見出し画像

教えの効用:「遠山の目付」はなんのため?


概要 この記事は,剣道でよく言われる教えを取り上げて,何を意味しているのか,もう一度考えてみることを目的としています。剣道の教えは,なぜそういうふうにするのかの説明が省略されることが多いです。それはやはり自分で考えるべきことだからでしょう。この記事では,その省略されている説明,実はこうなんじゃないかという,わたしの考えをまとめています。もちろん,間違っている場合もあるでしょう。剣道について,あれこれと考えることで,より剣道を楽しみたいという気持ちで作成しています。


遠山の目付

構えあっているときは,向こうに大きな山があり,それをみているような気持ちで構える。

この遠山の目付という教えは,相手のどこをみるべきかという観点で使われることが多い教えです。遠山というのは,遠くにある山という意味です。目付というのは見方という意味です。遠くにある山を見るような心持ちで相手と対峙しないさいという教えです。

この教えの効用はなんでしょう。

多くの場合,相手の打突部位だけに注意するのではなく,相手の全体を見ろというときに使われることが多いと思います。

しかし,本来の意味は別にあるのではと思うのです。わたしが思う遠山の目付による効果は少なくとも3つあります。

  1. 構えの安定

  2. 自分は打ちやすく,相手が打ちにくい間合いをつくる

  3. 脱力

構えの安定

遠い山を見るかのように構えると,背筋がまっすぐに伸びます。ああ,きれいな山だなと前方遠くにある山を見る時,わたしたちの背筋は伸びます。

重心が前にかかっている場合であれば,重心が中心付近に戻ります。

自分は打ちやすく,相手が打ちにくい間合いをつくる

また,背筋がまっすぐに伸びると,面の位置が後ろになります。相手からすると面の位置が遠くなり,打ちにくくなります。

脱力

さらに。背筋がまっすぐに伸びると,肩が後ろに引かれ,肩甲骨付近の体の後ろがふたつに割れます。すると胸が張り,腰が入り,腕の力が抜けます。

このように遠山の目付は,構えをよくし,相手との間合いを遠くし,脱力させる効果があると思います。

おすすめの雑誌

剣道日本は,明るくて,力が抜けている感じが,なんとなくいいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?