲームで、サイドボードを弱くする価値がこのカードにあるのかと言われれば、はっきりと「ない」と言えます。
 青白カラーのデッキのメリットは、サイドカードの強さにあると思っています。
 なので、《大いなる創造者、カーン》クラスのカードではない限りはサイドを弱くするデメリットを相殺できないと思います。

 墓地に行くまでに時間がかかるのも、実は噛み合っているようで噛み合っていない要因だと思います。
 これは英雄譚すべてに共通した話ですが、インスタントタイミングで墓地に送れず、墓地に行くまでに3ターンかかるのは悠長です。
 英雄譚が墓地に行くのを待ってから《信仰の復活》をキャストする頃には、盤面やライフの状況は確実に良いものではないと思います。

 その欠点を踏まえたうえで採用しても問題ない強さのカードが出ない限りは、現状は英雄譚はデッキに入らないと思います。

 《鴉の警告》を入れるぐらいならダブっても強くライフを取れる《ベナリア史》の方が個人的には好みです。使わないですが。

 ・《激しい叱責》他2マナ以下のエンチャント

 続唱との兼ね合いで採用できませんが、実際そうでなくとも《激しい叱責》は瞬速だから強いのであって、ソーサリータイミングで出してもただの1ドローです。
 もちろんアドバンテージは取れていますが、それ以上でもそれ以下でもないです。

 墓地に行くエンチャントを端からデッキに入れていくことには何のメリットもなく、ただいたずらにデッキを弱体化させているだけだと思っています。
 そこまでデッキのスロットに余裕があるデッキではないので、採用するエンチャントカードは最低限かつ無理のないものに抑える方が良いと思いました。

 エンチャントカードへの言及はここまでにします。
 これ以外の、これは候補になるのではないか、と言ったカードがあれば教えていただければ幸いです。

10.エンチャントカード以外のパーツについて

 デッキを構成するうえで必要なエンチャントカード以外の要素、先に挙げた
 ②《信仰の復活》とそれにアクセスするカード
 ③コントロールカード(除去+打消し)
 この2種類のカードについて、少しですがコメントを残しつつ触れて行きます。

 ・続唱呪文《献身的な嘆願》《断片無き工作員》

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 合計で7枚あれば問題ないと思います。
 7枚あれば先手3ターン目(初手7枚から2枚引いた状態)での期待値が1.05と十分な数字になります。
 色が合う《献身的な嘆願》は確定。
 ジェスカイカラーの3マナの続唱呪文があればそれが一番良いのですが、ないので次に色が合う《断片無き工作員》になります。
 内訳は個人差があると思いますが、最悪2点クロックになり腐らない《断片無き工作員》を4枚にするのが無難でしょう。

 ・《信仰の復活》

 素引きして弱いカードですが、2枚にした場合は2枚引いた時に困るので、3枚が落としどころだと思っています。
 3枚引いても困ることは同じなのですが、あくまでも確率とリスクの妥協ラインを自分がどこに設定するかの問題だと思います。個人的にそれが3枚だっただけです。

 この3枚が、《信仰の復活》周りのカード群になります。
 合計10枚。

 ・除去カード 《孤独》、《厚かましい借り手》

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 続唱ギミックとカラーリングの都合上採用できるカードは限られています。
 幸い、《孤独》も《厚かましい借り手》も、ともに非常に優秀なカードであり、無理なく入ります。
 特に孤独は5マナ3/2の瞬速絆魂と腐らないスペックなのが非常に優秀です。

 ただ、サイクリングした《排斥》や《主張》をプレイすることを意識した場合は、3ターン目まで放置していい置物に対しては打つ必要はないです。
 あくまでも序盤に即時対応を求められた時に打つカードです。

  ・打ち消し呪文《否定の力》《大魔導士の魔除け》《謎めいた命令》

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 この辺は好みになるとは思いますが、続唱デッキの都合上序盤のどうしようもないカードを弾くための《否定の力》4枚はほぼ確定。

 《大魔導士の魔除け》or《謎めいた命令》の選択は難しく、個人的に3ターン目にフルタップで返す場面が多いことと、サメ台風がある時には《謎めいた命令》の方が強いのでそちらを優先しています。

 ・プレインズウォーカー

 ①《時を解す者、テフェリー》

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 ただ強いプレインズウォーカー。

 自分の続唱を安全に通すほか、バウンスで盤面を凌ぐただ便利なカードです。

 自分の《献身的な嘆願》や《断片無き工作員》をバウンスして続唱を再利用することもできます。

 ②《精神を刻む者、ジェイス》

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 追加の勝ち手段にもなるただ強いカード。
 サメ台風と合わせた時に4/4飛行が付いてくるので、少し普段のジェイスよりも硬く動けます。
 手札に引いた《信仰の復活》を戻す唯一のカードでもあります。


 少し採用を考えたが、結局破棄したカードについて言及していきます。

 ・《大いなる創造者、カーン》

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 +1能力に、《虚空の杯》を破壊すると書いてあります。
 また、-2能力で、サイドから《断片無き工作員》を持ってくることができます。
 そう考えると強そうではあるんですが、少し能力が限定的すぎ、汎用性に欠けるので断念しました。

 ただマッチを通してのサイドカード対策としては柔軟性があり、将来的に使う可能性は十分あります。

 ・《ドミナリアの英雄、テフェリー》

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 非常に強力なカードで、単体でアドバンテージを稼ぎつつ勝つことができ、また奥義の性能もサイクリングとの相性がいいです。
 ただどうしても5マナと言った重さが気になります。
 サイクリング持ちエンチャントを詰め込むデッキなので、土地が通常のコントロールデッキより少なくなります。
 そうなると手札でダブつくリスクを取ってまで入れたいカードかと言われると怪しいラインにあるので、今回は採用を見送りました。
 現状は61番目に入れたいカードになっています。他に抜きたいカードが現状ないとも言えます。


 続唱デッキの兼ね合いもあり、これ以外に採用を考えたカードは特にないです。

 一瞬《拘束+決心》の《決心》目当てでの採用も考えましたが、最終的には見送り。

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 続唱デッキで使える強いカードには限りがあり、その選択肢の少なさが続唱デッキの一番の欠点でしょう。

11.実際に触ってみた所感と課題

たたき台として今使っているデッキの写真だけ載せておきます。

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サイドボード

実際に使った感想ですが、悪くはないです。
 ただまぁ当初の想定通り、悪くない止まりです。

 赤をタッチしていない以上《砕骨の巨人》や《死亡+退場》、《火+氷》が採用できず、1マナのクリーチャー、特に《敏捷なコソ泥、ラガバン》が非常に重いです。
 やはり1マナの軽量除去が無いデッキはただそれだけで弱いです。

 また現在のモダンのメタゲームには墓地利用デッキと、続唱デッキ、そして両方を使うデッキがともに存在しており、そういった環境から墓地や続唱に対してのガードが非常に高くなっています。いくらメインから、《厚かましい借り手》《排斥》《時を解す者、テフェリー》と言った除去手段が入っているとはいえ、厳しいことには変わり有りません。

 そして最大の問題点なのですが、結局のところ、個人的に類似する他の強いデッキの存在が足枷になっています。
 より勝利条件に忠実で、カラーリングも優秀なティムールカスケード(《衝撃の足音》デッキ)やリビングエンドを使った方が良いのではと思ってしまう場面が多々あります。

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 特にリビングエンドは、デッキの方向性が違うとはいえ、サイクリングしたパーマネントを続唱で唱えた呪文で出すと言った流れまでが一致しています。唱えてから勝つまでにタイムラグがある《信仰の復活》と比較して、そのまま殴れるクリーチャーが出てくるリビングエンドの方が勝利条件に忠実なために強く感じてしまうのは仕方ないのでしょう。
 地味にリビングエンド側のサイクリングコストが低いことと、MH2の神話想起エレメントサイクルも上手く使える点がそれらを後押ししています。
 マナベースの安定性や、純粋な墓地への依存度の低さ等、こちらの方が良い部分もありますが、相手にして嫌なのは間違いなくリビングエンドになると思います。

 だからと言って、続唱以外のアプローチが強いかと言われれば、そうではないのが実情なので、何かしらのアップデートが来ない限りは暫くは続唱というゲームプランからは逸脱できません。
 触っていて楽しいデッキであることは間違いないのですが、現状の軽量良コスパクリーチャーで殴り合うモダンにあっているかと言われれば、正直それもまた微妙なので、ありとあらゆる面から厳しい立ち位置にあると言えるでしょう。

 ただ、自分の使いたいデッキを使えることがモダンの良い部分だとは思っているので、暫くはこのデッキで遊んでみたいと思います。
 もう少し試行錯誤をして、プレイを積んだ上で何か新しい発見があれば、追って記載させていただくかもしれませんが、リストを見てもらえればわかる通り、自由度が非常に低いデッキ構築になってしまっているので、それも難しいかもしれません。

 改めて、冒頭に述べた結論を繰り返させていただきますが、現状遊べるデッキではあるが勝てるデッキではなく、またメタ環境的に厳しい側面と純粋なデッキパワー不足の面が大きいので、しっかり戦えるデッキまで上がるには、もう一、二段階のアップデートが必要だとおもいます。

 非常に長くなってしまいましたが、以上が個人的なモダン環境下のでのサメ補充の感想になります。


こんにちは。ヒモです。
今回はモダンの構築記事(本人曰く思考メモ)を寄稿して頂きました。
そろそろヒモ日記にも構築記事ほしいな~と思っていたところで寄稿のお話をいただけてありがたい限りです。
自分は人のデッキレシピから組むことがほとんどなので、こうした人の構築に至るまでの思考を読めて楽しかったです。
以上、全18000字overの長文でした。当分最長記録は破られなさそう。

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