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【SNS活用による海外販路開拓】その5

☆☆中古のメイドインジャパンも海外では大人気☆☆ 第一回

この見出しで何かピーンとくる商品はありますか? 日本で作られて日本で使われて、日本では用済みになった中古の工業製品。これがまた海外では、特に途上国では大人気なケースが多く存在します。最も身近なところでは、中古車でしょうか。日々「オートオークション」と呼ばれる業者のみが参加できる中古車のオークションで膨大な数の中古車が取引され、その多くが輸出に回っています。ということで、今回は中古のメイドインジャパンの輸出にまつわるお話しの初回です。

中古車の他では、ついつい乗り物になってしまい恐縮ですが、中古の鉄道車両もかなりの人気です。最近ではタイ、インドネシア、ミャンマーなどへの輸出が盛んで、JR東日本を引退した205系電車が何編成かインドネシアに輸出されているのが最も有名かもしれません。また、中古の建設機械、農業用機械、そうです、トラクターなどもかなりの人気者です。いずれにしても、日本で壊れて動かなくなったから用済みというわけではなくて、まだきちんと動く状態、その機械本来の能力を発揮できる状態でお役御免になっているわけですから、考えようによっては日本人の社会は贅沢なものです。

でもしかし、ちゃんと使えるのがわかっているから中古のメイドインジャパンに人気が集まるし、そもそも日本で厳格な品質管理の下で作られて、丁寧に、整備もしながら使われてきた機械ですから、たとえ中古であっても、その品質に間違いはないであろうという、メイドインジャパンのブランドパワーがまだまだ健在なのです。日本で製造された製品であることに加え、日本で使われていた製品であること、この二つの要素が相乗効果を生んで、中古のメイドインジャパンは海外の中古市場で高く評価されているのです。特に「日本で使われていた」点が評価されていることは、意外とご存じない方が多いかと思いますが、いかがでしょうか?

更に書きます。自動車で言えば、整備された道路でしか走っていませんし、車検制度があるので、基本的に整備は十分に行われています。国土が狭いので、走行距離もそれほど伸びてはいません。自家用車をお持ちの皆さま、どれくらいの走行距離になったら買い替えを考えますか? 私の想像ですが、1台のクルマで10万キロ以上走る方はそう多くはないと思います。私の場合は日本人としてはマイノリティで、一つ前のクルマは21万キロ乗りました。今のは19万キロに達していますが、まだまだ乗り続けるつもりです。でも、これくらい乗っていても、海外では「まだまだ」なのです。どこか壊れたとしても、壊れた部品のみ交換すれば、その先まだ長く乗れます。

他にも私の知る限りでは、中古の医療機器や歯科医療機器、白物家電、古き良き時代の家具、型遅れになったジェットスキー、そして「ピアノ売ってちょうだい!」のTVCMで話題になった中古ピアノなど、日本人が丹精込めて作り、日本人が大切に使ってきた後にお役御免になった中古のメイドインジャパンの品々、これらが輸出されて、海外で第二の道を歩んでゆくというストーリーは、現実にあたりまえに起きていることなのです。

更に続けると、上に書いた型遅れの中古ジェットスキーの話しも面白くて、水上交通が発達したアジアの国々に輸出されている例があります。輸出先では決して本来のレジャー目的で使われるのではありません。水路で荷物を運ぶ複数の「いかだ」を牽引する、言ってみれば水上機関車のように使われているケースがあります。だから、高性能で速く走れる必要はまったく無く、スピードは出なくても、故障せずに確実に動いてくれればOKなのです。日本製の工業製品には「故障しないで動き続ける」という信頼性もあるのは、今さら言うまでもありません。

ピアノはどこの国に行ってもピアノという楽器としてしか使われないでしょう。でもしかし、ジェットスキーの例のように、ある製品が日本で使われていた目的と同じではなく、別の目的で使われて役に立っているケースもあります。日本でのみ生活していると、ある製品の用途は、日本で使われている用途でしか考えられなくなっているのは当然とも言えますが、発想を変えてみると、また、ネット上でもかまわないので、海外の生活様式をいろいろと眺めてみると、「あ、これ使える!」と閃くことがあるかもしれません。貿易、特にメイドインジャパンの海外販路開拓に於いては、このような既成概念からの脱却的思考もありだと思っています。あれにも使える、これにも使えるのでは? そのままではダメでも、ここを改良すれば使えるのでは?という柔軟な発想が、メイドインジャパンたちに海外でもっと幅広く活躍してもらえる出発点になることでしょう。

そしてここでやっと見出し写真の説明になるのですが、使用済み自動車から降ろされたエンジンたち。見かけは汚れていてスクラップのように見えますが、とんでもございません。「動くクルマ」から降ろされたエンジンですから、まだまだ立派に動くのです。私自身が中古のエンジンの輸出にここ10年ほど関わってきましたので、この話を続けるとなが~くなります。あまり知られてはいませんが、興味深いお話しなので、続きは次回に書かせていただきます。

今回は、中古のメイドインジャパンも海外、特に途上国ではモテモテ、というお話しでした。皆さまもそんなことを少し気にかけながら毎日の生活の場面を眺めてみてください。「こんな中古製品、輸出できるかもしれないな」なんて思える機会に遭遇するかもしれません。もしも輸出にご興味がおありなら、新品ばかりではなく、中古のメイドインジャパンにもアンテナの感度を上げておいていても面白いかも、、、です。

もう一度書いておきます。貿易、特にメイドインジャパンの海外販路開拓に於いては、既成概念からの脱却的思考もありだと思っています。この商品、あれにも使える、これにも使えるのでは? そのままではダメでも、ここを改良すればあの用途に使えるのでは?という柔軟な発想が、皆さまの回りにあるメイドインジャパンたちに、海外でもっと幅広く活躍してもらえる出発点になることでしょう。そしてそんな発想が、ニッポンの誇る中小製造業の未来を明るくするための小さな一歩になり得る可能性があります。

ついつい熱くなってしまいますが、何か私にご質問のある方、このブログの「クリエイターへの問い合わせ」か、Twitter  @yshk_export   からダイレクトメッセージをお願いします。少しでも多くのメイドインジャパンを世界に羽ばたかせることについてお話しできる「仲間」と繋がれるのを楽しみにしています ^^

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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