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本当は叫びたいあなたに ドラマ「秘密の森」

ある日突然動けなくなる

腰痛の何割かは心因性のものではないか。僕はそう思う。今年になって二度椎間板ヘルニアになったが,今から思えば,どちらも精神的に追い込まれていた時期だった。けれどもそれは認めない。苦しいことは認めない。

そんなある日激痛で動けなくなった。まさに動けない。食事もとれない。風呂にもいけない。トイレには行くしかないが,恐ろしい激痛とともに用を足す。そんな生活が10日くらい続いて,7キロ体重が落ちた。

精神的に追い込まれていたことを認めない,というか,気づかない。自分の感情がわからない。楽しい。悲しい。嬉しい。悔しい。僕もいろんな感情をもっているはずだが,それに名前がつかない。そんな時期だった。今はできるだけラベルを貼ってみるようにしている。

体重が7キロ落ちて,天井を見ながら,背中を使って這って移動できるようになる。激痛のなか,食事をとったり,寝ながらシャワーを浴びたり。そんな生活をしているうちに,ふと,いつもは見ないドラマを見たくなった。

「秘密の森」に出会う

激痛のなか,netflix と契約して,初めてみたドラマがこの「秘密の森」。

主人公。非常に敏感な子どもで,それが原因で周囲に暴力的にふるまってしまう。友達の弾くピアノの音に耐えられなくて,そう敏感すぎるので,ピアノの音が暴力的に聞こえるのだろう。それで,ピアノの蓋をばたんと閉めて,友達の手の指を骨折させてしまったり。そんな意図しない暴力が続くので,主人公は脳の手術を受ける。情動を認識する箇所を取り去ってしまった。

そのため主人公は感情を表さなくなる。まさにコンピュータのように冷静に物事を考え行動できる人間になる。主人公は検事として人間関係のしがらみなどおかまいなしに事件にくらいついていく。そんなドラマ。

体からの警告

冒頭。主人公が車を運転している。突如,激しい頭痛に襲われる。実はこの痛みは心の痛み。主人公は頭では自身の苦しみに気づくことはできないが,常に体はその苦しみを受け取っている。あまりに大きな苦しみに,激しい痛みというかたちで,たぶん,警告を与えてくれているのだろう。

自身のこころの苦しみに気づかず,精一杯生きる主人公。そんな様子を見ているうちに,僕の痛みもすこしづつ和らいで行った。もちろん時間が経ったのが一番の理由かもしれない。けれども,痛みの意味をドラマを見ながら考えることのできたことも,元の生活に戻ることができた一因だと思っている。

あまりにしんどいみなさん。一度,このドラマ,「秘密の森」をご覧になったらいかがでしょうか。自分にも気づかず押さえ込んでいるさまざまな感情,そしてその感情が知らず知らずに私たちのありように影響を与えることに気づくことができるかもしれません。

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