【10】 貴重な時間

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~ゴールデンの家~

    つらそうなゴールデンを心配そうに世話人が見つめている。
「ゴホッ! ゴホッ! ゴホッ! さい…ごに……ヌシ酒を…たらふく……飲みたかったなぁ……」
「ゴールデンさん! 今にサウスポールさんと腕利きの錬金術師が来ますから! 諦めないで頑張って下さい!」
    その熱のこもった声にゴールデンも笑顔で、無言でうなづいた。

ーーガチャ

「戻りました! この島一番の錬金術師を連れてきました!」
    世話人の一人である彼は達成感に満ちた顔で言った。
    入り口のほうを見るゴールデン。そしてーー
「まだ…若い娘じゃ…ねぇか……」
『初めまして。ティアマと申します。状況は聞いております。世界樹の枝が届き次第薬を作りますので…それまで辛抱して下さい』
    ゴールデンはティアマの瞳の奥にある覚悟を感じとり、小さくうなずいた。
『メル、準備してきたものをそちらの方に渡して』
    1つ返事をしてメルは大きな袋を手渡した。ティアマは世話人の1人に向かい
『鍋でロイヤルハープとみかんを清水で煮詰めて下さい。それらの蒸気は呼吸をしやすくします。それとフェアリーリーフをすり潰し、それにサーペントの血を混ぜたものを準備して下さい。一時的ですがを体が楽になるはずです」
「わ、わかりました!」
    世話人二人が袋を手に奥の部屋へと走っていった。

~2時間後~
「ミー」
    部屋の隅でミミ助が心配そうに鳴いた。メルは優しく頭を撫でた。
    ティアマと世話人は何か話している。
『そのサウスポールという方はいつ出発されたのですか?』
「3日前です」
その時……
「ウゥ……ハァ…ハァ…ハァ…もし……俺が…このままいっ…ちまったら……金は……ハァ…ハァ…街の…みんなで……つかっ…てくれ……」
「ゴールデンさん! 諦めたらダメだ!」
世話人の声が部屋に響いた。

ーーガチャ

開いた扉の先にはーー

サウスポールだ。
手には【世界樹の枝】を持っている。
「ニャ~オ」
    一鳴きしてにゃんこはゴールデンのベッドに飛び乗った。
サウスポールが肩で息をしながら
「ゴールデン、待たせたな。あんたが錬金術師か?こいつを使ってくれ」
    足を引きずりながらティアマに【世界樹の枝】を渡す。
「へっ…かおが…どろだら…けじゃねぇ…か……」
    目尻と口元を緩ませてゴールデンは言った。サウスポールは、つらそうだがいつものゴールデンに幾分安堵はした。しかし……
    ティアマはゴールデンの容態もサウスポールの心中も察した。
『すぐ準備します。メル手伝って』
「うん!」



カチッ… カチッ… カチッ…
いつもは気にもしない時計の音が今日はやけに大きく聞こえる。

「サウス…ポール……もう…いっかい…さけ…飲みたかっ…たなぁ……」
「飲めるさ! もうじきこの島で一番の薬が出来るんだ! 治ったらまた飲もう!」
「ハァ…ハァ…ウゥゥ………」
    ゴールデンは苦しそうに胸を押さえ下を向いた。
「ゴールデンっ!!!」

ーーその時!
バタバタバタっ!
『お待たせしました!』
    ティアマの手には小さなビンが見える。
「早くそれを!」
サウスポールの声にもはや余裕はない。
『はい!ゴールデンさん、口を開けて』
片方の手はゴールデンの背中に回し、体を支えながらティアマはビンをゴールデンの口に当てた。
コク…… コク…… コク……
見守るメル。
ティアマはゆっくりと、僅かずつしか飲めないゴールデンの口元に集中しながら
『ゴールデンさん、飲みながら聞いて下さい。この薬は簡単に言えばロイヤルポーションを強力にしたものです。強い覚悟と意志を持って飲んで下さい!』
「どうだ!?」
サウスポールが問いかける。
「ハァ……ハァ……どう…だかな……ハァ……ハァ………ウゥゥゥ!」
「ゴールデン!!」
『ゴールデンさん!気持ちを強く保って!』
「ウゥゥゥ!」
    ゴールデンは額に汗をしたたらせながら低い声で唸った……


ーーその時!

ビュルル~♪
ミミ助が笛を吹いた。
「ミミ助!?」
メルは驚いて声が上ずった。
一呼吸おいた後、ミミ星人達は一斉に演奏し始めた!
メルは困惑した表情で
「これは……

応援してくれてるの?

そうか…お姉ちゃん!
この子達ミーミーパワーをゴールデンさんにあげようとしてるんだよ!!」
『ミミ助!』
「ミー!(^o^)」





    ゴールデンの呼吸は正常に戻っていた。
「もう大丈夫だ。もうだいぶ良くなったよ」
先程の苦しそうな感じは微塵もない。
「本当に良かった……」
    サウスポールは噛み締めるように言った。
ティアマとメルは目を合わせ微笑んだ。ゴールデンはティアマのほうを向き
「本当に助かったよ。ねぇちゃん、じょうちゃん、それからミミ達には感謝してもしきれねぇや」
ティアマは微笑みながら
『薬が効いて本当に良かったです』
「うん!うん!ミミ助達も大活躍だったね!」
「ミー(^o^)」
「今日はこの街1番の宿でサファイアの特産品を存分に味わってってくれ。もちろん、砂糖水とメィプルシロップも用意させてもらうよ」
『ありがとうございます!』
「やったー!」
「ミー\(^o^)/」


    その後ゴールデンは順調に回復し、また平穏な日々を取り戻したのであった。
    1度生死の境をさまよった彼は今まで以上に時間を大切にするようになったのであった。


店主 ティアマ
創業1125日目
委員長っぽい薬屋でマスター錬金術師

所持レシピ
【ヒーリングライト】
材料
魔女の指輪×1
道具
禁断の書×1
いかずちの杖×1

【ヒーリングシート】
材料
エリ草×10
清水×10

【ゴールデンタイム】
材料
世界樹の枝×1
ロイヤルポーション×1
ミミの心意気×10
パワーポーション×10
道具
乳鉢×1

妹 メル
甘え上手な薬屋で見習い畜産家
レベルアップ!
甘え上手な薬屋で期待の畜産家


「お姉ちゃーん!ゴールデンさんから何か届いてるよー!

ん、これは、手紙と……

優待券10枚入ってるよー!!!」

『えぇ~!!!』

おしまい♪

    読んで頂きありがとうございました!
登場した人物、レシピ品全てフィクションです。
    気になるレシピがあれば実際に作って頂いても構いません(作ってもらえたら飛んで喜びます)

    作中に出ても良い店主募集中。
店主名、オーナー番号
をTwitterでDM下さい。
    普段のプレイスタイル等入れてもらえたらなるべくそれに沿って書かせて頂きます。
登場する話は事前にDMで確認して頂いた後掲載させて頂きます。

    各物語のイメージ画像募集します!募集させて下さいー!
    物語を読んでみて浮かんだイメージがあればそれをお願いします。
    又は次の物語の画像書いて頂けるというのであれば掲載前に物語をDMで送信します。
    もしくは既にオリジナルのキャラ等の画像あれば、その画像を元に物語を考えます。
名前、職業種の設定あれば教えて下さい。
提供して頂いた方のお名前はその物語内の1番上に紹介させて頂こうと思ってます。
例「イメージ画 ~様から提供」みたいな感じで。
よろしくお願いしますー!

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